【CVE-2024-46842】Linux Kernelに解放済みメモリ使用の脆弱性、DoS攻撃のリスクが浮上

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約
Linux Kernelの解放済みメモリ使用の脆弱性
Linux Kernel脆弱性の詳細
解放済みメモリの使用について
Linux Kernelの脆弱性対応に関する考察
参考サイト

記事の要約

Linux KernelにDoS攻撃可能な脆弱性が発見
解放済みメモリの使用に関する問題が存在
6.10.10未満のバージョンが影響を受ける

Linux Kernelの解放済みメモリ使用の脆弱性

Linuxの公式サイトは、Linux Kernelに解放済みメモリの使用に関する脆弱性が存在することを公表した。この脆弱性はCVE-2024-46842として識別されており、CWEによる脆弱性タイプは解放済みメモリの使用（CWE-416）に分類されている。NVDの評価によると、攻撃元区分はローカルであり、攻撃条件の複雑さは低いとされている。^[1]

影響を受けるシステムはLinux Kernel 6.10.10未満のバージョンであり、この脆弱性を悪用されるとサービス運用妨害（DoS）状態に陥る可能性がある。CVSSv3による基本値は5.5（警告）とされており、機密性への影響はないものの、可用性への影響が高いと評価されている。攻撃に必要な特権レベルは低く、利用者の関与は不要とされている。

ベンダーは正式な対策を公開しており、Linuxユーザーに対して適切な対策の実施を呼びかけている。具体的な対策としては、Kernel.orgのgitリポジトリにおいて、scsi: lpfcドライバーのメールボックスタイムアウト処理に関する修正が行われている。これらの修正を適用することで、脆弱性のリスクを軽減することが可能となっている。

Linux Kernel脆弱性の詳細

項目	詳細
脆弱性識別子	CVE-2024-46842
影響を受けるバージョン	Linux Kernel 6.10.10未満
脆弱性タイプ	解放済みメモリの使用（CWE-416）
CVSS基本値	5.5（警告）
攻撃元区分	ローカル
想定される影響	サービス運用妨害（DoS）

解放済みメモリの使用について

解放済みメモリの使用とは、既に解放されたメモリ領域に対してプログラムがアクセスしようとする問題を指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

プログラムの実行中に予期せぬ動作や異常終了を引き起こす可能性がある
攻撃者によって悪用されると、システムの安定性や機密性を脅かす恐れがある
メモリ管理の不適切な実装や、ポインタの誤った操作が原因となることが多い

Linux Kernelにおける今回の脆弱性は、scsi: lpfcドライバーのメールボックスタイムアウト処理に関連している。この問題により、攻撃者がローカルから特権昇格を必要とせずにDoS攻撃を実行できる可能性がある。ベンダーが提供する修正パッチを適用することで、この脆弱性のリスクを軽減することができるため、影響を受けるバージョンのユーザーは速やかに対策を講じることが推奨される。

Linux Kernelの脆弱性対応に関する考察

Linux Kernelの脆弱性対応は、オープンソースコミュニティの迅速な対応力を示す好例だ。脆弱性が発見されてから短期間で修正パッチが提供されたことは、セキュリティ面での信頼性向上につながっている。ただし、この迅速な対応がすべてのLinuxディストリビューションやエンドユーザーに即座に反映されるわけではなく、パッチ適用の遅延が新たなセキュリティリスクを生む可能性もある。

今後の課題として、脆弱性情報の効果的な周知と、パッチ適用プロセスの自動化が挙げられる。特に、エンタープライズ環境では、システムの安定性を維持しつつセキュリティパッチを適用する必要があり、この両立が難しい場合がある。Linux Kernelの開発チームには、パッチの影響範囲をより明確に示し、適用の優先度を細かく設定するなど、ユーザーの意思決定を支援する取り組みが期待される。

長期的には、メモリ安全性を高めるプログラミング言語やツールの採用を検討する価値があるだろう。例えば、RustのようなメモリセーフなプログラミングID言語をカーネルで部分的に採用することで、こうしたメモリ関連の脆弱性を根本的に減らせる可能性がある。Linux Kernelのさらなる進化と、セキュリティ強化の取り組みに注目していきたい。