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三井住友カードがELYZAの生成AIを導入、コンタクトセンターの応対効率が大幅向上へ

text: XEXEQ編集部


三井住友カードとELYZAの生成AI導入に関する記事の要約

  • 三井住友カードがELYZAの生成AIを本番導入
  • コンタクトセンターの応対スピード向上が目的
  • RAG技術を活用し回答草案を自動生成
  • 最大60%の対応時間短縮を見込む

三井住友カードがELYZAの生成AIを導入

三井住友カード株式会社は、株式会社ELYZAが提供する生成AI技術を自社のコンタクトセンターに本格導入した。この画期的な取り組みは、顧客サービスの質と効率性を大幅に向上させることを目指している。ELYZAの提供する検索拡張生成(RAG)技術を活用することで、オペレーターはお問い合わせに対する回答草案を自動で生成できるようになった。[1]

この生成AI導入の背景には、キャッシュレス決済の急速な普及がある。2023年の消費全体に占めるキャッシュレス決済比率は39.3%と過去最高を記録し、三井住友カードの新規申込件数も500万件を超えた。これに伴い、コンタクトセンターへの月間お問い合わせ件数は50万件を突破し、対応品質と処理能力の向上が喫緊の課題となっていた。

ELYZAの生成AIは、RAG技術を用いて社内データを効率的に検索し、適切な回答草案を自動生成する。この技術の導入により、オペレーターは複雑な問い合わせにも迅速かつ正確に対応できるようになる。さらに、ELYZAのLLM実用化プラットフォーム「ELYZA App Platform」を通じて提供されるため、セキュリティ面でも安心して利用できる体制が整っている。

三井住友カードは、2024年6月末からメール回答業務での利用を開始しており、年内にはチャットでのお問い合わせにも同様の生成AIを展開する予定だ。最終的には、お客様からのお問い合わせ対応時間が最大で60%程度短縮されると見込んでいる。これにより、オペレーターの業務効率が大幅に向上し、より多くの顧客に対して質の高いサービスを提供できるようになるだろう。

この取り組みは、金融機関におけるAI活用の先進的な事例として注目されている。特に、セキュリティ基準の高い金融機関がリスクを抑えながら生成AIの本番導入を実現した点や、RAG技術を利用した本番導入である点が評価されている。また、開発開始から導入実装までを約3ヶ月という短期間で行った点も、業界内で高く評価されている。

検索拡張生成(RAG)技術とは

検索拡張生成(RAG)技術は、大規模言語モデル(LLM)によるテキスト生成に外部情報の検索を組み合わせることで、回答精度を向上させる先進的な手法だ。RAGはRetrieval-Augmented Generationの略称で、従来のAIモデルの知識を拡張し、より正確で文脈に即した回答を生成することができる。この技術により、AIは常に最新の情報を参照しながら回答を生成できるようになる。

RAG技術の核心は、質問に関連する情報を大規模なデータベースから効率的に検索し、その情報をLLMの入力に組み込むことにある。これにより、AIは単に事前学習された知識だけでなく、リアルタイムで取得した最新かつ関連性の高い情報を基に回答を生成できる。結果として、より正確で信頼性の高い回答が可能となり、ユーザーエクスペリエンスの向上につながるのだ。

三井住友カードの生成AI導入に関する考察

三井住友カードによる生成AIの導入は、金融業界におけるカスタマーサービスの革新的な一歩と言える。しかし、この技術の導入には潜在的な課題も存在する。例えば、AIが生成した回答の品質管理や、個人情報の取り扱いに関するセキュリティリスクの管理が重要になるだろう。また、AIの判断が人間のオペレーターのスキルを上回る場面が増えた場合、人材育成の在り方も再考する必要が出てくる可能性がある。

今後、この生成AI技術がさらに進化することで、単なる回答生成だけでなく、顧客の感情分析や潜在的なニーズの予測など、より高度な機能の追加が期待される。また、多言語対応や音声認識との連携により、インバウンド需要への対応力強化にも貢献できるだろう。金融サービスの複雑化が進む中、AIによる支援は顧客満足度の向上と業務効率化の両立に不可欠な要素となっていくと考えられる。

エンジニアの観点からは、このようなAIシステムの導入はフロントエンドからバックエンドまで幅広い知識と技術を要する挑戦的なプロジェクトだ。特に、既存のカスタマーサービスシステムとの統合や、リアルタイムデータ処理、セキュリティ対策など、多岐にわたる技術的課題の解決が求められる。一方で、こうした先進的なプロジェクトは、エンジニアにとって最新のAI技術を実務で活用する貴重な機会となり、キャリア発展の大きな転機となるだろう。

参考サイト

  1. ^ PR TIMES. 「三井住友カードとELYZA、お客さまサポートにおける生成AIの本番利用を開始 | 株式会社ELYZAのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000047.000047565.html, (参照 24-07-02).

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