武内涼『厳島』が第12回野村胡堂文学賞を受賞、厳島の戦いを描いた歴史長編が高評価

text: XEXEQ編集部
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PR TIMES より

記事の要約

武内涼『厳島』が第12回野村胡堂文学賞を受賞
戦国時代の厳島の戦いを描いた歴史長編
授賞式は11月11日に明神会館で開催

武内涼『厳島』が第12回野村胡堂文学賞を受賞

株式会社新潮社は2024年10月16日、武内涼氏の『厳島』が第12回野村胡堂文学賞を受賞したと発表した。本作は戦国三大奇襲の一つである「厳島の戦い」を描いた歴史長編小説で、選考委員からは「エンターテインメントとして完璧」との高評価を得ている。野村胡堂文学賞は、「銭形平次」の作者として知られる野村胡堂氏に匹敵する時代・歴史小説作品に贈られる賞だ。^[1]

『厳島』は、智将・毛利元就と忠臣・弘中隆兼のそれぞれの闘いを描いた作品で、第13回「本屋が選ぶ時代小説大賞」や第14回「広島本大賞」にもノミネートされている。「本の雑誌が選ぶ2023年度ベスト10」では第3位に選ばれ、第45回吉川英治文学新人賞の候補作にもなるなど、多方面から高い評価を受けている作品だ。

選考会は文芸評論家の郷原宏氏、作家の鳴神響一氏、日本作家クラブ理事長の竹内博氏の3名で行われ、圧倒的な高評価で受賞が決定した。授賞式は11月11日午後4時より、神田明神内の明神会館にて執り行われる予定だ。木下昌輝氏や今村翔吾氏、砂原浩太朗氏、蝉谷めぐみ氏らが歴代受賞者に名を連ねる注目の文学賞の新たな受賞作として、『厳島』の今後の展開に期待が高まっている。

『厳島』の概要

項目	詳細
タイトル	厳島
著者	武内涼
出版社	新潮社
発売日	2023年4月19日
判型	四六判ハードカバー
定価	2,415円（税込）
ISBN	978-4-10-350644-7

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野村胡堂文学賞について

野村胡堂文学賞とは、「銭形平次」の作者として知られる野村胡堂氏を顕彰する目的で創設された文学賞である。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

野村胡堂氏に匹敵するような時代・歴史小説作品に与えられる
一般社団法人日本作家クラブが主催している
文芸評論家や作家、日本作家クラブ理事長が選考を行う

この賞は、昭和を代表する作家・野村胡堂（1882-1963）の業績を称えるとともに、現代の優れた時代・歴史小説作家を発掘し、支援する役割を果たしている。過去の受賞作には、木下昌輝氏や今村翔吾氏、砂原浩太朗氏、蝉谷めぐみ氏らの作品が含まれており、日本の時代・歴史小説界における重要な指標の一つとなっている。

武内涼『厳島』受賞に関する考察

武内涼『厳島』の野村胡堂文学賞受賞は、歴史小説の新たな可能性を示唆している。特に、戦国時代の有名な合戦である厳島の戦いを題材としながら、主要な武将だけでなく忠臣の視点も取り入れることで、より重層的な歴史描写を実現したことが高く評価されたのだろう。このアプローチは、読者に新鮮な歴史解釈を提供し、エンターテインメントとしての魅力を高めることに成功している。

今後、この受賞を契機に、歴史小説の執筆アプローチにさらなる多様化が起こる可能性がある。従来の英雄中心の物語から、脇役や敗者の視点を取り入れた作品が増加し、歴史の多面的な解釈が促進されるかもしれない。一方で、史実との整合性や、過度な現代的解釈の導入など、新たな課題も浮上する可能性がある。

武内涼氏のような新進気鋭の作家たちが、伝統的な歴史小説の枠組みを拡張しつつ、読者の興味を惹きつける作品を生み出していくことが期待される。野村胡堂文学賞は、こうした新しい才能の発掘と育成において重要な役割を果たし続けるだろう。今後、歴史小説がより幅広い読者層に浸透し、日本の文学シーンにおいてさらなる存在感を示すことを期待したい。