成田空港で IoT スマートごみ箱「SmaGO」の運用実証開始、ごみ回収効率化と観光環境向上に期待

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

成田空港で IoT スマートごみ箱「SmaGO」の運用実証開始
ごみ回収の効率化と空港施設の美観維持が目的
観光環境保全と人手不足解消に貢献を目指す

成田空港で IoT スマートごみ箱「SmaGO」の実証実験開始

フォーステック、成田国際空港株式会社、三井住友海上火災保険は、2024年9月18日から10月17日まで成田空港第1ターミナル展望デッキにて IoT スマートごみ箱「SmaGO」の運用実証事業を開始した。国内の空港での設置は初となり、清掃業務の効率化や空港施設全体の美観維持につなげることを目的としている。^[1]

背景には、訪日外国人旅行者数の増加に伴う観光環境の整備がある。日本では自治体のごみ持ち帰り推奨政策によりごみ箱が撤去されるケースが多く、訪日外国人旅行者のアンケート調査では「ごみ箱の少なさ」が最も多い困り事として挙げられており、対処が急務となっていた。

「SmaGO」は、上部のソーラーパネルで発電した電力を活用し、ごみ箱内のごみを圧縮する機能を持つ。一般的なごみ箱と比較して約500L相当のごみを一度に収容でき、内蔵センサーによってごみの集積状況をリアルタイムに把握することが可能だ。これらの特徴により、ごみ回収の効率化・最適化ならびに街の美化を実現することが期待されている。

IoT スマートごみ箱「SmaGO」の特徴まとめ

項目	詳細
設置期間	2024年9月18日～10月17日
設置場所	成田空港第1ターミナル展望デッキ
設置台数	9台
主な機能	ごみの圧縮、ソーラーパネルによる発電
収容量	一般的なごみ箱の約500L相当
特徴	内蔵センサーによるごみの集積状況リアルタイム把握

IoT（Internet of Things）について

IoT とは、Internet of Things（モノのインターネット）の略称で、様々な「モノ」がインターネットに接続され、情報交換することにより相互に制御する仕組みのことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

あらゆるモノがインターネットにつながり、状態をセンシング・モニタリング
クラウドを通じてビッグデータを収集・分析し、最適な制御が可能
人の操作を介さずに、モノ同士が自律的に最適な制御を行う

今回の SmaGO の事例では、ごみ箱自体がインターネットに接続され、内蔵センサーによってごみの集積状況をリアルタイムに把握・通信することが IoT の具体的な応用例となっている。これにより、ごみ回収業務の効率化や最適化が可能となり、人手不足や環境問題などの社会課題解決にも貢献することが期待されている。

IoT スマートごみ箱「SmaGO」に関する考察

IoT スマートごみ箱「SmaGO」の導入は、ごみ回収業務の効率化だけでなく、訪日外国人旅行者の不満解消にも貢献する可能性が高い。特に、ソーラーパネルを活用した自給自足型の電力供給システムは、環境負荷の低減と運用コストの削減を同時に実現できる点で評価できる。ただし、初期投資コストや維持管理の負担が従来のごみ箱と比較して高くなる可能性があり、費用対効果の検証が今後の課題となるだろう。

また、ごみの圧縮機能により収容量が増加することで、ごみ回収頻度の低減が期待できるが、一方でごみの種類によっては圧縮が適さないものもある可能性がある。リサイクル可能なごみと一般ごみの分別機能の追加や、AI を活用したごみの自動分別システムの導入など、より高度な機能の実装が今後の改善点として考えられる。さらに、収集したデータを活用した観光客の行動分析や、効率的な清掃ルートの最適化など、派生的な活用方法の開発も期待したい。

今後、「SmaGO」の実証実験の結果を踏まえ、他の空港や観光地、さらには一般の公共施設への展開が進むことが予想される。ごみ問題は都市部だけでなく、地方の観光地でも深刻な課題となっているため、IoT 技術を活用した解決策として「SmaGO」の普及が進めば、日本全体の観光環境の向上と持続可能な観光産業の発展に寄与するだろう。