.NET 9 Preview 7リリース、ランタイムとライブラリの大幅強化でパフォーマンス向上

text: XEXEQ編集部
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)


記事の要約

  • .NET 9 Preview 7がリリース
  • ランタイム、SDK、ライブラリ等が強化
  • Visual Studio 2022との統合が進む

.NET 9 Preview 7の主要な機能強化と開発環境の改善

Microsoftは.NET 9の開発を進め、2024年8月16日に7番目のプレビューリリースとなる.NET 9 Preview 7を公開した。このバージョンでは、.NET Runtime、SDK、ライブラリ、C#、ASP.NET Core、Blazor、.NET MAUIなど、.NETエコシステム全体にわたる大幅な機能強化が施されている。開発者は公式サイトからダウンロードして、最新の機能を試すことができるようになった。[1]

ライブラリの分野では、BinaryFormatterの削除が完了し、ReadOnlySpan.Split()セグメントの列挙やDebug.Assertの改善、圧縮APIでのzlib-ngの採用など、多岐にわたる更新が行われた。また、ランタイムでは ARM64 SVEのサポートやループの強度低減、オブジェクトのスタックアロケーションなど、パフォーマンス向上につながる改善が多数実装されている。

開発環境の面では、Visual Studio 2022 17.12 Preview 1以降で.NET 9を直接インストーラーからインストールできるようになり、開発者の利便性が大幕に向上した。また、Visual Studio CodeとC# Dev Kit拡張機能を使用して.NET 9開発を行うこともサポートされ、開発者は自分の好みの環境で最新の.NETを利用できるようになっている。

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.NET 9 Preview 7の機能強化まとめ

ライブラリ ランタイム C# SDK ASP.NET Core .NET MAUI
主要な改善点 BinaryFormatter削除完了 ARM64 SVEサポート OverloadResolutionPriority属性 コンテナ公開の改善 SignalRのトリミングとNative AOTサポート HybridWebviewの導入
パフォーマンス向上 zlib-ngの採用 ループの強度低減 - - Kestrel接続メトリクスの改善 CollectionViewとCarouselViewの改善
新機能 Guid.CreateVersion7 オブジェクトスタックアロケーション - Workload Setsの導入 PAR対応のOpenIdConnectHandler 新TitleBarコントロール
開発者体験の向上 Debug.Assertの改善 GCの動的適応 - アナライザーミスマッチ問題の緩和 OpenAPI変換器登録APIの改善 Xcode Syncの導入

Native AOTについて

Native AOT(Ahead-of-Time)コンパイルとは、プログラムを実行前にネイティブマシンコードに変換する技術のことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

  • アプリケーションの起動時間を大幅に短縮
  • メモリ使用量の削減と全体的なパフォーマンスの向上
  • Just-In-Time(JIT)コンパイラに依存しないため、セキュリティ面でも有利

.NET 9 Preview 7では、SignalRやMicrosoft.AspNetCore.OpenApiがNative AOTをサポートするようになった。これにより、ASP.NET Coreアプリケーションのパフォーマンスが向上し、特にマイクロサービスやサーバーレス環境での実行に適したアプリケーションの開発が可能となる。Native AOTの採用は、.NETエコシステム全体のパフォーマンスと効率性の向上につながる重要な進歩といえる。

.NET 9 Preview 7に関する考察

.NET 9 Preview 7では、パフォーマンスとクロスプラットフォーム開発に重点が置かれている点が評価できる。特にARM64 SVEのサポートやNative AOTの拡張は、モバイルデバイスやエッジコンピューティング環境での.NETの競争力を高める可能性がある。一方で、これらの新機能や最適化が既存のアプリケーションとの互換性に影響を与える可能性も考慮する必要があるだろう。

今後の課題として、開発者がこれらの新機能を効果的に活用するためのガイダンスや事例の提供が重要になると考えられる。特に、Native AOTやARM64対応など、従来とは異なるアプローチが必要な領域では、ベストプラクティスの確立と共有が開発者コミュニティの成長に不可欠だ。Microsoftには、これらの新技術の導入障壁を下げるための取り組みが期待される。

将来的には、AI統合やクラウドネイティブ開発のさらなる強化が.NET 9に期待される機能だろう。特に、機械学習モデルの組み込みやサーバーレスコンピューティングとの親和性向上は、.NETプラットフォームの適用範囲を大きく広げる可能性がある。継続的な革新と、開発者フィードバックに基づく迅速な改善サイクルが、.NETエコシステムの健全な発展につながるだろう。

参考サイト

  1. ^ Microsoft Visual Studio. 「.NET 9 Preview 7 is now available! - .NET Blog」. https://devblogs.microsoft.com/dotnet/dotnet-9-preview-7/, (参照 24-08-17).
  2. Microsoft. https://www.microsoft.com/ja-jp

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