GIGAスクール構想の端末貸与に課題、会計検査院が文科省に改善促す
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記事の要約
- GIGAスクール構想で公立高校に端末補助
- 貸し出し端末の3分の1が余り12億円未使用
- 会計検査院が文科省に改善を促す
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GIGAスクール構想の端末貸与状況と課題
文部科学省は、GIGAスクール構想の一環として公立高校における低所得世帯向け端末の購入やリースを補助する事業を実施した。会計検査院は2024年10月15日、この事業に関する調査結果を公表し、文部科学省に改善を促した。調査対象となった9万5554台の端末のうち、最大で6万2752台しか貸与されておらず、3万2802台が余っている状況が明らかになった。[1]
会計検査院の調査によると、38の事業主体のうち14事業主体で最大貸与率が50%未満と低調であった。これらの事業主体では、合計3万3809台の端末のうち最大貸与台数は7547台にとどまり、2万6262台が余剰となっていた。補助金相当額に換算すると、約9億9803万円分の端末が有効活用されていない状況だ。
貸与率が低調となった主な理由として、BYOD方式等の導入により各生徒が自ら端末を準備する必要があったことや、補助端末の貸与希望者が調達時の想定よりも少なかったことなどが挙げられている。また、調達台数の決定時に生徒の端末所有状況や購入意向を考慮しなかったことも、過剰調達の一因となっていた。
GIGAスクール構想の端末貸与状況まとめ
全体 | 最大貸与率50%未満の事業主体 | |
---|---|---|
事業主体数 | 38 | 14 |
整備台数 | 95,554台 | 33,809台 |
最大貸与台数 | 62,752台 | 7,547台 |
余剰台数 | 32,802台 | 26,262台 |
補助金相当額 | 12億7048万円 | 9億9803万円 |
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GIGAスクール構想について
GIGAスクール構想とは、1人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し、多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化された創造性を育む教育を全国の学校現場で持続的に実現させる構想のことを指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。
- 児童生徒1人1台の学習者用端末整備
- 高速大容量の通信ネットワーク環境整備
- クラウド活用を前提とした学習・教育環境の構築
GIGAスクール構想では、小中学校には一律で端末を配備し、公立高校については自治体に対し低所得世帯に貸し出す端末の購入やリースを補助するとしていた。しかし、会計検査院の調査結果により、貸し出し端末の3分の1が余り、補助金換算で12億円分が使われていないことが明らかになった。この結果を受け、文部科学省には端末の有効活用や貸与促進に向けた改善が求められている。
GIGAスクール構想の端末貸与に関する考察
GIGAスクール構想における端末貸与の取り組みは、教育のデジタル化と機会均等を目指す点で評価できる。低所得世帯の生徒に対して端末を提供することで、経済的な理由によるデジタルデバイドの解消に貢献し、学習環境の格差縮小に寄与する可能性がある。しかし、貸与率の低さや余剰端末の存在は、事業の効率性と有効性に課題があることを示している。
今後の問題として、余剰端末の管理コストや、技術の急速な進歩による端末の陳腐化が懸念される。また、BYOD方式の普及により、貸与端末の需要がさらに減少する可能性もある。これらの問題に対する解決策として、柔軟な貸与基準の設定や、余剰端末の他用途への転用、自治体間での端末の融通などが考えられる。
今後は、端末の貸与だけでなく、デジタル教材の充実やICT支援員の配置など、ソフト面の整備にも注力すべきだ。また、教員のICTスキル向上や、家庭でのインターネット環境整備支援なども重要な課題となるだろう。GIGAスクール構想の本来の目的である教育の質の向上と機会均等の実現に向け、ハード・ソフト両面からの総合的なアプローチが期待される。
参考サイト
- ^ 会計検査院 Board of Audit of Japan. 「GIGAスクール構想の一環として公立学校情報機器購入事業等により高校に整備された学習者用コンピュータについて」. https://www.jbaudit.go.jp/pr/kensa/result/6/pdf/061015_01.pdf, (参照 24-10-17).
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