FSR(Force Sensitive Resistor)とは?意味をわかりやすく簡単に解説
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FSR(Force Sensitive Resistor)とは
FSR(Force Sensitive Resistor)は抵抗値が加えられた力に応じて変化する圧力センサーの一種です。FSRは二つの導電体の間に挟まれた感圧導電性の素材で構成されています。
FSRに力が加わると、導電体間の接触面積が増加し、抵抗値が減少します。この抵抗値の変化を測定することで、加えられた力の大きさを検出できるのです。
FSRは薄型で柔軟性があり、様々な形状や大きさで製造できます。また、低コストで製造できるため、幅広い用途で使用されています。
FSRは押す・つかむ・曲げるなどの動作を検出するために使用されます。ロボット工学、自動車、医療機器、ゲームコントローラーなど、多岐にわたる分野で活用されているのが特徴です。
FSRの出力は抵抗値の変化として得られます。この抵抗値の変化をマイクロコントローラーなどで読み取り、力の大きさを推定することができます。
FSRの構造と動作原理
FSRの構造と動作原理について、以下3つを簡単に解説していきます。
- FSRの基本的な構造
- FSRの感圧導電層の役割
- FSRの抵抗値変化のメカニズム
FSRの基本的な構造
FSRは主に3つの層から構成されています。上部と下部の導電体層、そしてその間に挟まれた感圧導電層です。
上部と下部の導電体層は柔軟性のあるプラスチックフィルムに導電性のインクが印刷されたものが一般的です。感圧導電層は導電性の微粒子が分散された高分子材料で形成されています。
これらの層が積層され、端子が取り付けられることで、FSRセンサーが完成します。FSRの構造は単純ですが、高感度で信頼性の高い力の検出を可能にしています。
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FSRの感圧導電層の役割
FSRの感圧導電層は力に応じて抵抗値が変化する重要な役割を担っています。この層は導電性の微粒子が高分子材料中に分散された構造をしています。
感圧導電層に力が加わると、導電性微粒子間の距離が縮まり、接触面積が増加します。その結果、層全体の抵抗値が減少するのです。
感圧導電層の材料や微粒子の種類、分散状態などを調整することで、FSRの感度や測定範囲を最適化することができます。感圧導電層の特性が、FSRの性能を大きく左右するのです。
FSRの抵抗値変化のメカニズム
FSRの抵抗値変化は感圧導電層の導電性微粒子間の接触面積の変化に起因しています。力が加わっていない状態では微粒子間の接触面積は小さく、抵抗値は高くなります。
一方、力が加わると微粒子間の距離が縮まり、接触面積が増加します。その結果、電流が流れやすくなり、抵抗値が減少するのです。
FSRの抵抗値変化は非線形な特性を示します。つまり、加えられた力と抵抗値の関係はリニアではありません。この非線形性を考慮して、FSRの出力を適切に処理する必要があります。
FSRの用途と応用例
FSRの用途と応用例について、以下3つを簡単に解説していきます。
- FSRを使ったタッチセンサー
- FSRを使ったロボットハンドの力制御
- FSRを使った医療機器への応用
FSRを使ったタッチセンサー
FSRはタッチセンサーとして幅広く使用されています。ボタンやスイッチの代替として、直感的な操作を可能にします。
FSRをボタンの下に配置し、押す力の大きさを検出することで、単なるオン/オフだけでなく、押す強さに応じた制御が可能になります。ゲームコントローラーやタッチパネルなどに応用されています。
また、FSRを使ったタッチセンサーは柔軟性があり薄型化できるため、ウェアラブルデバイスやフレキシブルエレクトロニクスにも適しています。FSRを使うことで、様々な形状や用途に合わせたタッチセンサーを実現できるのです。
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FSRを使ったロボットハンドの力制御
FSRはロボットハンドの力制御に使用されています。ロボットハンドの指先にFSRを取り付け、対象物を掴む際の力を検出します。
FSRから得られる力の情報を元に、ロボットハンドの把持力を適切に制御することができます。これにより、壊れやすい物体を壊さずに掴んだり、適切な力で組み立て作業を行ったりすることが可能になります。
FSRを使ったロボットハンドは産業用ロボットだけでなく、医療や福祉の分野でも活用されています。例えば、FSRを使った義手はより自然な力加減で物体を掴むことができるため、ユーザーの生活の質の向上に寄与しています。
FSRを使った医療機器への応用
FSRは医療機器にも応用されています。例えば、歩行分析システムではFSRを内蔵したインソールを使用します。
歩行時の足裏にかかる圧力分布をFSRで測定することで、歩行の異常や障害を検出できます。この情報を元に、リハビリテーションの効果を評価したり、適切な靴の選択やインソールの作製に役立てたりすることができます。
また、FSRを使った床ずれ防止マットレスも開発されています。マットレス内のFSRが患者の体圧分布を監視し、床ずれのリスクが高い部位を特定します。それに応じてマットレスの硬さを自動調整することで、床ずれの予防に役立てることができるのです。
FSRの測定回路と出力処理
FSRの測定回路と出力処理について、以下3つを簡単に解説していきます。
- FSRの基本的な測定回路
- FSRの出力の線形化
- FSRの温度特性への対策
FSRの基本的な測定回路
FSRの抵抗値変化を電圧信号として取り出すには分圧回路を使用します。下図のように、FSRと固定抵抗を直列に接続し、その間の電圧を測定するのです。
Vcc
|
___
| |
FSR |
|___|
|
|___ 固定抵抗
|
GND
FSRに力が加わると、その抵抗値が減少し、固定抵抗両端の電圧が上昇します。この電圧変化をADコンバータで読み取ることで、加えられた力の大きさを推定できます。
固定抵抗の値はFSRの抵抗値範囲と使用するADコンバータの分解能を考慮して選定します。適切な固定抵抗を選ぶことで、FSRの感度と測定範囲を最適化できます。
FSRの出力の線形化
FSRの抵抗値変化は非線形です。つまり、加えられた力と出力電圧の関係が一定ではありません。この非線形性を補正するために、出力の線形化が必要となります。
線形化の方法としてはルックアップテーブルを使う方法があります。予め、既知の力を加えたときのFSRの出力電圧を測定し、テーブルにまとめておきます。測定時にはこのテーブルを参照して、出力電圧から力を推定するのです。
また、数式による近似を使う方法もあります。FSRの出力電圧と力の関係を、指数関数やべき乗関数などで近似し、その逆関数を使って力を推定します。適切な近似式を選ぶことで、より正確な力の測定が可能になります。
FSRの温度特性への対策
FSRの抵抗値は温度の影響を受けます。温度が上昇すると、FSRの抵抗値が減少する傾向があります。この温度特性を補償しないと、力の測定精度が低下してしまいます。
温度補償の方法としては温度センサーを使う方法があります。FSRの近くに温度センサーを配置し、温度変化を監視します。測定された温度に応じて、FSRの出力値を補正するのです。
また、自己発熱による影響を最小限に抑えるため、FSRに流れる電流を制限することも重要です。固定抵抗の値を適切に選び、FSRに流れる電流を必要最小限に抑えることで、自己発熱の影響を軽減できます。
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