ロート製薬がBAIBYS Fertility社に出資、AIとロボティクスを活用した精子選択システムの開発で不妊治療分野に本格参入

text: XEXEQ編集部

PR TIMES より

記事の要約

ロート製薬がBAIBYS Fertility社に出資
AIとロボティクスを活用した精子選択システムを開発
日本・アジア地域での独占販売オプション権を取得

ロート製薬のBAIBYS Fertility社への出資と不妊治療分野への進出

ロート製薬株式会社は、不妊治療の新たな解決策を提供するBAIBYS Fertility Ltd.のシリーズAラウンドへの出資を発表した。BAIBYS社は、AIとロボティクスを活用した完全自動化精子選択システムを開発するイスラエルのスタートアップであり、この出資によりロート製薬は日本およびアジア地域における同社システムの独占販売に関するオプション権を獲得している。^[1]

ロート製薬は1992年に日本初の一般用妊娠検査薬の販売を開始して以来、妊活・妊娠・出産に関する取り組みを継続的に推進してきた。社内起業家支援プロジェクト「明日ニハ」から始まった「こうのとりプロジェクト」を通じて、再生医療技術の不妊治療分野への応用を目指してきたことが、今回のBAIBYS社への出資につながっている。

BAIBYS社の完全自動化精子選択システムは、精子の形態と動きをリアルタイムで臨床的に分析し、最適な精子を自動的に選択することで顕微受精の成功率向上を目指している。また、胚培養士の心理的負担軽減にも寄与すると期待されている。現在、欧州と米国の不妊治療クリニックで実証試験を実施中であり、終了後に販売が開始される予定だ。

	ロート製薬	BAIBYS Fertility Ltd.
本社所在地	大阪府大阪市	イスラエル
代表者	杉本雅史（社長）	ギャルゴルブ（共同創設者兼共同CEO）
設立年	1949年	2020年1月
主な事業内容	医薬品・化粧品の製造販売	精子選択システムの開発・提供
不妊治療分野の取り組み	妊娠検査薬、排卵日検査薬の販売	AIとロボティクスを活用した精子選択システムの開発

AIとロボティクスを活用した精子選択システムについて

AIとロボティクスを活用した精子選択システムとは、人工知能と自動化技術を組み合わせて、不妊治療における精子選択プロセスを最適化する革新的な技術のことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

精子の形態と動きをリアルタイムで分析し、最適な精子を自動選択
顕微受精の成功率向上を目指す
胚培養士の心理的負担を軽減

このシステムは、従来の手作業による精子選択プロセスを自動化することで、人為的ミスを減らし、より客観的かつ効率的な精子選択を可能にする。AIによる高度な画像解析技術と、ロボティクスによる精密な操作技術を組み合わせることで、人間の目では判別しづらい微細な違いを識別し、最適な精子を選び出すことができるのだ。

ロート製薬のBAIBYS社への出資に関する考察

ロート製薬のBAIBYS社への出資は、同社の不妊治療分野への本格的な参入を示す重要な一歩となるだろう。従来の一般用検査薬の提供から、より高度な医療技術の開発・提供へと事業領域を拡大することで、不妊に悩むカップルに対してより包括的なソリューションを提供できる可能性がある。一方で、医療機器の開発・販売には厳格な規制や高度な専門知識が求められるため、これらへの対応が今後の課題となるだろう。

今後、ロート製薬には日本およびアジア地域の市場特性に合わせたマーケティング戦略の構築が求められる。特に、不妊治療に対する文化的な認識や受容度が国や地域によって異なることを考慮し、きめ細かなアプローチが必要となるだろう。また、BAIBYS社のシステムの有効性と安全性を日本の医療現場で実証し、医療従事者や患者からの信頼を獲得することも重要な課題となる。

長期的には、ロート製薬がこの分野で培った技術やノウハウを活かし、不妊治療以外の生殖医療や再生医療分野へと事業を拡大していくことも期待される。また、AIやロボティクス技術の進化に伴い、精子選択以外の不妊治療プロセスの自動化や最適化にも取り組むことで、より包括的な不妊治療ソリューションの提供者としての地位を確立できる可能性がある。