徳島県が医療MaaS実証実験を開始、オンライン診療車両で地域医療アクセス改善へ

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

徳島県が医療MaaSの実証実験を実施
オンライン診療機能を持つ専用車両を活用
海部郡と那賀郡の4町で健康相談を提供

徳島県が医療MaaS実証実験を開始、地域医療の課題解決へ

徳島県は2024年10月21日から24日にかけて、海部郡と那賀郡の4町で医療MaaSの実証実験を実施すると発表した。この取り組みは、病院や診療所が遠く交通手段も限られている地域の住民を支援するためのものだ。オンライン診療機能を持つ専用車両を活用し、住民の身近な生活拠点で健康相談等を行う県内初の試みとなる。^[1]

実証実験では、海陽町川上集会所や美波町志和岐公民館など6か所に医療MaaS車両を設置する。車内に設置された遠隔診療用の通信機器とモニターを通じて、参加者と病院側の医師をつなぎ、健康相談を実施する。各病院の看護師が車両に同乗し、円滑な健康相談のサポートを行う体制も整えられている。

この実証実験には、徳島県立海部病院や那賀町立上那賀病院など、1県4町9医療機関が参画する。実験は無料で行われるが、診療ではなく健康相談として実施されるため、医療的な処置や薬品の処方は行われない。ただし、海陽町立海南病院が実施する巡回診療の一環として行われる川上集会所での実証事業については、通常の診療費用が発生する。

医療MaaS実証実験の概要

実施日	場所	接続先病院
10月21日（月）	川上集会所、竹ヶ島生活改善センター、笹見コミュニティセンター	海陽町立海南病院、徳島県立海部病院
10月22日（火）	木頭文化会館	那賀町立上那賀病院
10月24日（木）	赤松防災拠点、志和岐公民館	美波町国民健康保険美波病院

MaaSについて

MaaSとは、「Mobility as a Service」の略称で、様々な交通サービスを統合して、利用者にシームレスな移動体験を提供するサービスのことを指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

複数の交通手段を一元的に利用可能
スマートフォンアプリなどを通じた予約・決済の統合
利用者のニーズに応じたカスタマイズされた移動サービスの提供

医療MaaSは、このMaaSの概念を医療サービスに応用したものだ。徳島県の実証実験では、オンライン診療機能を持つ専用車両を活用することで、交通手段が限られた地域住民に医療サービスを提供する。これにより、地域の医療アクセス改善や健康管理の支援が期待される。医療MaaSは、地域医療の課題解決に向けた新たなアプローチとして注目されている。

医療MaaS実証実験に関する考察

徳島県の医療MaaS実証実験は、過疎地域における医療アクセスの改善という点で非常に意義深い取り組みだ。オンライン診療機能を持つ専用車両を活用することで、従来の巡回診療よりも柔軟かつ効率的なサービス提供が可能になると考えられる。また、この取り組みは単なる医療サービスの提供にとどまらず、地域コミュニティの活性化にも寄与する可能性がある。

一方で、今後の課題としては、通信インフラの安定性や医療データの安全な管理、そして地域住民の ICTリテラシーの向上などが挙げられる。特に高齢者が多い地域では、オンライン診療に対する抵抗感や操作の難しさが障壁となる可能性がある。これらの課題に対しては、地域のボランティアや自治体職員による支援体制の構築や、ユーザーフレンドリーなインターフェースの開発などが解決策として考えられる。

将来的には、AIを活用した健康診断や遠隔手術支援など、より高度な医療サービスの提供も期待される。また、災害時の緊急医療支援や、季節性のある健康リスク（熱中症や感染症など）への迅速な対応にも医療MaaSが活用できるだろう。徳島県の取り組みが成功すれば、全国の過疎地域における医療課題解決のモデルケースとなる可能性を秘めている。