OISTのイカ養殖技術をKwahuu Oceanが商業化、持続可能な水産養殖の実現へ向け資金調達を完了

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

Kwahuu Oceanがイカ養殖の商業化に向け資金調達を完了
世界初となるアオリイカの累代飼育10世代を達成
持続可能な養殖システムの実現を目指す

OISTのイカ養殖技術を活用したKwahuu Oceanの事業展開

Kwahuu Ocean株式会社は持続可能なイカ養殖システムの開発を目的として、ライフタイムベンチャーズからの資金調達を2024年11月25日に完了した。OIST物理生物学ユニットで実現したアオリイカの累代飼育10世代達成の技術をライセンスアウトし、イカ類3種の養殖システムの開発と安定供給を目指している。^[1]

Kwahuu Oceanは沖縄科学技術大学院大学のジョナサン・ミラー教授が率いる物理生物学ユニットの研究成果を基盤としており、2016年から現在まで10種類以上の頭足類の飼育実験を実施してきた実績がある。特にシロイカ型アオリイカとクワイカ型アオリイカに特化した飼育技術は、商業的養殖の可能性を大きく広げることとなった。

季節に応じた小型養殖システムのネットワークを構築し、環境負荷を軽減しながら飼育精度の向上を図る方針を打ち出している。ARやIoTを活用した分散型の小型施設での養殖ノウハウ共有により、効率的な生産体制の確立を目指すことになった。

イカ養殖システムの特徴まとめ

項目	詳細
実績	アオリイカ累代飼育10世代達成（2022年8月）
対象種	イカ類3種（シロイカ型アオリイカ、クワイカ型アオリイカ含む）
技術基盤	OIST物理生物学ユニットの研究成果
システム特徴	季節対応の小型養殖システムネットワーク、ARやIoT活用
開発目標	初期飼料開発、生存率向上、分散型プラントユニット設計

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頭足類の養殖について

頭足類の養殖とは、イカやタコなどの軟体動物を人工的に育成する技術を指している。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

特有の生態と複雑な成長過程への対応が必要
環境条件への高い感受性への配慮が重要
特定の餌管理における専門的な知識が必須

頭足類の中でも特にツツイカ目の養殖は、孵化サイズの小ささや初期飼料の同定の難しさなど多くの課題があり、商業利用が困難とされてきた。現在では30種以上の頭足類で卵から孵化し成長して繁殖に至るまでの育成サイクルが達成されており、養殖技術の進展が期待されている。

イカ養殖の商業化に関する考察

イカ養殖の商業化に向けた取り組みは、日本の食文化の維持と水産資源の持続可能性という観点から重要な意義を持っている。特に日本近海のイカ漁獲量が全盛期の1割まで減少している現状において、安定的な供給体制の構築は喫緊の課題となっているのだ。

環境負荷を最小限に抑えながら養殖を実現する技術は、今後の水産業界全体のモデルケースとなる可能性を秘めている。特に分散型の小規模施設による地産地消モデルは、地域経済の活性化と環境保全の両立を可能にする新しいアプローチとなるだろう。

今後の課題として、初期飼料の開発や生存率の向上、効率的な生産システムの確立が挙げられる。特に頭足類特有の生態や成長過程に対応した養殖技術の確立は、継続的な研究開発と実証実験が必要になると考えられる。

参考サイト

^ PR TIMES. 「OIST発スタートアップ「Kwahuu Ocean」、イカ陸上養殖の商業化を目指しプレシード資金調達を完了 | Kwahuu Ocean株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000153207.html, (参照 24-11-26).

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