【CVE-2024-50268】Linuxカーネルのucsi_ccg_update_set_new_cam_cmdに境界外アクセスの脆弱性、USBタイプCの制御に関する重要な修正を実施
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記事の要約
- Linuxカーネルにバッファオーバーフローの脆弱性が発見
- ucsi_ccg_update_set_new_cam_cmdに境界外アクセスの問題
- USBタイプCの制御に関する深刻な脆弱性を修正
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Linuxカーネルのucsi_ccg_update_set_new_cam_cmdにおける境界外アクセスの脆弱性
kernel.orgは2024年11月19日、LinuxカーネルのUSBタイプC実装における重要な脆弱性を修正したことを発表した。ucsi_ccg_update_set_new_cam_cmd関数において、debugfsを介してユーザーが制御可能な*cmd変数に起因する境界外アクセスの問題が特定されている。[1]
この脆弱性は、new_cam変数が最大255の値を取り得るのに対し、uc->updated配列のサイズがUCSI_MAX_ALTMODES(30)に制限されていることに起因している。この制限を超えた値が設定された場合、メモリ破壊やシステムの不安定性を引き起こす可能性が高いだろう。
影響を受けるバージョンは複数存在し、170a6726d0e2以降の特定のバージョンで発生する問題となっている。この脆弱性に対する修正はすでに複数のブランチに適用され、セキュリティアップデートとして提供されている。
Linuxカーネルのバージョン別影響範囲
カーネルバージョン | 影響状況 |
---|---|
5.6未満 | 影響なし |
5.10.x系 | 5.10.230以降は影響なし |
5.15.x系 | 5.15.172以降は影響なし |
6.1.x系 | 6.1.117以降は影響なし |
6.6.x系 | 6.6.61以降は影響なし |
6.11.x系 | 6.11.8以降は影響なし |
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バッファオーバーフローについて
バッファオーバーフローとは、プログラムが確保したメモリ領域の境界を超えてデータを書き込んだり読み取ったりする脆弱性のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。
- メモリ破壊によるシステムクラッシュの可能性
- 権限昇格や任意コード実行のリスク
- データの整合性や機密性への影響
Linuxカーネルのこの脆弱性では、UCSI_MAX_ALTMODESで定義された配列サイズを超えてアクセスする可能性がある。この種の境界チェックの欠如は、カーネル空間でのメモリ破壊を引き起こす可能性があり、システムの安定性や安全性に重大な影響を及ぼすことが懸念される。
Linuxカーネルの脆弱性対応に関する考察
今回の脆弱性対応では、debugfsを介したユーザー入力の検証が不十分であったという根本的な設計上の課題が明らかになった。境界値チェックの実装は比較的シンプルであるものの、USBデバイスの制御に関わる部分であるため、互換性を維持しながらの修正が必要となっている。Linuxカーネルの開発チームは、このような課題に対して迅速な対応を行っているが、今後はより厳密な入力検証の仕組みが必要となるだろう。
また、この種の脆弱性は特権のないユーザーでも悪用できる可能性があり、システムの安全性に対する重大な脅威となり得る。カーネルの開発プロセスにおいては、コードレビューの強化やセキュリティテストの拡充が求められている。今後はDevSecOpsの考え方を取り入れ、開発初期段階からセキュリティを考慮した設計を行うことが重要になるだろう。
将来的には、USBデバイスの制御に関する新しい仕様や標準化が進むことで、より安全な実装が可能になることが期待される。特にType-C関連の実装については、複雑な状態遷移や設定の管理が必要となるため、フレームワークレベルでの安全性確保が重要となってくる。セキュリティと利便性のバランスを取りながら、継続的な改善が必要だ。
参考サイト
- ^ CVE. 「CVE Record | CVE」. https://www.cve.org/CVERecord?id=CVE-2024-50268, (参照 24-11-26).
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