NEDOが浮体式洋上風力発電の次世代技術開発事業を採択、大型浮体式垂直軸型風車の実現性検証へ

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

NEDOが浮体式洋上風力発電の次世代技術開発事業を採択
大型浮体式垂直軸型風車の実現性検証を5社が共同提案
浮体式洋上風力の商用化で再生可能エネルギーの主力電源化を目指す

NEDOが浮体式洋上風力発電の次世代技術開発事業を採択

アルバトロス・テクノロジー、Ｊパワー、東電ＨＤ、川崎汽船、SHI-MEの5社は、NEDOの「浮体式洋上風力発電の導入促進に資する次世代技術の開発」の実施者公募において「大型浮体式垂直軸型風車の実現性検証」を共同提案し、2024年9月11日に実施予定先として採択された。この採択により、浮体式洋上風力発電の次世代技術開発が本格的に始動することとなった。^[1]

本事業では、風車と浮体が一緒に回転する垂直軸型（浮遊軸型）風車の大型商用機の実現可能性を検証し、基本設計承認取得に向けた設計を行う。大型化した垂直軸型風車は、従来型（水平軸型）風車と同等の効率が得られるほか、浮体部分が小型・低コストとなる利点がある。さらに、水深や底質が変わってもほぼ同じ設計で生産できるため、大量導入によるコスト削減も期待されている。

5社はそれぞれの知見を活かして浮遊軸型風車の開発に取り組み、洋上風力発電の主力電源化を目指している。この取り組みは、再生可能エネルギーの主力電源化を促進し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献することが期待されている。浮体式洋上風力発電の商用化は、特に浅い海が限られる日本にとって重要な課題となっている。

浮体式洋上風力発電の次世代技術開発事業の概要

企業名	主な役割
アルバトロス・テクノロジー	浮遊軸型風車の全体システム設計、風車材料の設計・製造検討、ライフサイクルコスト検討
Ｊパワー	大型浮体の認証プロセス検討、サプライチェーンの分析・調査
東電ＨＤ	大型機のための数値解析手法の確立
川崎汽船	設置および保守・運転維持コスト低減の研究、ライフサイクルコスト検討
SHI-ME	大型機のための設計技術及び生産技術の研究

浮遊軸型風車について

浮遊軸型風車とは、風車と浮体が一体となって回転する新しい形式の洋上風力発電システムのことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

風車と浮体が一緒に回転することで効率的な発電が可能
従来型（水平軸型）風車と同等の効率を実現
浮体部分が小型化でき、低コスト化が可能

浮遊軸型風車は、特に日本のような浅い海が限られる環境での洋上風力発電の実用化に大きな可能性を秘めている。水深や底質が変わってもほぼ同じ設計で生産できるため、大量導入によるコスト削減効果も期待されている。この技術の実用化は、再生可能エネルギーの主力電源化を促進し、カーボンニュートラル社会の実現に向けた重要な一歩となるだろう。

浮体式洋上風力発電の次世代技術開発に関する考察

NEDOによる浮体式洋上風力発電の次世代技術開発事業の採択は、日本のエネルギー政策において重要な一歩となる。特に浮遊軸型風車の開発は、従来の水平軸型風車に比べてコスト削減と効率向上の可能性を秘めており、日本の地理的特性に適した技術として期待できる。しかし、新技術の実用化には技術的課題や環境への影響評価など、多くの障壁が存在することも予想される。

今後の課題としては、大型化に伴う構造的な安定性の確保や、厳しい海洋環境下での長期耐久性の実証が挙げられる。また、漁業や海運業との共存など、社会的な合意形成も重要な課題となるだろう。これらの問題に対しては、産学官連携のさらなる強化や、実証実験の段階的な拡大、地域コミュニティとの対話促進などが解決策として考えられる。

今後は、浮遊軸型風車の実用化に向けた技術開発の加速化と並行して、関連する産業の育成や人材育成にも注力する必要がある。さらに、国際標準化や知的財産戦略の構築も重要となるだろう。日本が浮体式洋上風力発電の分野で世界をリードし、グローバルな再生可能エネルギー市場で競争力を獲得することを期待したい。

参考サイト

^ PR TIMES. 「NEDO「浮体式洋上風力発電の次世代技術開発委託事業」に採択されました　～大型浮体式垂直軸型風車の実現性検証～ | 株式会社アルバトロス・テクノロジーのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000106573.html, (参照 24-09-12).

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