公開:

R-CNN(Region-based Convolutional Neural Networks)とは?意味をわかりやすく簡単に解説

text: XEXEQ編集部


R-CNN(Region-based Convolutional Neural Networks)とは

R-CNNはRegion-based Convolutional Neural Networksの略称で、物体検出のための深層学習アルゴリズムの一種です。このアルゴリズムは、画像内の物体を検出し、その位置を特定することができます。

R-CNNは、大量の画像データを用いて学習することで、高い精度で物体検出を行うことが可能となります。学習には、物体が含まれる画像と、その物体の位置を示すバウンディングボックスのアノテーションデータが必要です。

R-CNNのアルゴリズムは、大きく分けて2つのステップから構成されています。まず、入力画像から物体候補領域を抽出し、次にその候補領域を畳み込みニューラルネットワーク(CNN)に入力して特徴量を抽出します。

抽出された特徴量は、SVMなどの分類器を用いて物体のカテゴリを判定します。また、物体の位置を示すバウンディングボックスの座標は、線形回帰モデルを用いて推定されます。

R-CNNは、物体検出の精度を大幅に向上させましたが、処理速度が遅いという課題がありました。この課題を解決するために、Fast R-CNNやFaster R-CNNなどの改良版が提案されています。

R-CNNの物体候補領域の抽出方法

R-CNNにおける物体候補領域の抽出は、Selective Searchと呼ばれる手法を用いて行われます。以下の3つの手法について解説していきます。

  • Selective Searchのアルゴリズム
  • 物体候補領域の絞り込み方法
  • 候補領域のサイズの調整方法

Selective Searchのアルゴリズム

Selective Searchは、画像内の領域を階層的に結合していくことで、物体候補領域を生成するアルゴリズムです。まず、画像をオーバーセグメンテーションにより小さな領域に分割します。

次に、隣接する領域を類似度に基づいて順次結合していきます。類似度の計算には、色やテクスチャ、領域のサイズなどの特徴量が用いられます。

このプロセスを繰り返すことで、様々なスケールの物体候補領域が生成されます。生成された候補領域は、物体を含む可能性が高い領域として扱われます。

物体候補領域の絞り込み方法

Selective Searchにより生成された物体候補領域は、数が膨大になる場合があります。計算コストを抑えるために、候補領域の絞り込みが行われます。

絞り込みには、非極大値抑制(Non-Maximum Suppression)と呼ばれる手法が用いられます。この手法では、候補領域のスコアが高い順に選択し、選択された領域と重なりが大きい領域を削除していきます。

これにより、重複する候補領域が除去され、物体を含む可能性が高い領域のみが残ります。絞り込まれた候補領域は、後段のCNNによる特徴量抽出に用いられます。

候補領域のサイズの調整方法

物体候補領域は、様々なサイズで生成されます。CNNに入力するためには、これらの候補領域を一定のサイズに調整する必要があります。

サイズの調整には、アフィン変換と呼ばれる手法が用いられます。アフィン変換により、候補領域を任意のサイズに拡大・縮小したり、回転したりすることができます。

調整後の候補領域は、CNNの入力サイズに合わせて切り出されます。これにより、CNNによる特徴量抽出が可能となります。

R-CNNにおけるCNNの役割

R-CNNでは、物体候補領域から特徴量を抽出するために、CNNが用いられます。以下の3つの役割について解説していきます。

  • CNNによる特徴量抽出の仕組み
  • R-CNNで使用されるCNNのアーキテクチャ
  • 転移学習による特徴量抽出の高速化

CNNによる特徴量抽出の仕組み

CNNは、画像から特徴量を自動的に学習することができるニューラルネットワークです。CNNは、畳み込み層とプーリング層を交互に積み重ねることで、画像の局所的な特徴を抽出します。

R-CNNでは、物体候補領域をCNNに入力し、その出力を特徴量として用います。CNNの出力は、高次元のベクトルで表現され、物体のカテゴリ判定や位置推定に用いられます。

CNNによる特徴量抽出は、物体の形状やテクスチャ、色などの情報を効果的に捉えることができます。これにより、高い精度での物体検出が可能となります。

R-CNNで使用されるCNNのアーキテクチャ

R-CNNでは、AlexNetと呼ばれるCNNのアーキテクチャが使用されています。AlexNetは、2012年のILSVRC(ImageNet Large Scale Visual Recognition Challenge)で優勝したモデルです。

AlexNetは、5つの畳み込み層と3つの全結合層から構成されています。各畳み込み層の後にはプーリング層が置かれ、特徴量のダウンサンプリングが行われます。

最終的な出力は、4096次元のベクトルとなります。このベクトルが、物体候補領域の特徴量として用いられます。

転移学習による特徴量抽出の高速化

R-CNNでは、大量の画像データを用いてCNNを学習する必要があります。しかし、CNNの学習には多大な計算コストがかかります。

そこで、R-CNNでは転移学習と呼ばれる手法が用いられます。転移学習では、他のタスクで学習済みのCNNを利用することで、学習コストを大幅に削減できます。

具体的には、ImageNetで学習済みのAlexNetを用いて、物体候補領域の特徴量を抽出します。これにより、少ない学習データでも高い精度での物体検出が可能となります。

R-CNNの課題と改良版

R-CNNは、物体検出の精度を大幅に向上させましたが、いくつかの課題も抱えています。以下の3つの課題と、その改良版について解説していきます。

  • R-CNNの処理速度の課題
  • Fast R-CNNによる処理の高速化
  • Faster R-CNNによる候補領域抽出の高速化

R-CNNの処理速度の課題

R-CNNは、物体候補領域ごとにCNNを適用するため、処理速度が非常に遅いという課題があります。具体的には、1枚の画像を処理するのに数十秒から数分の時間がかかります。

この処理速度の遅さは、実用上の大きな障壁となっていました。特に、動画のようなリアルタイムの物体検出が必要とされる場面では、R-CNNの適用が難しいとされていました。

処理速度の改善には、物体候補領域の絞り込みや、CNNの計算の効率化が必要とされていました。

Fast R-CNNによる処理の高速化

Fast R-CNNは、R-CNNの処理速度の課題を解決するために提案された改良版です。Fast R-CNNでは、物体候補領域を抽出する前に、入力画像全体をCNNに通すことで、特徴量マップを得ます。

物体候補領域は、この特徴量マップ上で定義されます。これにより、CNNの適用回数を大幅に削減することができ、処理速度が向上します。

また、Fast R-CNNでは、物体のカテゴリ判定と位置推定を同時に行うことができます。これにより、R-CNNに比べて、より効率的な学習が可能となります。

Faster R-CNNによる候補領域抽出の高速化

Faster R-CNNは、Fast R-CNNをさらに改良した手法です。Faster R-CNNでは、物体候補領域の抽出にRegion Proposal Network(RPN)と呼ばれるニューラルネットワークを用います。

RPNは、特徴量マップ上で、物体候補領域を直接的に生成することができます。これにより、Selective Searchのような従来の手法に比べて、大幅に処理速度を向上させることができます。

また、RPNは、物体候補領域の抽出と、それらの領域における物体の有無の判定を同時に行うことができます。これにより、より効率的な学習が可能となります。

※上記コンテンツはAIで確認しておりますが、間違い等ある場合はコメントよりご連絡いただけますと幸いです。

「AI」に関するコラム一覧「AI」に関するニュース一覧
ブログに戻る

コメントを残す

コメントは公開前に承認される必要があることにご注意ください。