Appleが日本で「iPhoneのタッチ決済」の提供を開始、追加ハードウェアなしで挿入可能

text: XEXEQ編集部

iPhoneのタッチ決済に関する記事の要約

Appleがパートナーとの連携により非接触決済をiPhoneで提供開始
iPhoneとiOSアプリのみで追加ハードウェアなしに決済端末として利用可能
事業者側の電子決済対応費用の削減とお客様の安全な決済体験の両立
Apple Payと同等のプライバシー保護技術で購入情報などをAppleが把握せず

iPhone単体で非接触決済に対応、事業者の導入コストを大幅に削減

AppleはiPhoneとパートナーの対応iOSアプリのみで非接触決済に対応する「iPhoneのタッチ決済」を日本で提供開始した^[1]。従来、非接触決済の導入には専用の決済端末などの追加ハードウェアが必要だったが、iPhoneのタッチ決済ではそれらが不要となり、事業者側の導入コストを大幅に削減できる。

事業者は対応するiOSアプリでiPhoneのタッチ決済を使い始めることができ、お客様のクレジットカードやデビットカード、Apple Pay、その他のデジタルウォレットをiPhoneにかざすだけでNFCテクノロジーを利用して安全に支払いが完了する。iPhoneのタッチ決済は決済のプラットフォームやデベロッパのiOSアプリに統合可能で、事業者は簡単に導入できるようになっている。

提携する決済プラットフォームのアプリとして、GMOフィナンシャルゲートのstera tap、リクルートのAirペイタッチ、SquareのSquare POSレジが、日本で初めて事業者向けに提供を開始した。加えて、AdyenやApple Storeでも近日中に利用可能となる見込みだ。

プライバシーを保護するためのセキュリティ技術

iPhoneのタッチ決済において、お客様の決済情報はApple Payと同等のプライバシーを保護するセキュリティ技術で守られる。取引はすべてSecure Elementを利用して暗号化され、購入内容や購入者などの情報をAppleが把握することはない。

事業者は追加のハードウェアを必要とせず、電子決済への対応にかかる費用を削減しつつ、お客様に簡単かつ安全でプライバシーが守られた非接触決済の体験を提供できるようになった。Appleは日本でiPhoneのタッチ決済を提供するために、決済業界をリードするプラットフォームやアプリ開発者と密に協業している。iPhoneのタッチ決済は、今後さらに対応する決済プラットフォームやアプリの拡大が見込まれるだろう。

考察

iPhoneのタッチ決済の登場により、中小規模の事業者にとって非接触決済の導入障壁が大幅に下がったことから、キャッシュレス決済のさらなる普及が見込まれる。一方でiPhoneに依存した仕組みであるため、Androidユーザーへの対応やiPhoneの故障・紛失時のバックアップ体制など、課題への対処が必要になるだろう。

また、セキュリティ面ではApple Payと同等の高度な技術で保護されているとはいえ、実際の運用では事業者側のリテラシーも重要になる。不正利用を防ぐための管理体制の整備やトラブル発生時の対応フローの明確化など、技術面以外の備えも欠かせない。事業者のセキュリティ意識の向上、Appleをはじめとする決済事業者との連携が求められる。

将来的にはiPhoneのタッチ決済の対応アプリやサービスの拡充に加え、Apple以外のスマートフォンでの同様の仕組みの登場にも期待したい。各社が競うことでユーザー目線に立った利便性の向上、事業者の導入コスト削減が進むことを期待したい。