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IAM(Identity and Access Management)とは?意味をわかりやすく簡単に解説

text: XEXEQ編集部


IAM(Identity and Access Management)とは

IAM(Identity and Access Management)はアイデンティティ(ユーザー、デバイス、アプリケーション)を管理し、それらに対してアクセス制御を行うセキュリティ対策の一つです。IAMはアイデンティティの認証と認可を通じて、リソースへのアクセスを制御し、不正なアクセスを防ぐことを目的としています。

IAMではユーザーアカウントの管理、パスワードポリシーの設定、アクセス権限の割り当てなどを行います。これにより、組織内のリソースに対して適切なアクセス制御を実現し、セキュリティを向上させることができます。

また、IAMはシングルサインオン(SSO)やマルチファクター認証(MFA)など、ユーザーの利便性を向上させる機能も提供しています。SSOを利用することで、ユーザーは一度の認証で複数のアプリケーションやサービスにアクセスできるようになります。

MFAは通常のパスワードに加えて、別の認証要素(生体認証や物理的なデバイスなど)を使用することで、セキュリティをさらに強化する方法です。IAMはこれらの機能を組み合わせることで、利便性とセキュリティのバランスを取ることを可能にしています。

近年、クラウドサービスの普及に伴い、IAMの重要性がますます高まっています。クラウド上のリソースに対するアクセス制御はオンプレミス環境とは異なる課題があるため、クラウド向けのIAMソリューションが提供されています。

IAMの主要な機能と役割

IAMの主要な機能と役割に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • IAMにおける認証と認可の違い
  • IAMを導入することによるメリット
  • IAMとセキュリティの関係性

IAMにおける認証と認可の違い

IAMにおいて、認証(Authentication)と認可(Authorization)は異なる概念です。認証はユーザーやデバイスが主張する身元を確認するプロセスを指します。つまり、「あなたは誰ですか?」という問いに答えることが認証です。

一方、認可は認証されたユーザーやデバイスに対して、特定のリソースへのアクセス権限を付与するプロセスを指します。つまり、「あなたは何をする権限がありますか?」という問いに答えることが認可となります。

認証と認可はIAMにおいて密接に関係していますが、別個の機能として扱われます。認証が成功した後に、認可のプロセスが実行されることになります。

IAMを導入することによるメリット

IAMを導入することで、組織はいくつかのメリットを得ることができます。まず、セキュリティの向上が挙げられます。IAMによって、適切なアクセス制御が行われるため、不正アクセスのリスクを軽減できます。

また、IAMを導入することで、ユーザー管理の効率化も実現できます。ユーザーアカウントのライフサイクル管理や、アクセス権限の一元管理などにより、管理者の作業負荷を軽減し、人的ミスを減らすことができます。

さらに、IAMはコンプライアンスの遵守にも役立ちます。各種規制や法律で求められるアクセス制御やログ管理などの要件を、IAMを使って容易に満たすことができるようになります。

IAMとセキュリティの関係性

IAMは組織のセキュリティ対策において重要な役割を果たします。不正アクセスや情報漏洩などのセキュリティインシデントを防ぐために、IAMによる適切なアクセス制御が不可欠です。

IAMはゼロトラストセキュリティモデルの中核をなす技術の一つでもあります。ゼロトラストとは「信頼せず、常に検証する」という考え方に基づくセキュリティアプローチです。IAMはこのゼロトラストモデルを実現するための重要な要素となっています。

また、IAMはセキュリティ監査やインシデント対応においても重要な役割を果たします。IAMのログ機能を活用することで、不正アクセスの兆候を早期に発見したり、インシデント発生時の原因究明を容易にしたりすることができます。

IAMのベストプラクティス

IAMのベストプラクティスに関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • 最小権限の原則に基づくアクセス制御
  • IAMのユーザーライフサイクル管理
  • IAMにおける監査とモニタリングの重要性

最小権限の原則に基づくアクセス制御

IAMにおいて、最小権限の原則(Principle of Least Privilege)に基づくアクセス制御を行うことが重要です。これはユーザーやデバイスに対して、業務に必要な最小限の権限のみを付与する方法です。

過剰な権限を与えることはセキュリティリスクを高めることにつながります。最小権限の原則を適用することで、仮に不正アクセスが発生した場合でも、被害を最小限に抑えることができます。

また、最小権限の原則はアクセス権限の管理を容易にします。必要最小限の権限のみを付与することで、管理すべき権限の数を減らすことができ、管理コストの削減につながります。

IAMのユーザーライフサイクル管理

IAMにおいて、ユーザーライフサイクル管理は重要な機能の一つです。ユーザーライフサイクルとはユーザーアカウントが作成されてから、変更、無効化、削除されるまでの一連のプロセスを指します。

効果的なユーザーライフサイクル管理を行うためにはアカウント作成時の適切な承認プロセス、定期的なアクセス権限のレビュー、離職者のアカウント削除などを確実に実行する必要があります。

また、ユーザーライフサイクル管理を自動化することで、管理者の作業負荷を軽減し、人的ミスを防ぐことができます。IAMソリューションの多くはユーザーライフサイクル管理の自動化機能を提供しています。

IAMにおける監査とモニタリングの重要性

IAMにおいて、監査とモニタリングは欠かせない機能です。監査はIAMの設定や運用が適切に行われているかを確認するためのプロセスです。定期的な監査により、IAMの運用状況を可視化し、問題点を特定することができます。

モニタリングはIAMの動作を継続的に監視し、異常な動作や不正アクセスの兆候を検知するための機能です。リアルタイムのモニタリングを行うことで、セキュリティインシデントの早期発見と対応が可能になります。

また、監査とモニタリングの結果はコンプライアンス遵守の証跡としても活用できます。各種規制や法律で求められる監査証跡を、IAMの監査とモニタリング機能で生成することができます。

IAMソリューションの選択と導入

IAMソリューションの選択と導入に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • オンプレミスとクラウドのIAMソリューション
  • IAMソリューション選択の際の考慮点
  • IAM導入プロジェクトの進め方

オンプレミスとクラウドのIAMソリューション

IAMソリューションはオンプレミスとクラウドの両方で利用可能です。オンプレミスのIAMソリューションは組織内のインフラストラクチャー上に構築され、完全な制御が可能ですが、導入と運用に高いコストがかかる場合があります。

一方、クラウドのIAMソリューションはクラウドプロバイダーが提供するマネージドサービスとして利用できます。導入と運用が容易で、スケーラビリティに優れていますが、一部の機能がプロバイダーに依存する場合があります。

組織のニーズや予算、既存のインフラストラクチャーなどを考慮して、最適なIAMソリューションを選択する必要があります。ハイブリッド環境の場合はオンプレミスとクラウドのIAMソリューションを統合することも可能です。

IAMソリューション選択の際の考慮点

IAMソリューションを選択する際はいくつかの重要な考慮点があります。まず、組織のセキュリティ要件を満たすことができるかを評価する必要があります。IAMソリューションが提供する機能が、組織のセキュリティポリシーに適合しているかを確認します。

また、既存のシステムやアプリケーションとの統合性も重要な考慮点です。IAMソリューションが、組織で使用している他のシステムやアプリケーションとスムーズに連携できるかを確認する必要があります。

さらに、ユーザービリティや管理の容易さも考慮すべき点です。IAMソリューションはエンドユーザーにとって使いやすく、管理者にとって管理しやすいものであることが望ましいでしょう。

IAM導入プロジェクトの進め方

IAM導入プロジェクトを成功させるためには適切な計画と実行が必要です。まず、組織のIAMに関する現状を把握し、課題を明確化することから始めます。その上で、IAMソリューションの選択、設計、実装、テスト、運用という一連のプロセスを進めていきます。

IAM導入プロジェクトでは関連部門との連携が不可欠です。IT部門だけでなく、人事部門やコンプライアンス部門など、IAMに関わるすべての部門が協力して進める必要があります。

また、IAM導入後も、継続的な改善と最適化が重要です。IAMの運用状況を定期的にレビューし、必要に応じて設定や機能を見直すことが求められます。IAM導入は一時的なプロジェクトではなく、組織のセキュリティ対策の継続的な取り組みと位置付けるべきでしょう。

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