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公開：2024-10-22

放射冷却素材SPACECOOLが漁船の貯氷艙に初導入、猛暑による漁業課題の解決に期待

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

• SPACECOOLが漁船の貯氷艙に初導入
• 貯氷艙内部温度が約3℃低下
• 猛暑による漁業の課題解決に貢献

放射冷却素材SPACECOOLの漁業初導入で漁船の貯氷艙内部温度が低下

SPACECOOL株式会社とニチモウ株式会社は、宇宙に熱を逃がしゼロエネルギーで冷却できる放射冷却素材「SPACECOOL」を漁業で初めて導入したことを2024年10月21日に発表した。千葉県船籍のまき網漁船「きんせい丸」や「伊東丸」への導入を皮切りに、千葉県内では既に導入が進んでいる。気候変動による猛暑の影響で貯氷艙内の氷が溶ける速度が上がっており、漁業者の懸念材料となっていた問題の解決が期待される。^[1]

SPACECOOLは直射日光下において宇宙に熱を逃がすことで、ゼロエネルギーで外気温より温度低下させることができる新素材だ。千葉県船籍のまき網漁船「きんせい丸」や「伊東丸」に本素材を初めて導入し、貯氷艙の蓋を覆ったところ、従来の保冷シートで覆ったときと比較し貯氷艙内が約3℃低下したことが確認された。これにより、漁業者は氷を経済的かつ計画的に使用できるようになった。

既に千葉県の銚子地区や片貝地区では「きんせい丸」「伊東丸」の好結果を受け、貯氷艙への本素材の導入が進んでおり、今後、本素材の漁業への適用拡大が期待されている。SPACECOOLは屋外のファシリティだけでなく、ヒトやその他の動植物の生活環境下に適用することで、熱中症予防や労働生産性、食糧生産性の向上など、人類の地球上でのより豊かな生活を実現することが可能だ。

SPACECOOLの特徴まとめ

放射冷却について

放射冷却とは、物体が赤外線を放出することで熱を逃がし、周囲の温度よりも低くなる現象のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

• ゼロエネルギーで温度低下が可能
• 宇宙空間を熱の逃がし場として利用
• 大気の赤外線透過率が高い波長帯を利用

SPACECOOLは、この放射冷却の原理を応用した新素材だ。直射日光下において、太陽光と大気からの熱をブロックし熱吸収を抑えるだけでなく、宇宙に熱を逃がすことで外気温よりも温度を低下させることができる。この技術により、漁船の貯氷艙内部の温度を約3℃低下させることに成功し、漁業における猛暑課題の解決に貢献している。

SPACECOOLの漁業導入に関する考察

SPACECOOLの漁業への導入は、気候変動による猛暑の影響で苦心していた漁業者にとって画期的な解決策となる可能性が高い。貯氷艙内の温度低下により、氷の溶解速度が抑えられることで、漁獲物の鮮度維持が容易になるだけでなく、氷の使用量削減によるコスト削減効果も期待できるだろう。さらに、漁業者が氷の管理に費やす時間と労力を削減できることで、本来の漁業活動に集中できるようになり、生産性の向上にもつながる可能性がある。

一方で、新技術の導入には初期投資や導入コストの問題が生じる可能性がある。SPACECOOLの導入コストが高額である場合、小規模な漁業者にとっては負担が大きくなり、導入を躊躇する可能性もある。この問題に対しては、行政による補助金制度の創設や、漁業協同組合を通じた共同購入システムの構築など、導入を支援する体制づくりが重要になるだろう。また、SPACECOOLの耐久性や長期的な性能維持に関するデータの蓄積も必要不可欠だ。

今後、SPACECOOLの技術をさらに発展させ、貯氷艙だけでなく魚艙にも適用することで、より長時間の鮮度維持が可能になるかもしれない。また、漁船以外の水産業関連施設への応用も期待される。例えば、養殖施設や水産加工場への導入により、水産業全体の省エネ化や品質向上につながる可能性がある。SPACECOOLの漁業分野での成功事例を積み重ね、他産業への展開を図ることで、地球温暖化対策としての役割も果たせるだろう。

参考サイト

1. ^ PR TIMES. 「【漁業初】漁船の貯氷艙内部温度を3℃低下させる経済的な新技術 宇宙に熱を逃がして冷却する新素材「SPACECOOL」を千葉県の漁船に初導入 | SPACECOOL株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000106.000078861.html, (参照 24-10-22).

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