800MHz帯とは？意味をわかりやすく簡単に解説

text: XEXEQ編集部

800MHz帯とは
800MHz帯の周波数割り当てと利用状況
800MHz帯の周波数割り当ての仕組み
800MHz帯を利用する主な無線通信システム
800MHz帯の周波数再編と新サービスへの活用
800MHz帯の電波伝搬特性と通信エリア
800MHz帯の電波伝搬特性の優位性
800MHz帯を利用したサービスエリアの広さ
800MHz帯の電波伝搬における課題と対策
800MHz帯の技術動向と将来展望
800MHz帯を利用した通信技術の進化
800MHz帯の新たな活用シーンと期待される効果
800MHz帯の周波数利用の将来像
参考サイト

800MHz帯とは

800MHz帯とは無線通信に使用される周波数帯域の一つで、800MHz付近の周波数を指します。この周波数帯は主に携帯電話や無線LANなどの無線通信システムに利用されています。

800MHz帯の周波数範囲は国や地域によって異なりますが、一般的には790MHz～960MHzの間の周波数が該当します。この周波数帯は電波の伝搬特性が良好で、建物内への回り込みにも優れているため、携帯電話のサービスエリアを広くカバーすることができるのです。

日本では800MHz帯の周波数は主に携帯電話事業者に割り当てられています。各事業者はこの周波数帯を利用して、高品質な音声通話やデータ通信サービスを提供しています。

また、800MHz帯はLTEやIMT-2000といった高速データ通信規格にも使用されています。これらの規格はスマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスで利用される高速インターネット接続を実現するために不可欠な技術となっています。

さらに、800MHz帯はIoT(モノのインターネット)や M2M(機器間通信)といった新しい通信サービスにも活用されつつあります。これらのサービスでは多数のセンサーやデバイスが相互に通信を行うため、広いカバレッジと低消費電力が求められますが、800MHz帯はこれらの要件を満たすのに適した周波数帯だと言えるでしょう。

800MHz帯の周波数割り当てと利用状況

「800MHz帯の周波数割り当てと利用状況」に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

800MHz帯の周波数割り当ての仕組み
800MHz帯を利用する主な無線通信システム
800MHz帯の周波数再編と新サービスへの活用

800MHz帯の周波数割り当ての仕組み

800MHz帯の周波数割り当ては各国の電波管理機関によって行われます。日本では総務省が周波数の割り当てを管理しており、携帯電話事業者などに対して、800MHz帯の周波数を割り当てています。

周波数割り当ての際には事業者の事業計画や技術的な要件などが審査され、公平性や効率性を考慮した上で、周波数が割り当てられます。また、割り当てられた周波数の利用状況は定期的にチェックされ、適切に運用されているかどうかが監視されているのです。

周波数は限りある資源であるため、その割り当ては慎重に行われる必要があります。800MHz帯の周波数割り当ては国民生活に欠かせない携帯電話サービスの提供に直結するため、特に重要な意味を持っていると言えるでしょう。

800MHz帯を利用する主な無線通信システム

800MHz帯は携帯電話システムをはじめとする様々な無線通信システムに利用されています。日本ではNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクといった大手携帯電話事業者が、800MHz帯を使用して携帯電話サービスを提供しています。

また、800MHz帯はLPWA(Low Power Wide Area)と呼ばれる低消費電力広域ネットワークにも活用されています。LPWAはIoTデバイスからのデータ収集に適したネットワークで、省電力で広いエリアをカバーできるという特長があります。

さらに、800MHz帯は防災行政無線や業務用無線などの公共サービスにも使用されています。これらのシステムは災害時の通信手段として重要な役割を果たすため、信頼性の高い周波数帯が求められますが、800MHz帯はこうした要件を満たしているのです。

800MHz帯の周波数再編と新サービスへの活用

近年、800MHz帯の周波数再編が進められています。これは既存のサービスを維持しつつ、新たな無線通信システムに周波数を割り当てるための取り組みです。周波数再編によって、800MHz帯の利用効率が高まり、より多様なサービスが提供できるようになります。

具体的には5Gサービスへの活用が期待されています。5Gは高速・大容量、低遅延、多数同時接続といった特長を持つ次世代の移動通信システムですが、そのサービスエリアを拡大するために、800MHz帯の活用が検討されているのです。

また、800MHz帯はV2X(Vehicle-to-Everything)通信にも適しています。V2Xは車両と車両、車両とインフラなどの間で情報をやり取りする通信技術で、自動運転の実現に不可欠な技術の一つですが、800MHz帯はその通信に適した伝搬特性を持っているため、V2Xへの活用が期待されています。

800MHz帯の電波伝搬特性と通信エリア

「800MHz帯の電波伝搬特性と通信エリア」に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

800MHz帯の電波伝搬特性の優位性
800MHz帯を利用したサービスエリアの広さ
800MHz帯の電波伝搬における課題と対策

800MHz帯の電波伝搬特性の優位性

800MHz帯の電波は他の周波数帯に比べて伝搬特性に優れています。具体的には電波の減衰が少なく、遠くまで届きやすいという特長があります。また、建物や地形などの障害物による電波の減衰も比較的小さいため、安定した通信が可能になるのです。

この優れた伝搬特性は携帯電話サービスにとって大きなメリットとなります。800MHz帯を使用することで、基地局の数を減らしても広いエリアをカバーできるため、設備投資を抑えつつ、サービスエリアを拡大することができるからです。

また、800MHz帯の電波は建物内への回り込みにも優れています。高い周波数の電波は建物の壁などで反射されやすく、建物内での通信が難しくなる傾向がありますが、800MHz帯の電波は建物内に入り込みやすいため、屋内でも安定した通信が可能になります。

800MHz帯を利用したサービスエリアの広さ

800MHz帯を利用した携帯電話サービスは広大なエリアをカバーすることができます。これは800MHz帯の優れた電波伝搬特性によるものです。基地局から発信された電波が遠くまで届くため、少ない基地局でも広いエリアに通信サービスを提供できるのです。

特に、地方や山間部など、人口密度が低い地域でのサービス提供に威力を発揮します。これらの地域では高い周波数帯を使用した場合、多数の基地局を設置する必要があり、コストがかさんでしまいますが、800MHz帯を使えば、少ない基地局で広いエリアをカバーできるため、効率的にサービスを提供することができます。

また、800MHz帯のサービスエリアの広さは災害時の通信確保にも役立ちます。震災などの大規模災害が発生した際には通信インフラが損壊し、通信が困難になることがありますが、800MHz帯を使えば、少ない基地局で広いエリアをカバーできるため、通信の復旧が容易になるのです。

800MHz帯の電波伝搬における課題と対策

800MHz帯は優れた電波伝搬特性を持つ一方で、いくつかの課題も抱えています。その一つが、電波干渉の問題です。800MHz帯は他のシステムとの干渉が起こりやすく、通信品質の低下を招く恐れがあります。

この問題に対処するため、各国の電波管理機関は800MHz帯の利用に関するルールを設けています。例えば、隣接する周波数帯との間にガードバンドを設けたり、送信電力を制限したりすることで、干渉を最小限に抑える工夫がなされているのです。

また、基地局の配置や運用方法の最適化も重要です。複数の基地局が近接して設置されている場合、干渉が起こりやすくなるため、基地局の配置を工夫したり、送信電力を適切に制御したりすることで、干渉を回避するような対策がとられています。このように、技術的な工夫と適切な運用管理によって、800MHz帯の電波干渉の問題に対処しているのです。

800MHz帯の技術動向と将来展望

「800MHz帯の技術動向と将来展望」に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

800MHz帯を利用した通信技術の進化
800MHz帯の新たな活用シーンと期待される効果
800MHz帯の周波数利用の将来像

800MHz帯を利用した通信技術の進化

800MHz帯を利用した通信技術は継続的に進化を遂げています。当初は音声通話が主なサービスでしたが、データ通信の需要が高まるにつれ、より高速かつ大容量のデータ通信を実現する技術が開発されてきました。

現在ではLTEやIMT-2000といった高速データ通信規格が800MHz帯で利用されています。これらの規格ではMIMO(Multiple Input Multiple Output)アンテナや高度な変調方式などの技術が導入され、通信速度や周波数利用効率が大幅に向上しているのです。

さらに、5Gの登場によって、800MHz帯の通信技術はさらなる進化を遂げようとしています。5GではMassive MIMOやビームフォーミングといった先進的な技術が用いられ、より高速・大容量の通信が可能になります。これによって、800MHz帯は5Gサービスの提供にも重要な役割を果たすことが期待されているのです。

800MHz帯の新たな活用シーンと期待される効果

800MHz帯は携帯電話サービスだけでなく、様々な分野で活用が広がっています。特に注目されているのが、IoTやM2Mといった新しい通信サービスです。これらのサービスでは多数のセンサーやデバイスが相互に通信を行うため、広いカバレッジと低消費電力が求められますが、800MHz帯はこれらの要件に適合しているのです。

例えば、スマートメーターやスマート農業、物流管理などの分野では800MHz帯を利用したIoTシステムの導入が進んでいます。これらのシステムでは広域をカバーしつつ、省電力で長期間の運用が可能なため、効率的なデータ収集やモニタリングを実現できます。

また、V2X通信への活用も期待されています。自動車同士や、自動車とインフラの間で情報をやり取りするV2X通信は自動運転の実現に不可欠な技術ですが、800MHz帯はその通信に適した伝搬特性を備えているため、V2Xシステムの構築に役立つと考えられています。このように、800MHz帯はIoTやV2Xといった新しい通信サービスの発展を支える重要な周波数資源となっているのです。

800MHz帯の周波数利用の将来像

今後、800MHz帯の周波数利用はさらに拡大し、多様化していくことが予想されます。5Gサービスの普及に伴い、800MHz帯は5Gの通信エリアを拡大するための重要な周波数帯となるでしょう。また、IoTやV2Xといった新しい通信サービスの発展によって、800MHz帯の利用シーンはさらに広がっていくと考えられます。

一方で、800MHz帯の周波数需要の高まりに伴い、周波数の効率的な利用がますます重要になってきています。限られた周波数資源を有効活用するため、周波数の共同利用やダイナミックな割り当てなどの取り組みが進められると予想されます。

また、800MHz帯の国際的な調和も重要な課題となるでしょう。グローバルな通信サービスを実現するためには各国の周波数割り当てを統一し、互換性のある機器やシステムを開発することが不可欠です。国際機関や各国の政府、企業が協力して、800MHz帯の周波数利用に関する国際的なルール作りを進めていくことが求められます。

800MHz帯はこれからの無線通信を支える重要な周波数資源であり、その利活用は私たちの生活や社会に大きな影響を与えるでしょう。技術革新と周波数政策の両面から、800MHz帯の可能性を追求し、より豊かで便利な通信環境を実現していくことが期待されています。