【CVE-2024-11549】IrfanView 4.67.0.0でDXFファイル解析の脆弱性、リモートコード実行のリスクが浮上

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

IrfanView 4.67.0.0でDXFファイル解析の脆弱性が発見
リモートコード実行の脆弱性でCVSS値は7.8のHigh評価
ユーザーの操作を必要とする攻撃で悪意あるファイルから実行可能

IrfanViewのDXFファイル解析における重大な脆弱性

Zero Day Initiativeは2024年11月22日、IrfanView 4.67.0.0においてDXFファイル解析時のバッファオーバーフローによるリモートコード実行の脆弱性を発見したことを公開した。この脆弱性は【CVE-2024-11549】として識別され、CVSS 3.0でHigh(7.8)と評価されている。^[1]

この脆弱性は、DXFファイルの解析処理において、ユーザーが提供したデータの適切な検証が行われないことに起因している。攻撃者は悪意のあるページやファイルを介してユーザーの操作を誘導し、割り当てられたバッファの範囲を超えて書き込みを行うことで、現在のプロセスのコンテキストで任意のコードを実行できる可能性がある。

ZDI-CAN-24746として報告されたこの問題は、Out-of-bounds Writeの脆弱性（CWE-787）に分類されている。攻撃には特権は不要だがユーザーの操作が必要とされ、影響範囲はユーザーレベルに限定されるものの、機密性・整合性・可用性のすべてにおいて高いリスクが存在する。

IrfanView 4.67.0.0の脆弱性詳細

項目	詳細
CVE番号	CVE-2024-11549
影響を受けるバージョン	IrfanView 4.67.0.0
脆弱性の種類	Out-of-bounds Write (CWE-787)
CVSS値	7.8 (High)
攻撃条件	ユーザーの操作が必要
影響範囲	機密性・整合性・可用性すべてにおいて高リスク

Out-of-bounds Writeについて

Out-of-bounds Writeとは、プログラムが割り当てられたバッファの境界を超えてデータを書き込む脆弱性のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

メモリ破壊によるプログラムの異常動作や強制終了
任意のコード実行による権限昇格やシステム制御の奪取
機密情報の漏洩やデータの改ざんのリスク

DXFファイルの解析処理において、ユーザーが提供したデータの適切な検証が行われないことで、割り当てられたバッファの範囲を超えて書き込みが発生する可能性がある。攻撃者はこの脆弱性を悪用し、現在のプロセスのコンテキストで任意のコードを実行することが可能となる。

IrfanViewの脆弱性に関する考察

画像処理ソフトウェアにおけるファイル解析の脆弱性は、ユーザーが日常的に画像ファイルを扱う必要がある環境で特に重大な影響を及ぼす可能性がある。IrfanViewは広く利用されているソフトウェアであることから、悪意のある攻撃者がこの脆弱性を標的型攻撃に利用する危険性が高まっている。対策として、不審なファイルの開封を避け、ベンダーから提供される修正プログラムを適用することが重要だ。

今後は入力データの検証強化やメモリ安全性の向上など、より堅牢なセキュリティ対策の実装が求められる。特にファイルフォーマットの解析処理においては、バッファオーバーフローを防ぐための厳密な境界チェックやサニタイズ処理の導入が不可欠である。ユーザーの意図しない操作による被害を最小限に抑えるため、セキュアコーディングの原則に基づいた開発プロセスの見直しも検討すべきだろう。

また、セキュリティ研究者とソフトウェアベンダーの継続的な協力関係の構築も重要である。脆弱性の早期発見と迅速な対応を実現するためには、責任ある情報開示の仕組みを確立し、ユーザーへの適切な情報提供と修正プログラムの配布を効率的に行える体制を整えることが望ましい。