九州大学病院が「ユビーメディカルナビ生成AI」を試験導入、複数診療科で退院時サマリ作成などに活用し業務効率化を推進

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

九州大学病院が「ユビーメディカルナビ生成AI」を試験導入
複数の診療科で退院時サマリ作成等に活用予定
国内大学病院での導入は初

九州大学病院が「ユビーメディカルナビ生成AI」を試験導入し業務効率化を推進

Ubie株式会社は、生成AIを活用したサービス「ユビーメディカルナビ生成AI」が九州大学病院で試験的に導入され、2024年10月1日より院内での利用が開始されたことを発表した。この導入は国内の大学病院では初めてのケースとなる。血液・腫瘍・心血管内科や胆道・膵臓・膵臓移植・腎臓移植外科など複数の診療科の医師を中心に、退院時サマリ作成や診療情報提供書の作成に活用される予定だ。^[1]

九州大学病院は西日本における高度医療の中核拠点として、最先端医療の実施と安全性の強化に重点を置いている。「臨床研究中核病院」や「がんゲノム医療中核拠点病院」にも認定されており、新しい医療技術の開発とその実用化に取り組んでいる。2024年4月からの医師の働き方改革施行を受け、高度医療の提供と職員のワーク・ライフ・バランスの両立を目指し、DXの導入にも積極的に取り組んでいる。

「ユビーメディカルナビ生成AI」は、文章生成・要約の他、音声認識、画像認識などの多彩な機能を備えている。豊富なプロンプトテンプレートにより幅広い業務の効率化を支援し、院内データの病院個別環境外での処理やAIの学習での活用がなく安全に利用可能だ。コンサルタントが導入検討から医療現場での活用や業務実装に至るまで一気通貫で支援する点も特徴となっている。

九州大学病院での「ユビーメディカルナビ生成AI」活用概要

項目	詳細
導入開始日	2024年10月1日
主な活用診療科	血液・腫瘍・心血管内科、胆道・膵臓・膵臓移植・腎臓移植外科、肝臓・脾臓・門脈・肝臓移植外科、整形外科、循環器内科、顔面口腔外科、先端医工学診療部
主な活用用途	退院時サマリ作成、診療情報提供書作成、内服指示
月間対応件数（従来）	退院時サマリ約2500件、診療情報提供書約2300件
特徴	文章生成・要約機能、音声認識機能、豊富なプロンプトテンプレート、安全性への配慮

生成AIについて

生成AIとは、人工知能技術の一つで、既存のデータから新しい内容を創造的に生成する能力を持つシステムのことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

大量のデータから学習し、人間のような自然な文章や画像を生成
タスクに応じて柔軟に対応し、多様な出力が可能
人間の作業を補助し、生産性向上や創造性支援に貢献

医療分野における生成AIの活用は、「ユビーメディカルナビ生成AI」のような形で進んでいる。退院時サマリや診療情報提供書の作成支援により、医療従事者の業務効率化が期待される。同時に、生成された内容の正確性や個人情報の取り扱いには十分な注意が必要であり、人間による最終確認は不可欠だ。

九州大学病院の「ユビーメディカルナビ生成AI」導入に関する考察

九州大学病院による「ユビーメディカルナビ生成AI」の導入は、医療現場におけるAI活用の重要な一歩となるだろう。医師の働き方改革が進む中、生成AIによる業務効率化は時間外労働の削減や医療の質の向上につながる可能性がある。特に月間2500件以上の退院時サマリ作成や2300件以上の診療情報提供書作成といった大量の文書作成業務の負担軽減が期待できる。

一方で、生成AIの医療現場での活用には慎重な姿勢も必要だ。患者情報の取り扱いや生成された文書の正確性の担保、AIへの過度な依存などの問題が起こる可能性がある。これらの課題に対しては、厳格なデータ管理体制の構築やAIが生成した内容の人間による確認プロセスの確立、医療従事者へのAIリテラシー教育などが解決策として考えられる。

今後、「ユビーメディカルナビ生成AI」には医療画像の解析支援や診断補助機能の追加など、より高度な機能の実装が期待される。同時に、他の医療機関との連携や医療データの標準化を進め、生成AIの学習データの質と量を向上させることで、より精度の高い支援が可能になるだろう。九州大学病院の取り組みが、医療分野におけるAI活用の先駆的事例となり、全国の医療機関に波及していくことを期待したい。