公開:

NVIDIAがABCI 3.0の性能向上を支援、日本のAI研究開発能力が飛躍的に向上へ

text: XEXEQ編集部


記事の要約

  • NVIDIAがABCI 3.0の性能向上を支援
  • H200 GPUとQuantum-2 InfiniBandを採用
  • 日本のAI主権と研究開発能力を強化

ABCI 3.0、日本のAI研究開発を加速

NVIDIAは産業技術総合研究所と協力し、ABCI 3.0スーパーコンピューターの性能を大幅に向上させる取り組みを開始した。数千基のNVIDIA H200 Tensor コアGPUとNVIDIA Quantum-2 InfiniBandネットワークを採用することで、AIの研究開発を進展させるための最新インフラを構築する。このコラボレーションは日本のAI能力向上と技術的独立性の推進を目指すものだ。[1]

ABCI 3.0は、HPE Cray XDシステムを基盤とし、日本における最新の大規模オープンAIコンピューティングインフラとなる。産総研執行役員の田中良夫氏は、ABCI 3.0が日本の生成AI研究開発能力をさらに高めるコンピューティングインフラに発展することを目指すと述べている。この取り組みは、日本国内における生成AI研究開発の迅速な育成を重視する姿勢を明確に示すものだ。

ABCI 3.0 従来のスーパーコンピューター
GPU NVIDIA H200 Tensor コア 一般的なGPU
ネットワーク NVIDIA Quantum-2 InfiniBand 標準的なネットワーク
AI演算性能 6エクサフロップス 一般的に低い
主な目的 生成AI研究開発 汎用的な科学計算
特徴 オープンAIインフラ 閉鎖的な利用が多い

H200 GPUとは

H200 GPUとは、NVIDIAが開発した最新のGPUアーキテクチャを採用したプロセッサのことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

  • 140 GB以上のHBM3eメモリを搭載
  • 毎秒4.8 TB/sの帯域幅を実現
  • 生成AIとLLMの処理を高速化
  • エネルギー効率に優れた設計
  • HPC向け科学計算性能も向上

H200 GPUは、従来のGPUアーキテクチャと比較して大幅な性能向上を実現している。特に大規模言語モデル(LLM)のトレーニングや推論など、メモリ帯域幅を多く必要とするAIワークロードにおいて、その真価を発揮する。また、エネルギー効率の面でも優れており、データセンターの運用コスト削減にも貢献する設計となっている。

日本のAI主権強化への取り組み

ABCI 3.0プロジェクトは、日本政府の経済安全保障基金を活用した計算整備への補助の一環として実施されている。これは経済産業省による1,566億円規模のイニシアチブの一部であり、クラウドAIコンピューティングへの投資も含まれる。NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは昨年日本を訪れ、岸田文雄首相らと会談し、AIの未来について協議を行った。

フアンCEOは、生成AI・ロボティクス・量子コンピューティングなどの研究協力、AIスタートアップへの投資、AIに関する製品サポート、トレーニングおよび教育の提供を強調した。特に「AIファクトリー」と呼ばれる次世代データセンターの重要性を指摘し、これが世界中で現代における経済基盤になると述べている。ABCI 3.0はまさにこのAIファクトリーの日本版として機能することが期待される。

ABCI 3.0に関する考察

ABCI 3.0の導入により、日本のAI研究開発能力が飛躍的に向上する可能性がある。一方で、こうした高性能なAIインフラの運用には膨大な電力消費が予想され、環境負荷の増大が懸念される。今後は、AIの性能向上と並行して、より省エネルギーな技術開発や再生可能エネルギーの活用などを進めていく必要があるだろう。

ABCI 3.0に期待される新機能として、より大規模なデータセットを扱える分散学習システムの実装や、異なる研究機関間でのセキュアなデータ共有メカニズムの構築が挙げられる。また、量子コンピューティングとの連携や、エッジAIデバイスとの効率的な連携機能なども、将来的に追加されることが望まれる。これらの機能により、より幅広い分野でのAI応用研究が加速する可能性がある。

ABCI 3.0の導入は、日本のAI研究者や企業にとって大きな恩恵となるだろう。世界最高水準の計算リソースにアクセスできることで、これまで困難だった大規模モデルの開発や、複雑なシミュレーションが可能になる。一方で、海外の技術に依存するというジレンマも存在する。長期的には、日本独自のAI技術や半導体技術の開発も並行して進めていくことが重要だ。

ABCI 3.0の成功は、日本のAI研究開発エコシステム全体に波及効果をもたらすことが期待される。大学や研究機関だけでなく、スタートアップ企業や大手企業のR&D部門なども、このインフラを活用することで新たなイノベーションを生み出せる可能性がある。ただし、利用者の公平性や、成果の知的財産権の取り扱いなど、運用面での課題にも十分な配慮が必要となるだろう。

参考サイト

  1. ^ NVIDIA. 「NVIDIA、最先端の ABCI 3.0 で日本のソブリン AI への取り組みを加速 | NVIDIA」. https://blogs.nvidia.co.jp/2024/07/16/abci-aist/, (参照 24-07-17).
  2. NVIDIA. https://www.nvidia.com/ja-jp/
  3. 経済産業省. https://www.meti.go.jp/index.html

※上記コンテンツはAIで確認しておりますが、間違い等ある場合はコメントよりご連絡いただけますと幸いです。

「AI」に関するコラム一覧「AI」に関するニュース一覧
ブログに戻る

コメントを残す

コメントは公開前に承認される必要があることにご注意ください。