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EMMC(Embedded Multi Media Card)とは?意味をわかりやすく簡単に解説

text: XEXEQ編集部


EMMC(Embedded Multi Media Card)とは

EMMCはEmbedded Multi Media Cardの略称で、スマートフォンやタブレット端末などの組み込み機器に搭載される不揮発性メモリの一種です。フラッシュメモリとコントローラが一体化されており、高速な読み書きが可能となっています。

EMMCはNAND型フラッシュメモリをベースとしており、複数のNANDチップとコントローラが1つのパッケージに収められています。このため、限られたスペースでも大容量のストレージを実現できるという利点があります。

EMMCの容量は数GB~数百GBと幅広いラインナップがあり、用途に応じて選択することができます。また、EMMCはSSDと比較して安価であるため、コストを抑えつつ大容量のストレージを実現したい場合に適しています。

EMMCはMMCインターフェースを採用しており、ホストとの通信はこのインターフェースを介して行われます。MMCインターフェースはSDカードなどでも採用されている規格で、比較的シンプルな構成となっています。

EMMCはウェアレベリング機能やエラー訂正機能など、NANDフラッシュメモリの特性を考慮した機能を内蔵しています。これにより、データの信頼性を高めつつ、長期的な使用にも耐えうる設計となっています。

EMMCのメリットとデメリット

「EMMCのメリットとデメリット」に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • EMMCのメリット
  • EMMCのデメリット
  • EMMCとSSDの性能比較

EMMCのメリット

EMMCはコンパクトなパッケージサイズを実現しているため、スマートフォンやタブレット端末など、限られたスペースしかない機器への搭載に適しています。また、NANDチップとコントローラが一体化されているため、部品点数を削減でき、コストを抑えることができます。

EMMCはSSDと比較して安価であるため、大容量のストレージを低コストで実現したい場合に適しています。また、EMMCは消費電力が低いという特徴があり、バッテリー駆動の機器への搭載にも適しています。

EMMCはウェアレベリング機能やエラー訂正機能など、NANDフラッシュメモリの特性を考慮した機能を内蔵しています。これにより、データの信頼性を高めつつ、長期的な使用にも耐えうる設計となっています。

EMMCのデメリット

EMMCはSSDと比較して転送速度が遅いという欠点があります。このため、大容量のデータを高速に読み書きする必要がある用途ではSSDの方が適しています。また、EMMCは書き込み回数に制限があるため、頻繁な書き込みが発生する用途には向いていません。

EMMCはNANDチップとコントローラが一体化されているため、故障した場合の修理が難しいという欠点があります。また、EMMCはSSDと比較して耐久性が低いため、過酷な環境下での使用には適していません。

EMMCは容量が固定されているため、後からストレージ容量を増設することができません。このため、将来的に容量不足が予想される場合は初めから大容量のEMMCを選択する必要があります。

EMMCとSSDの性能比較

EMMCとSSDはどちらもNAND型フラッシュメモリを使用した記憶装置ですが、性能面では大きな違いがあります。SSDはEMMCと比較して高速な読み書きが可能で、特にランダムアクセス時の性能が優れています。

EMMCの読み込み速度は最大で約400MB/s程度ですが、SSDの場合は1GB/s以上の高速モデルも存在します。また、書き込み速度についても、EMMCが最大で約100MB/s程度なのに対し、SSDは500MB/s以上の高速モデルがあります。

一方、EMMCはSSDと比較して安価で低消費電力という利点があります。このため、コストを抑えつつ大容量のストレージを実現したい場合や、バッテリー駆動の機器への搭載を考えている場合はEMMCが適しているといえるでしょう。

EMMCの主な用途

「EMMCの主な用途」に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • スマートフォンやタブレット端末への搭載
  • 組み込み機器への搭載
  • 低コストでの大容量ストレージの実現

スマートフォンやタブレット端末への搭載

EMMCはスマートフォンやタブレット端末など、モバイル機器への搭載に適しています。これらの機器は限られたスペースしかないため、コンパクトなパッケージサイズのEMMCが好まれる傾向にあります。

また、スマートフォンやタブレット端末はバッテリー駆動であるため、低消費電力であるEMMCが適しています。EMMCはSSDと比較して消費電力が低いため、バッテリー駆動時間を長く維持することができます。

さらに、スマートフォンやタブレット端末では大容量のストレージが必要とされるため、数十GB~数百GBの容量を持つEMMCが使用されることが多いです。EMMCは低コストで大容量を実現できるため、これらの機器に適しているといえます。

組み込み機器への搭載

EMMCはスマートフォンやタブレット端末以外にも、各種の組み込み機器に搭載されています。例えば、カーナビゲーションシステムや、デジタルカメラ、ゲーム機などがあります。

これらの機器でも、スマートフォンやタブレット端末と同様に、コンパクトなサイズと低消費電力が求められるため、EMMCが適しています。また、組み込み機器では信頼性の高さも重要視されるため、エラー訂正機能などを備えたEMMCが好まれる傾向にあります。

さらに、組み込み機器ではコストを抑えることも重要な要素の1つです。EMMCはSSDと比較して安価であるため、コストを抑えつつ大容量のストレージを実現したい場合に適しています。

低コストでの大容量ストレージの実現

EMMCは低コストで大容量のストレージを実現したい場合に適しています。EMMCはNANDチップとコントローラが一体化されているため、部品点数を削減でき、コストを抑えることができます。

また、EMMCはSSDと比較して安価であるため、同じ容量のストレージを実現する場合、コストを大幅に抑えることができます。このため、大容量のストレージが必要とされる用途で、コストを重視する場合にはEMMCが選択されることが多いです。

ただし、EMMCはSSDと比較して転送速度が遅いという欠点があるため、高速な読み書きが必要とされる用途ではSSDを選択する必要があります。用途に応じて、EMMCとSSDを使い分けることが重要といえるでしょう。

EMMCの今後の展望

「EMMCの今後の展望」に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • 大容量化の進展
  • 低消費電力化の推進
  • 高速化の可能性

大容量化の進展

EMMCは今後さらなる大容量化が進むと予想されています。現在、EMMCの最大容量は512GBですが、将来的には1TB以上の容量を持つEMMCが登場する可能性があります。

大容量化が進むことで、スマートフォンやタブレット端末、組み込み機器などでも、より多くのデータを保存できるようになります。また、大容量化によって、EMMCの用途がさらに広がることも期待できます。

ただし、大容量化を進める上ではコストの抑制が重要な課題の1つとなります。NANDチップの高集積化などによって、コストを抑えつつ大容量化を実現することが求められています。

低消費電力化の推進

EMMCは今後さらなる低消費電力化が推進されると予想されています。スマートフォンやタブレット端末、組み込み機器などではバッテリー駆動時間の長さが重要な要素の1つとなるため、低消費電力化への要求は高まっています。

EMMCの低消費電力化を実現するためにはNANDチップの微細化や、コントローラの省電力設計などが重要となります。また、ホストとのインターフェースの最適化によって、無駄な電力消費を抑えることも求められています。

低消費電力化が進むことで、バッテリー駆動の機器での使用がさらに広がることが期待できます。また、低消費電力化によって、発熱量を抑えることができるため、機器の信頼性向上にもつながります。

高速化の可能性

EMMCは現在のSSDと比較すると転送速度が遅いという欠点がありますが、今後は高速化が進む可能性があります。例えば、NANDチップの高速化や、コントローラの最適化によって、読み書き速度の向上が期待できます。

また、EMMCのインターフェースについても、高速化が検討されています。現在のEMMCはMMCインターフェースを採用していますが、将来的にはPCI Expressなどの高速インターフェースを採用するEMMCが登場する可能性があります。

高速化が進むことで、EMMCの用途がさらに広がることが期待できます。例えば、高速な読み書きが必要とされる用途でも、EMMCを使用できるようになる可能性があります。ただし、高速化を進める上ではコストとのバランスを取ることが重要な課題の1つとなるでしょう。

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