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【CVE-2024-53088】Linuxカーネルのi40eドライバでレースコンディションの脆弱性が発見、フィルタ管理機能の改善で対応

text: XEXEQ編集部
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)


記事の要約

  • Linuxカーネルのi40eドライバにレースコンディションの脆弱性
  • MAC/VLANフィルターの破損とリークの問題が発生
  • 新しい中間同期状態I40E_FILTER_NEW_SYNCを導入し修正

Linuxカーネルのi40eドライバにおけるレースコンディションの脆弱性【CVE-2024-53088】

Linuxカーネルのi40eドライバで重大な脆弱性【CVE-2024-53088】が2024年11月19日に公開された。この脆弱性は、複数のスレッドが同時にMAC/VLANフィルタを変更する際に発生するレースコンディションにより、フィルタの破損とリークが引き起こされる深刻な問題となっている。[1]

この問題は特に高負荷時に顕著となり、スレッドT0がi40e_add_filter()内でフィルタを割り当てている間に、スレッドT1が__i40e_del_filter()内で同じフィルタを解放してしまうことで発生する。その結果、i40e_service_task()が既に解放されたフィルタメモリを参照し、システムの整合性が損なわれることになるだろう。

修正では、フィルタがtmp_add_listに存在する期間を示す新しい中間状態I40E_FILTER_NEW_SYNCが導入された。この状態のフィルタはハッシュリストから直接削除できず、完全なプロセスを経て削除する必要があり、これによってレースコンディションの問題が解決されている。

影響を受けるLinuxカーネルバージョン

バージョン 影響状況
4.10以降 影響あり
4.10未満 影響なし
5.15.172以降 修正済み
6.1.117以降 修正済み
6.6.61以降 修正済み
6.11.8以降 修正済み
6.12以降 修正済み

レースコンディションについて

レースコンディションとは、複数のプロセスやスレッドが共有リソースに同時にアクセスする際に発生する競合状態のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

  • タイミングに依存する非決定的な動作を引き起こす
  • デバッグが困難で再現性が低い問題となりやすい
  • データの破損やメモリリークなどの深刻な問題を引き起こす可能性がある

i40eドライバの事例では、MAC/VLANフィルタの操作において複数のスレッドが同時にアクセスすることで、フィルタの状態が不整合になるレースコンディションが発生している。この問題はVF上でMAC/VLANフィルタの同時変更を行う際に特に顕著となり、システムの安定性に重大な影響を及ぼす可能性がある。

i40eドライバの脆弱性に関する考察

i40eドライバの脆弱性修正はレースコンディションの問題に対する適切なアプローチとなっている。新しい中間状態I40E_FILTER_NEW_SYNCの導入により、フィルタの管理が厳密になり、並行処理時の整合性が保たれるようになったことは、システムの信頼性向上に大きく貢献するだろう。

しかし、この修正によって処理のオーバーヘッドが増加する可能性も考えられる。特に高負荷環境下では、フィルタの状態チェックや同期処理による性能への影響を注意深く監視する必要があり、必要に応じてさらなる最適化が求められるだろう。

今後は、同様のレースコンディション問題を事前に検出できる静的解析ツールの開発や、並行処理のテストケース強化が重要となる。また、ドライバレベルでの排他制御メカニズムの標準化も、より堅牢なシステム構築につながるのではないだろうか。

参考サイト

  1. ^ CVE. 「CVE Record | CVE」. https://www.cve.org/CVERecord?id=CVE-2024-53088, (参照 24-11-27).

※上記コンテンツはAIで確認しておりますが、間違い等ある場合はコメントよりご連絡いただけますと幸いです。

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