NTTBPと日立、AIによる介護施設入居者の感情予兆検知実験を実施、サービスの質向上と業務効率化に期待

text: XEXEQ編集部

PR TIMES より

記事の要約

AIによる介護施設入居者の感情変化予兆検知実験
NPUとBPと日立が共同で実証実験を実施
感情分析の精度約75%で有用性を確認

AIを活用した介護施設入居者の感情変化予兆検知実験

エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム株式会社と株式会社日立製作所は、介護施設入居者の感情変化における予兆の検知によるサービス向上・業務効率化を目的に、AIを活用した実証実験を2024年8月6日に発表した。この実験では、テルウェル東日本株式会社が受託運営する介護施設で、入居者の映像・音声データから感情の種類を分類し、介護記録やアンケート結果と組み合わせて分析を行った。^[1]

実証実験の結果、感情分析の精度が約75%であることが確認され、AIによる感情予兆検知の有用性が示された。この成果を受け、NTTBPと日立は2024年度中にサービスの事業化を推進する予定だ。本実験は、急増する介護ニーズと慢性的な人手不足という介護業界の課題に対応するための取り組みの一環として位置づけられている。

実証実験では、介護施設特有の環境を考慮し、居室でのスタッフと入居者の1対1のコミュニケーションや、食堂での食事の様子、健康運動を行う様子など、6日間にわたってカメラで撮影を行った。AIを用いて映像と音声から入居者の感情を7種類（怒り、悲嘆、恐れ、平静、嫌悪、幸福、驚き）に分類し、各シーンにおける感情の変化とその要因を分析している。

AIを活用した介護施設入居者の感情予兆検知実験の概要

	実施内容	目的	結果
実証実験概要	AIによる入居者の感情分析	サービス向上・業務効率化	感情分析精度約75%
データ収集	6日間のカメラ撮影	様々なシーンの感情把握	映像・音声データ取得
感情分類	7種類の感情に分類	感情変化の詳細把握	各シーンの感情傾向分析
分析手法	AI・介護記録・アンケート併用	総合的な感情要因分析	感情変化の予兆検知
今後の展開	2024年度中のサービス事業化	介護サービスの質向上	介護現場の負担軽減

感性分析サービスについて

感性分析サービスとは、日立製作所が提供するAIを活用したサービスのことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

人間の感情を7種類に分類し分析
映像・音声データを用いてリアルタイムで感情を検知
介護記録やアンケート結果と組み合わせて総合的に分析

感性分析サービスは、人工知能技術を用いて人間の感情や状態を客観的に分析し、数値化することが可能だ。このサービスは介護分野だけでなく、顧客サービスの向上や従業員の健康管理など、幅広い分野での活用が期待されている。特に介護現場では、入居者の感情変化を早期に検知することで、適切なケアの提供や事故防止につながる可能性がある。

AIを活用した介護サービスに関する考察

AIを活用した感情予兆検知システムの導入により、介護サービスの質が向上する一方で、プライバシーの問題が浮上する可能性がある。常時監視されているという感覚が入居者のストレスとなり、逆効果になる恐れもあるだろう。また、AIの判断に過度に依存することで、人間の介護スタッフの直感や経験が軽視される危険性も考えられる。

今後、AIシステムにはより高度な個人化と状況理解が求められるだろう。例えば、各入居者の生活リズムや趣味嗜好を学習し、その人に合わせたケアプランを提案する機能や、複数の入居者間の関係性を分析して、より良い人間関係を促進するような提案をする機能などが期待される。さらに、AIと人間のスタッフが協調して働くためのインターフェースの改善も重要な課題となるだろう。

長期的には、AIを活用した介護サービスが広く普及することで、介護業界全体の効率化とサービス品質の向上が期待できる。しかし、技術の進歩に伴い、倫理的な配慮や法規制の整備も同時に進める必要がある。人間の尊厳を守りながら、テクノロジーの恩恵を最大限に活かすバランスの取れたアプローチが、今後の介護サービスの発展に不可欠となるだろう。