住友林業がインドネシアで熱帯泥炭地修復事業を開始、AI・ドローンで持続可能な管理モデルを構築へ

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

住友林業がインドネシアで熱帯泥炭地の修復事業開始
衛星・ドローン・AIを活用した新技術で管理
経済と環境の両立を目指すモデル構築へ

住友林業のインドネシア熱帯泥炭地修復事業が始動

住友林業株式会社の100％子会社であるインドネシア住友林業は、2024年8月17日にインドネシア環境林業省の環境破壊管理総局および泥炭マングローブ復興庁と事業協力協定を締結した。この協定に基づき、インドネシア中央カリマンタン州のメガライスプロジェクト跡地約1万haで、先端技術を活用した新たな泥炭地管理技術の実証事業を開始する。^[1]

本事業は経済産業省のグローバルサウス未来志向型共創等事業で採択された取り組みであり、2027年8月まで実施される予定だ。住友林業グループは西カリマンタン州で培った独自の熱帯泥炭地管理技術を活用し、泥炭火災の防止やCO2排出量削減、生物多様性の保全、地域住民の雇用創出を目指している。

事業の特徴として、最先端の衛星・ドローン・AIを使用した技術実証が挙げられる。これにより、一時的な熱帯泥炭地の修復ではなく、持続可能な熱帯泥炭地管理モデルの構築を目標としている。このモデルは、世界で唯一の日本の技術として、国際的な熱帯泥炭地の課題解決やインドネシアの温室効果ガス削減目標達成に寄与することが期待されている。

住友林業の熱帯泥炭地修復事業の概要

項目	詳細
実施場所	インドネシア中央カリマンタン州メガライスプロジェクト跡地
対象面積	約1万ha
実施期間	2024年8月17日～2027年8月
使用技術	衛星・ドローン・AI
主な目標	持続可能な熱帯泥炭地管理モデルの構築
期待される効果	泥炭火災防止、CO2排出量削減、生物多様性保全、地域雇用創出

熱帯泥炭地について

熱帯泥炭地とは、過湿環境下で植物の遺体が分解されずに堆積した有機物の土壌のことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

大量の水と炭素を含有する特殊な生態系
インドネシア、アマゾン、コンゴ盆地に主に分布
全世界で約82百万haの面積を持つ

熱帯泥炭地は、少なくとも890億トンの炭素を貯蔵しており、これは2017年の世界の炭素排出量の約10倍に相当する。しかし、不適切な土地管理や農業開発により水が排水されると、土壌が乾燥し微生物による分解が進む他、火災発生によって大量のCO2が大気中に放出される危険性がある。そのため、地下水位の適切な管理が非常に重要となっている。

住友林業の熱帯泥炭地修復事業に関する考察

住友林業の熱帯泥炭地修復事業は、環境保護と経済活動の両立を目指す画期的な取り組みだ。特に、最先端技術を活用した持続可能な管理モデルの構築は、将来的な熱帯泥炭地の保全に大きな影響を与える可能性がある。しかし、長期的な観点からは、地域住民の生活との調和や、技術の現地への移転・定着が課題となるだろう。

この事業の成功には、地域コミュニティとの密接な連携や、現地の環境条件に適応した技術開発が不可欠だ。また、炭素クレジット制度との連携や、他の熱帯泥炭地を持つ国々への技術移転なども、今後の展開として期待される。住友林業には、この事業を通じて得られた知見を広く共有し、グローバルな環境保護活動のモデルケースとなることが求められる。

今後、この事業モデルが他の地域や国々に展開されることで、熱帯泥炭地の保全と持続可能な利用の両立が世界規模で実現する可能性がある。住友林業には、技術開発にとどまらず、国際的な環境政策への提言や、他企業との協働など、より広範な活動展開が期待される。熱帯泥炭地の重要性に対する国際的な認識を高め、その保全に向けた取り組みを加速させることが、この事業の真の成功につながるだろう。

参考サイト

^ PR TIMES. 「インドネシアで熱帯泥炭地の修復と管理の実証事業を開始～メガライスプロジェクト跡地で先端技術を活用し経済と環境両立のモデルを構築～ | 住友林業株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000052275.html, (参照 24-09-19).
経済産業省. https://www.meti.go.jp/index.html

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