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公開：2024-07-20

NEDOが先進的サイバー防御機能・分析能力強化の研究開発に着手、経済安全保障重要技術育成プログラムの一環として実施

text: XEXEQ編集部

記事の要約

• NEDOが経済安全保障重要技術育成プログラムを開始
• サイバー防御機能・分析能力強化の研究開発に着手
• 量子情報通信技術の開発も含む総合的なアプローチ

NEDOによる先進的サイバー防御機能の強化

NEDOは経済安全保障重要技術育成プログラム（K Program）の一環として、先進的サイバー防御機能・分析能力強化の研究開発に着手する。この取り組みは、近年のサイバー空間における多様なサービスの展開と新たな脅威の出現を背景に実施される。AIを活用した攻撃や量子計算機の広がりによる既存暗号の危殆化など、新たなリスクへの対応が急務となっている。^[1]

本事業では、サイバー空間の情報収集・調査能力の向上、サイバー攻撃からの防御力強化、そしてそれらの能力と技術の評価技術および評価環境の開発・展開を目指す。同時に、重要インフラの高い利便性とセキュリティを確保するため、量子情報通信技術の開発も行われる。これらの取り組みにより、自由で公正かつ安全なサイバー空間の確保を目指す。

経済安全保障重要技術育成プログラムとは

経済安全保障重要技術育成プログラムとは、日本の技術的優位性と不可欠性を確保するための国家主導の研究開発プログラムのことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

• 内閣府や経済産業省、その他関係府省の連携による推進
• 先端的な重要技術の研究開発から技術実証までを迅速かつ柔軟に実施
• NEDOに造成された基金を活用した研究開発支援
• 民生利用と公的利用の両面を視野に入れた成果活用
• 2022年度から2031年度までの10年間にわたる長期的な取り組み

このプログラムは、世界的に科学技術・イノベーションが国家間の覇権争いの中核となっている現状を踏まえ、市場経済のメカニズムだけでなく国家が強力に重要技術の研究開発を推進する必要性から創設された。NEDOに造成された基金は、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律に基づき、特定重要技術の研究開発促進とその成果の適切な活用を目的とする指定基金として位置づけられている。

先進的サイバー防御機能・分析能力強化の具体的内容

NEDOが着手する先進的サイバー防御機能・分析能力強化の研究開発は、大きく4つの項目に分かれる。(1)サイバー空間の情報を収集・調査する状況把握力の向上、(2)サイバー攻撃から機器やシステムを守る防御力の向上、(3)共通基盤の整備、そして(4)セキュアな量子情報通信技術の開発だ。これらの研究開発項目は、現代のサイバー空間が直面する複雑かつ多様な脅威に対応するための包括的なアプローチを示している。

特に注目すべきは、AIを活用した攻撃への対策と量子計算機の広がりによる既存暗号の危殆化への対応だ。AIによる不正メール検知ツールの回避や、機械学習を用いたマルウェアの生成など、従来の防御手法では対処が困難な新たな脅威が出現している。また、量子計算機の発展により、現在使用されている暗号技術の安全性が脅かされる可能性も指摘されており、これらの課題に対する先進的な解決策の開発が急務となっている。

経済安全保障重要技術育成プログラムに関する考察

経済安全保障重要技術育成プログラムの開始は、日本の技術政策において画期的な転換点となる可能性がある。従来の市場主導型のイノベーション推進から、国家が積極的に関与する形態への移行は、グローバルな技術競争の激化を背景としている。この変化は、日本の産業競争力強化と国家安全保障の両立を目指す試みであり、その成果如何によっては国際社会における日本の立ち位置に大きな影響を与えるだろう。

一方で、このプログラムの推進には課題も存在する。研究開発の自由と国家の管理のバランス、民間セクターとの効果的な連携、そして国際協調と技術保護の両立など、複雑な問題に直面することが予想される。特に、サイバーセキュリティ分野では、国際的な情報共有と協力が不可欠であり、過度に閉鎖的なアプローチは逆効果となる可能性もある。

今後追加してほしい機能としては、国際的な研究コミュニティとの連携強化や、民間企業の積極的な参画を促す仕組みの構築が挙げられる。また、研究成果の迅速な実用化と普及を支援する体制の整備も重要だ。これらの取り組みにより、プログラムの効果を最大化し、日本の技術力向上と経済安全保障の強化につなげることができるだろう。

このプログラムの恩恵は、主に国内の研究機関や技術系企業にもたらされると考えられる。一方、海外企業や研究機関にとっては、日本市場へのアクセスや共同研究の機会が制限される可能性があり、一定の損失が生じる可能性がある。しかし、長期的には日本の技術力向上が国際協力の新たな機会を創出し、グローバルなイノベーション・エコシステムの発展に寄与する可能性もある。

参考サイト

1. ^ PR TIMES. 「「経済安全保障重要技術育成プログラム」で先進的サイバー防御機能・分析能力強化に着手 | 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000068.000135644.html, (参照 24-07-20).
2. 経済産業省. https://www.meti.go.jp/index.html

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