IoTエリアネットワークとは？意味をわかりやすく簡単に解説

text: XEXEQ編集部

IoTエリアネットワークとは
IoTエリアネットワークの主要な通信規格と特徴
LoRaWANの特徴と利用事例
Sigfoxの特徴と利用事例
NB-IoTの特徴と利用事例
IoTエリアネットワークの課題と今後の展望
IoTエリアネットワークのセキュリティ対策
IoTエリアネットワークの相互接続性の確保
IoTエリアネットワークの今後の発展の可能性
IoTエリアネットワークの活用によるスマートシティの実現
IoTエリアネットワークを活用したスマート街灯の導入
IoTエリアネットワークによる都市インフラのモニタリング

IoTエリアネットワークとは

IoTエリアネットワークとは、IoTデバイスを相互に接続するためのワイヤレスネットワークの総称です。IoTエリアネットワークは、低消費電力かつ長距離通信が可能な特徴を持っており、スマートシティやスマート農業、産業IoTなど、幅広い分野で活用されています。

IoTエリアネットワークは、LPWAと呼ばれる低消費電力広域ネットワークの一種であり、代表的な規格としてLoRaWANやSigfox、NB-IoTなどがあげられます。これらの規格は、電池駆動で数年から数十年の長期間動作可能なIoTデバイスを実現するために設計されたものです。

IoTエリアネットワークの通信距離は、都市部で数km、郊外では数十kmにも及び、1つの基地局で広いエリアをカバーすることが可能です。また、通信速度は数kbpsから数百kbps程度と比較的低速ですが、センサーデータの収集などには十分な性能を有しています。

IoTエリアネットワークを利用することで、従来の無線通信技術では実現が難しかった、大規模なIoTシステムの構築が可能になります。例えば、スマートメーターや環境センサー、トラッキングデバイスなどを低コストで大量に配置し、リアルタイムでデータを収集・分析することができます。

今後、IoTの普及に伴い、IoTエリアネットワークの重要性はますます高まっていくと予想されています。各国の通信事業者やIoT関連企業は、IoTエリアネットワークの構築や関連サービスの提供に注力しており、新たなビジネス機会の創出が期待されています。

IoTエリアネットワークの主要な通信規格と特徴

IoTエリアネットワークに関して、以下3つを簡単に解説していきます。

LoRaWANの特徴と利用事例
Sigfoxの特徴と利用事例
NB-IoTの特徴と利用事例

LoRaWANの特徴と利用事例

LoRaWANは、Semtechが開発したLoRa変調方式を採用したオープンな通信規格です。920MHz帯を使用し、最大15kmの長距離通信が可能な上、電池駆動で数年間の動作を実現できる低消費電力性が特徴です。

LoRaWANは、スマート農業や水道メーターの自動検針、物流トラッキングなど、広範囲にわたるIoTアプリケーションに利用されています。例えば、畑に設置した土壌水分センサーのデータを、LoRaWANを介して収集し、最適な灌漑制御に活用するといったユースケースがあります。

また、LoRaWANは、地域や企業が自前でネットワークを構築できるプライベートネットワークとしての利用も進んでおり、柔軟なIoTシステム構築が可能となっています。LoRaWANは、The Things Networkなどのコミュニティ主導のネットワーク展開も活発で、オープンなエコシステムの形成が進んでいます。

Sigfoxの特徴と利用事例

Sigfoxは、フランスのSigfox社が提供するIoTエリアネットワークサービスであり、独自の通信方式を採用しています。超狭帯域(UNB)変調を用いることで、ノイズに強く、長距離通信を実現します。

Sigfoxは、上り12バイト、下り8バイトという非常に小さなデータサイズでの通信に特化しており、電池寿命が10年以上と極めて長いことが特徴です。一方、1日あたりのメッセージ数に制限があるため、リアルタイム性が求められる用途には向きません。

Sigfoxは、駐車場の満空情報の収集や、ゴミ収集車の位置情報管理、自動販売機の在庫管理など、少量のデータを長期間にわたって収集するようなアプリケーションに適しています。Sigfoxのネットワークは、事業者によって構築・運用されるパブリックネットワークであり、ユーザーはデバイスを登録するだけで利用開始できる手軽さが特徴です。

NB-IoTの特徴と利用事例

NB-IoTは、3GPPが標準化したLTE規格の一つであり、既存の携帯電話ネットワークを活用してIoTサービスを提供するものです。LTEの周波数帯を利用するため、他のIoTエリアネットワークと比べて広いカバレッジを実現できます。

NB-IoTは、LTEの無線リソースを効率的に使用することで、多数のデバイスを収容可能な上、下り250kbps、上り230kbpsと比較的高速な通信が可能です。また、PSM(省電力モード)やeDRX(拡張不連続受信)といった省電力技術により、長期間の電池駆動を実現しています。

NB-IoTは、スマートガスメーターやセキュリティアラーム、産業機器の監視など、比較的大容量のデータ通信が必要な用途に適しています。NB-IoTのサービスは、各国の通信キャリアが提供しており、既存のモバイルネットワークインフラを活用できるメリットがあります。

IoTエリアネットワークの課題と今後の展望

IoTエリアネットワークに関して、以下3つを簡単に解説していきます。

IoTエリアネットワークのセキュリティ対策
IoTエリアネットワークの相互接続性の確保
IoTエリアネットワークの今後の発展の可能性

IoTエリアネットワークのセキュリティ対策

IoTエリアネットワークでは、大量のデバイスが接続されるため、セキュリティ対策が重要な課題となっています。IoTデバイスが不正アクセスやデータ改ざんの対象となると、深刻な被害につながる恐れがあります。

IoTエリアネットワークにおけるセキュリティ対策としては、デバイスの認証や通信の暗号化、ファームウェアの更新管理などが挙げられます。例えば、LoRaWANではAES暗号化による通信の保護やデバイス認証が標準で実装されています。

また、IoTデバイスのライフサイクル管理も重要な対策の一つです。長期間使用されるIoTデバイスに対して、定期的なセキュリティアップデートを適用し、脆弱性を適切に管理していく必要があります。IoTエリアネットワークの運用者は、セキュリティ対策の徹底と利用者への啓発活動が求められています。

IoTエリアネットワークの相互接続性の確保

IoTエリアネットワークは、様々な通信規格やサービスが乱立している状況にあり、相互接続性の確保が課題となっています。異なる通信規格間でのデータ連携が困難だと、IoTシステムの構築や運用にコストや手間がかかってしまいます。

この課題に対応するため、IoTエリアネットワークの標準化や共通プラットフォームの整備が進められています。例えば、LoRa AllianceやWi-SUN Allianceといった業界団体が、仕様の標準化やゲートウェイの相互接続試験などを推進しています。

また、OneM2MやOCF(Open Connectivity Foundation)などのIoT向け共通プラットフォームの取り組みも進んでおり、異なるIoTシステム間のデータ連携を容易にする仕組みづくりが行われています。IoTエリアネットワークの相互接続性の向上は、IoT市場の成長と新たなサービスの創出に寄与すると期待されます。

IoTエリアネットワークの今後の発展の可能性

IoTエリアネットワークは、今後さらなる発展が見込まれる分野です。5Gの普及に伴い、IoTエリアネットワークと5Gの連携が進むことで、より高度なIoTサービスの実現が期待されています。

例えば、5Gの高速・大容量通信を活用することで、高解像度の映像監視やリアルタイム制御といった、これまでのIoTエリアネットワークでは実現が難しかったアプリケーションが可能になります。また、5GのMEC(Multi-access Edge Computing)技術を用いることで、IoTデバイスとクラウド間の遅延を最小限に抑え、より即時性の高いサービスの提供が期待できます。

さらに、AIやブロックチェーンといった最新技術とIoTエリアネットワークを組み合わせることで、新たな価値創造の可能性が広がります。例えば、AIを活用した高度なデータ分析や、ブロックチェーンによるIoTデータの信頼性向上などが考えられます。IoTエリアネットワークは、様々な技術との連携により、Society 5.0の実現に向けて重要な役割を果たすことが期待されています。