7社がJOGMECの先進的CCS事業を受託、東京湾域でのCO2回収年間3百万トンを計画

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

7社がJOGMECの「先進的CCS事業」を受託
東京湾域CO2回収年間3百万トンを想定
2030年度までの事業開始を目指す

7社がJOGMECの先進的CCS事業を受託、東京湾域でのCO2回収を計画

コスモ石油株式会社、三菱商事株式会社、ENEOS株式会社、JX石油開発株式会社、JFEスチール株式会社、株式会社日本触媒およびPETRONAS CCS Solutions Sdn Bhdは、JOGMECが実施した令和6年度「先進的CCS事業に係る設計作業等」の公募で採択された。本調査では東京湾周辺の複数産業から排出されるCO2を対象としたCCSバリューチェーン構築の実現可能性を検証する。^[1]

調査対象となるCO2の回収規模は年間3百万トン程度を想定しており、将来的には年間6百万トン程度のCO2回収を目指している。この取り組みでは、CO2の分離・回収、液化、海上輸送、貯留の各セグメントにおいて最適な設備設計を検討すると共に、CCS社会実装の実現に向けたコスト試算及び課題の抽出、実現可能性検証等を実施する予定だ。

7社は、2026年度までの最終投資決定、2030年度までの事業開始を目指している。各社はそれぞれの専門性を活かし、事業化に必要なバリューチェーンの構築や関連技術検証などを進めていく。この取り組みは、日本のカーボンニュートラル実現に向けた重要なステップとなることが期待される。

先進的CCS事業の概要

項目	詳細
採択事業名	先進的CCS事業に係る設計作業等
実施機関	JOGMEC（独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構）
参画企業	コスモ石油、三菱商事、ENEOS、JX石油開発、JFEスチール、日本触媒、PETRONAS CCS Solutions
対象地域	東京湾域（京浜地区・京葉地区）
想定CO2回収量	年間3百万トン（将来的に6百万トン）
目標時期	2026年度までに最終投資決定、2030年度までに事業開始

CCSについて

CCSとは「Carbon Capture and Storage（二酸化炭素回収・貯留）」の略称で、CO2の排出削減技術の一つだ。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

工場や発電所などから排出されるCO2を分離・回収
回収したCO2を地中や海底下に圧入・貯留
大規模なCO2排出削減が可能な技術

本調査では、東京湾域の複数産業から排出されるCO2を対象としたCCSバリューチェーン構築の実現可能性を検証する。CO2の分離・回収、液化、海上輸送、貯留の各セグメントにおいて最適な設備設計を検討すると共に、CCS社会実装の実現に向けたコスト試算及び課題の抽出、実現可能性検証等を実施する予定だ。

先進的CCS事業に関する考察

先進的CCS事業の採択は、日本のカーボンニュートラル実現に向けた重要な一歩だ。特に、複数の大手企業が連携してCCSバリューチェーンの構築を目指す点は、技術的・経済的なシナジー効果を生み出す可能性がある。一方で、CCSの実用化には高額な初期投資や運用コストが課題となる可能性が高く、事業の採算性確保が重要な焦点となるだろう。

今後、CCS技術の更なる効率化や低コスト化が期待される。特に、CO2の分離・回収技術の改善やより効率的な輸送手段の開発が重要になるだろう。また、貯留サイトの安全性確保や長期モニタリング技術の確立も不可欠だ。これらの技術革新により、CCSの経済性と環境性能の両立が可能になると考えられる。

さらに、本事業の成功は日本のCCS技術の国際競争力向上にもつながる可能性がある。アジア太平洋地域におけるCCS市場は今後拡大が見込まれており、日本企業が先行してノウハウを蓄積することで、技術輸出や国際協力の機会が広がるだろう。政府には、CCS普及に向けた制度整備や経済的インセンティブの創出など、支援策の充実が期待される。

参考サイト

^ PR TIMES. 「JOGMEC令和６年度「先進的CCS事業に係る設計作業等」の受託 | コスモエネルギーホールディングス株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000160.000098598.html, (参照 24-10-01).

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