東京建物と三井ホームが木造5階建て賃貸マンションの着工を発表、環境負荷低減と居住性向上を両立

text: XEXEQ編集部
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記事の要約

木造5階建て賃貸マンションの着工発表
主要構造部・共用部に木材を使用
国土交通省の推進事業に採択

東京建物と三井ホームによる木造賃貸マンションプロジェクトの着工

東京建物株式会社と三井ホーム株式会社は、主要構造部や共用部に木材を使用した5階建て賃貸マンション「(仮称)洗足池プロジェクト」の着工を2024年10月10日に発表した。このプロジェクトは、東京都大田区に位置し、国土交通省の令和6年度優良木造建築物等整備推進事業に採択されている。両社は木材の積極的な利活用を通じて、持続可能な社会の実現に貢献することを目指している。^[1]

木材はCO2を吸収し炭素を貯留する機能を持つだけでなく、鉄や鉄筋コンクリートと比較して製造、加工、建設時に必要とされるエネルギーが少なく、CO2排出量の削減にもつながる。さらに、木材は建築物が解体された後も建築資材として再利用可能な循環資源であり、環境負荷の低減に大きく貢献する。

本プロジェクトでは、主要構造部への木材使用に加えて、共用部の仕上材にも天然木材を採用することで、木の温かみを感じられる居住空間を提供する。また、高性能屋根断熱パネルや高効率給湯器の採用、屋上への太陽光パネルの設置など、省エネ・創エネの取り組みにより環境負荷を低減し、ZEH-M Orientedを取得している。

(仮称)洗足池プロジェクトの概要

項目	詳細
所在地	東京都大田区東雪谷一丁目35番13、36番2、37番1（地名地番）
敷地面積	1,117.94㎡
延床面積	2,075.74㎡
構造・階数	木造枠組壁工法、一部RC造・5階建
総戸数	42戸
竣工予定	2026年3月
環境性能	ZEH-M Oriented取得

木造建築物について

木造建築物とは、主要構造部に木材を使用した建築物のことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

CO2吸収と炭素貯留機能を持つ
製造・加工・建設時のエネルギー消費が少ない
解体後も再利用可能な循環資源である

本プロジェクトでは、木造建築物の利点を活かしつつ、5階建ての賃貸マンションとして実現している。木造マンションの公的要件として、3階建て以上の共同住宅で住宅性能評価書により劣化対策等級3が証明された上で、耐震等級3、耐火等級4、または耐火建築物のいずれかを満たす必要がある。本物件は耐火建築物の要件を満たしている。

木造賃貸マンションプロジェクトに関する考察

木造5階建て賃貸マンションの実現は、環境負荷低減と居住性向上の両立という点で画期的だ。木材の特性を活かした構造設計と、省エネ・創エネ技術の導入により、持続可能な都市開発のモデルケースとなる可能性がある。一方で、木造高層建築の普及に向けては、耐火性能の確保や長期的な維持管理コストなど、解決すべき課題も存在するだろう。

これらの課題に対しては、新たな木材処理技術の開発や、AIを活用した建物管理システムの導入などが解決策として考えられる。また、木造建築の普及に伴い、林業や木材加工業の活性化も期待でき、地域経済への波及効果も見込める。今後は、さらなる高層化や大規模化に向けた技術開発と、木造建築に関する法規制の見直しが進むことが期待される。

木造賃貸マンションの増加は、都市の景観や住環境にも大きな変化をもたらす可能性がある。木の温もりを感じられる街並みの形成や、居住者の心理的健康への好影響など、数値化しにくい価値の創出も期待できる。今後は、こうした定性的な効果の検証と、それに基づく木造建築の価値の再評価が必要になるだろう。