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A-MSDU(Aggregated MAC Service Data Unit)とは?意味をわかりやすく簡単に解説

text: XEXEQ編集部


A-MSDU(Aggregated MAC Service Data Unit)とは

A-MSDUはAggregated MAC Service Data Unitの略称で、無線LANにおけるフレームアグリゲーション技術の1つです。複数のMSDU(MAC Service Data Unit)を1つのMPDU(MAC Protocol Data Unit)にまとめることで、オーバーヘッドを削減し、スループットを向上させる技術となります。

A-MSDUはIEEE 802.11nやIEEE 802.11acなどの高速無線LAN規格で採用されています。送信側は宛先アドレスやサービスクラスが同一の複数のMSDUを1つのA-MSDUにアグリゲートし、受信側はA-MSDUを分解して個々のMSDUを取り出します。

A-MSDUによるフレームアグリゲーションはサブフレームヘッダを付加することでオーバーヘッドが増加するものの、フレーム間のインターフレームスペース(IFS)や前文、フレーム検査系列(FCS)などのオーバーヘッドを削減できるメリットがあります。ただし、A-MSDUのサイズが大きくなりすぎると、伝送エラーによる再送のリスクが高まるため、適切なサイズ設定が重要となります。

A-MSDUは主にアップリンク方向での効率化に適しています。ダウンリンク方向では宛先アドレスが異なる複数のMSDUをアグリゲートできないため、A-MPDUによるアグリゲーションが用いられることが一般的です。

無線LANの効率化を図る上で、A-MSDUはA-MPDUと並ぶ重要なフレームアグリゲーション技術の1つといえます。ただし、A-MSDUとA-MPDUはそれぞれ特性が異なるため、トラフィックの特性や要件に応じて適切に使い分ける必要があります。

A-MSDUのフレームフォーマットと構造

A-MSDUのフレームフォーマットと構造に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • A-MSDUのサブフレームフォーマット
  • A-MSDUヘッダのフィールド構成
  • A-MSDUペイロードの構造と特徴

A-MSDUのサブフレームフォーマット

A-MSDUは複数のMSDUをアグリゲートしたフレームです。各MSDUはA-MSDUサブフレームとしてカプセル化され、A-MSDUペイロード内に格納されます。A-MSDUサブフレームは「Length」「MSDU」「Padding」の3つのフィールドで構成されます。

「Length」フィールドはMSDUの長さを示す6オクテットのフィールドです。「MSDU」フィールドはMACヘッダとMACペイロードを含む可変長のフィールドとなります。「Padding」フィールドはMSDUのサイズを4オクテット境界に調整するために使用される可変長のフィールドです。

A-MSDUサブフレームは先頭のMSDUから順番に連結され、最大7個までアグリゲート可能です。ただし、A-MSDUの全体サイズは最大で3839オクテット以下に制限されています。

A-MSDUヘッダのフィールド構成

A-MSDUヘッダはアグリゲートされた複数のMSDUを管理するための情報を格納するフィールドです。具体的には「DA(Destination Address)」「SA(Source Address)」「Length」の3つのフィールドで構成されます。

「DA」フィールドはA-MSDUの宛先MACアドレスを示す6オクテットのフィールドです。「SA」フィールドはA-MSDUの送信元MACアドレスを示す6オクテットのフィールドとなります。「Length」フィールドはA-MSDUペイロードの長さを示す2オクテットのフィールドです。

A-MSDUヘッダはフレームアグリゲーションを実現する上で重要な役割を果たします。受信側はA-MSDUヘッダの情報を基に、アグリゲートされた個々のMSDUを正しく取り出し、宛先に転送することができます。

A-MSDUペイロードの構造と特徴

A-MSDUペイロードは複数のA-MSDUサブフレームを連結したデータ部分です。各A-MSDUサブフレームは「Length」「MSDU」「Padding」の3つのフィールドで構成され、可変長のデータとなります。

A-MSDUペイロードは最大7個のMSDUをアグリゲートでき、全体のサイズは最大3839オクテットまでとなります。ただし、無線メディアの特性上、A-MSDUのサイズが大きくなるほど、伝送エラーによる再送のリスクが高くなるため、適切なサイズ設定が重要です。

また、A-MSDUペイロードには送信側でパディングが挿入される場合があります。これはA-MSDUサブフレームのサイズを4オクテット境界に調整するために行われるもので、受信側ではパディングを除去した上で、各MSDUを取り出す必要があります。

A-MSDUの動作プロセスと手順

A-MSDUの動作プロセスと手順に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • 送信側でのA-MSDUの生成手順
  • 受信側でのA-MSDUの処理手順
  • A-MSDUの再送制御メカニズム

送信側でのA-MSDUの生成手順

送信側ではまず宛先アドレスやサービスクラスが同一の複数のMSDUを識別します。次に、識別したMSDUをA-MSDUサブフレームとしてカプセル化し、A-MSDUペイロードに格納していきます。

A-MSDUサブフレームは「Length」「MSDU」「Padding」の順にデータを設定し、最大7個まで連結することができます。ただし、A-MSDUペイロードの全体サイズが3839オクテット以下になるよう、適切なMSDUの選択とサイズ調整が必要となります。

最後に、A-MSDUヘッダを生成し、A-MSDUペイロードの先頭に付加することで、A-MSDUフレームの生成が完了します。生成されたA-MSDUは通常のMPDUとしてMAC層で処理され、物理層を経由して送信されます。

受信側でのA-MSDUの処理手順

受信側ではPHY層でA-MSDUを含むMPDUを受信すると、まずA-MSDUヘッダを解析します。A-MSDUヘッダの「Length」フィールドを基に、A-MSDUペイロードのサイズを特定します。

次に、A-MSDUペイロードから個々のA-MSDUサブフレームを取り出していきます。各A-MSDUサブフレームの「Length」フィールドを基に、「MSDU」フィールドのデータを抽出し、パディングを除去します。

抽出されたMSDUは宛先MACアドレスを基に、該当する上位レイヤーに引き渡されます。この一連の処理を、A-MSDUペイロードに含まれる全てのA-MSDUサブフレームに対して行うことで、アグリゲートされた複数のMSDUを元の状態に戻すことができます。

A-MSDUの再送制御メカニズム

A-MSDUは複数のMSDUをアグリゲートするため、一部のMSDUでエラーが発生した場合、A-MSDU全体を再送する必要があります。この再送処理は送信側のMAC層で行われ、受信側からのACKフレームを基に制御されます。

受信側ではA-MSDUを受信した後、エラーチェックを行います。エラーが検出された場合、受信側はACKフレームを返信せず、送信側はタイムアウトを検出することで、A-MSDUの再送を開始します。

ただし、A-MSDUのサイズが大きい場合、再送によるオーバーヘッドの増加や、スループットの低下を招く恐れがあります。そのため、無線チャネルの状態に応じて、適切なA-MSDUサイズを設定したり、A-MPDUなどの他の集約技術と組み合わせて使用したりすることが重要となります。

A-MSDUの利点と欠点

A-MSDUの利点と欠点に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • A-MSDUによるオーバーヘッド削減効果
  • A-MSDUの再送オーバーヘッドとスループットへの影響
  • A-MSDUとA-MPDUの使い分けと組み合わせ

A-MSDUによるオーバーヘッド削減効果

A-MSDUは複数のMSDUを1つのMPDUにアグリゲートすることで、フレーム間のオーバーヘッドを大幅に削減できます。具体的にはインターフレームスペース(IFS)、前文、フレーム検査系列(FCS)などのオーバーヘッドが削減されます。

例えば、VoIPのようなパケットサイズが小さく、パケット数が多いトラフィックではA-MSDUによるオーバーヘッド削減効果が大きく、スループットの向上が期待できます。また、アップリンク方向のトラフィックでは端末側でA-MSDUを生成することで、効率的な送信が可能となります。

ただし、A-MSDUのオーバーヘッド削減効果はMSDUのサイズやデータレートに依存します。大きなMSDUをアグリゲートする場合や、高速なデータレートを使用する場合はA-MSDUのオーバーヘッド削減効果が相対的に小さくなることがあります。

A-MSDUの再送オーバーヘッドとスループットへの影響

A-MSDUは一部のMSDUでエラーが発生した場合、A-MSDU全体を再送する必要があるため、再送オーバーヘッドが増加する可能性があります。特に、A-MSDUのサイズが大きい場合、再送による遅延の増加やスループットの低下が懸念されます。

また、無線チャネルの品質が悪化している場合、A-MSDUの再送が頻繁に発生し、スループットが大きく低下する恐れがあります。そのため、A-MSDUのサイズは無線チャネルの状態に応じて適切に設定する必要があります。

一方で、A-MSDUによるオーバーヘッド削減効果が再送オーバーヘッドを上回る場合は全体としてスループットが向上する可能性があります。特に、エラーの発生頻度が低く、MSDUサイズが小さいトラフィックではA-MSDUによるスループット改善効果が期待できます。

A-MSDUとA-MPDUの使い分けと組み合わせ

A-MSDUとA-MPDUはどちらもフレームアグリゲーションを実現する技術ですが、特性が異なるため、トラフィックの種類や無線チャネルの状態に応じて、適切に使い分ける必要があります。一般的に、A-MSDUはアップリンク方向に、A-MPDUはダウンリンク方向に適しているとされます。

また、A-MSDUとA-MPDUを組み合わせることで、さらなるスループット向上が期待できます。例えば、A-MSDUで生成された複数のMPDUをA-MPDUでアグリゲートすることで、フレーム間のオーバーヘッドを最小化できます。

ただし、A-MSDUとA-MPDUの組み合わせは実装が複雑になるため、適切な設定とチューニングが必要となります。無線チャネルの状態や、トラフィックの特性を考慮しながら、A-MSDUとA-MPDUのサイズや、再送制御のパラメータを最適化することが重要です。

また、A-MSDUとA-MPDUの組み合わせはデバイスやアクセスポイントのハードウェア性能にも依存します。高性能なデバイスではA-MSDUとA-MPDUの組み合わせによる効果が大きくなりますが、低性能なデバイスでは処理オーバーヘッドが大きくなり、かえってスループットが低下する可能性があります。

したがって、A-MSDUとA-MPDUの使い分けと組み合わせはネットワーク環境や要件に応じて慎重に検討し、適切に設定する必要があります。また、実際の運用ではパフォーマンスを継続的にモニタリングし、必要に応じてパラメータを調整していくことが重要となります。

※上記コンテンツはAIで確認しておりますが、間違い等ある場合はコメントよりご連絡いただけますと幸いです。

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