ナウキャストとフロッグが求人ビッグデータ分析サービス「HRog賃金Now」の7月データを公開、正社員募集賃金の伸び鈍化が明らかに

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

ナウキャストとフロッグが7月の賃金動向データを公開
正社員の募集賃金指数が前年同期比+2%を下回る
アルバイト・パートの募集賃金指数は横ばい

HRog賃金Nowの7月データ公開と労働市場の動向

株式会社ナウキャストと株式会社フロッグは2024年8月21日、求人ビッグデータをもとにした賃金動向指数サービス「HRog賃金Now」の7月データを公開した。このサービスは労働市場に関する公的統計と比較して高い頻度性と速報性を持ち、雇用形態別に都道府県別×職種別、業種別×企業規模別などのクロスセル分析が可能となっている。^[1]

7月の正社員の募集賃金指数の前年同期比は、6月から引き続き減少し、昨年12月以来初めて+2%を下回った。一方で求人数指数の前年同期比は6月から減少したものの、2桁台の高い伸び率を維持している。業種別では「教育、学習支援業」や「生活関連サービス業、娯楽業」の募集賃金が上昇傾向にある一方、「運輸業、郵便業」は大きく減少した。

アルバイト・パートの募集賃金指数の前年同期比は6月から横ばいで推移した。求人数指数の前年同期比は6月から増加し、再び前年比プラスに戻った。業種別募集賃金の前年比は多くの業種で増加しており、特に「生活関連サービス業、娯楽業」は上昇が続いている。正社員とは対照的に、「運輸業、郵便業」のアルバイト・パートの募集賃金は前年比+6.8%と高い水準に戻っている。

HRog賃金Nowの7月データ概要

	正社員	アルバイト・パート
募集賃金指数（前年同期比）	+2%を下回る	横ばい
求人数指数（前年同期比）	2桁台の高い伸び率	前年比プラスに回復
業種別傾向	教育・サービス業上昇、運輸業減少	多くの業種で増加
注目業種	運輸業、郵便業（大幅減少）	生活関連サービス業、娯楽業（上昇継続）

求人ビッグデータについて

求人ビッグデータとは、大量の求人広告情報を収集・分析したデータのことを指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

高い頻度性と速報性を持つ
詳細なクロスセル分析が可能
労働市場の動向を迅速に把握できる

HRog賃金Nowでは、150以上の求人検索サイトから週次で100万～350万件のデータを収集し、指数を算出している。このデータは2017年2月13日以降のものが含まれており、正社員とアルバイト・パートの募集賃金や求人数の動向を詳細に分析することが可能だ。公的統計と組み合わせることで、より深い労働市場の洞察を得ることができる。

HRog賃金Nowの労働市場分析への影響に関する考察

HRog賃金Nowが提供する高頻度・高速報性のデータは、労働市場の分析に革新をもたらす可能性がある。公的統計では捉えきれない短期的な変動や、地域・業種別の詳細な動向を把握できることが大きな利点だ。一方で、求人広告データに基づくため、実際の雇用・賃金状況との乖離が生じる可能性もあるだろう。

今後の課題としては、データの精度向上と解釈の適正化が挙げられる。求人広告の内容が実際の雇用条件と異なる場合や、求人数の増減が必ずしも雇用の実態を反映しない可能性もある。これらの問題に対しては、公的統計との継続的な比較検証や、企業へのフィードバックシステムの構築などが解決策として考えられる。

HRog賃金Nowの今後の発展に期待したい点は、AIを活用した予測モデルの構築だ。過去のデータパターンと経済指標を組み合わせることで、将来の賃金・雇用動向を予測する機能が追加されれば、企業の人事戦略立案や政策決定者の判断材料として、さらに価値の高いツールとなるだろう。労働市場の透明性向上と効率的なマッチングの実現に向け、HRog賃金Nowの進化に注目したい。