AWSがAmazon Aurora PostgreSQL Limitless Databaseをリリース、データベースの水平スケーリングで性能向上を実現

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

AWSがAmazon Aurora PostgreSQL Limitless Databaseを正式リリース
複数のAuroraライターインスタンスで書き込みスループットを向上
ルーターとシャードの2層アーキテクチャで水平スケーリングを実現

AWSがAmazon Aurora PostgreSQL Limitless Databaseの正式提供を開始

AWSは読み込み性能と書き込み性能を大幅に向上させる新サービスAmazon Aurora PostgreSQL Limitless Databaseを2024年10月31日に正式リリースした。このサービスではルーターとシャードの2層アーキテクチャを採用し、データベースワークロードを複数のAuroraライターインスタンスに分散させることで、既存のAuroraの制限を超えた書き込みスループットとストレージのスケーリングを実現している。^[1]

Amazon Aurora PostgreSQL Limitless Databaseでは、シャードテーブル、リファレンステーブル、スタンダードテーブルの3種類のテーブルタイプが提供されている。シャードキーに基づいて複数のシャードにデータを分散するシャードテーブルにより、大規模なI/O集中型テーブルのスケーリングが可能だ。

また、リファレンステーブルを使用することで、頻繁に更新されない参照データをすべてのシャードに完全なコピーとして保持し、不要なデータ移動を削減してジョインクエリのパフォーマンスを向上させることができる。スタンダードテーブルは単一のシャードに配置され、後からシャードテーブルやリファレンステーブルに変換することが可能だ。

Amazon Aurora PostgreSQL Limitless Databaseの機能まとめ

	シャードテーブル	リファレンステーブル	スタンダードテーブル
主な特徴	複数シャードへのデータ分散	全シャードへのデータ複製	単一シャードへの配置
用途	大規模I/O集中型テーブル	参照データ	通常のテーブル管理
スケーリング	水平スケーリング可能	読み取りスケーリング	単一シャード内

水平スケーリングについて

水平スケーリングとは、複数のサーバーやインスタンスにワークロードを分散させることで、システム全体の処理能力を向上させる手法のことを指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

複数のサーバーに負荷を分散し、システム全体の性能を向上
必要に応じてサーバーの追加や削除が可能
単一障害点を回避し、高可用性を実現

Amazon Aurora PostgreSQL Limitless Databaseでは、水平スケーリングを実現するためにルーターとシャードの2層アーキテクチャを採用している。ルーターノードがクライアントからのSQL接続を受け付け、シャードノードに適切にクエリを振り分けることで、効率的なデータ処理とスケーラビリティを実現している。

Amazon Aurora PostgreSQL Limitless Databaseに関する考察

Amazon Aurora PostgreSQL Limitless Databaseの導入により、大規模なデータベース環境での性能とスケーラビリティの課題が解決されることが期待できる。特に複数のAuroraライターインスタンスを活用した水平スケーリングは、既存の制限を超えた書き込みスループットを実現し、ビジネスの成長に合わせた柔軟なシステム拡張を可能にするだろう。

しかし、シャードキーの設計や適切なテーブルタイプの選択など、新たな運用上の課題も発生する可能性がある。運用チームはシャーディングの戦略を慎重に検討し、アプリケーションの要件に応じた最適な設計を行う必要があるだろう。将来的にはシャードの自動再配置やリバランシング機能の拡充が望まれる。

さらに、PostgreSQLコミュニティとの連携を強化し、PostgreSQLの豊富な機能やエコシステムとの互換性を維持しながら、性能とスケーラビリティを向上させていくことが重要だ。今後はマルチリージョン対応やより高度な監視・管理機能の追加が期待される。