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公開：2024-07-18

富士通とCohereが戦略的提携、企業向け日本語強化LLMを共同開発へ

text: XEXEQ編集部

記事の要約

• 富士通とCohereが戦略的パートナーシップを締結
• 日本語強化版LLM「Takane」を共同開発
• 富士通がナレッジグラフ拡張RAGなどの技術を開発

富士通とCohereの戦略的提携でAI技術革新が加速

富士通株式会社とCohere Inc.は企業向け生成AIの提供を目指し、大規模言語モデル（LLM）の開発およびサービス提供に向けた戦略的パートナーシップを締結した。両社の技術力を結集し、企業ニーズに応える高度なAIソリューションの実現を目指す。この提携により、富士通はグローバル市場向けに共同開発したLLMを独占的に提供する権利を獲得した。^[1]

パートナーシップの核心は、CohereのLLMをベースとした日本語強化版「Takane」（仮称）の共同開発だ。富士通は2024年9月より、自社のAIサービス「Fujitsu Kozuchi」を通じてこの新しいLLMを提供開始する予定である。セキュリティ面を担保し、プライベート環境での社内データ活用を可能にする点が特徴となっている。

富士通は長年培ってきたナレッジグラフ技術を活かし、ナレッジグラフ拡張RAGと生成AI監査技術を独自に開発した。これらの技術により、企業の多様で大規模なデータをLLMに効果的に参照させ、法令や企業規則に準拠した生成AIの実現が可能となる。ナレッジグラフ拡張RAGは2024年7月から、生成AI監査技術は2024年9月から「Fujitsu Kozuchi」で提供開始される予定だ。

ナレッジグラフ拡張RAGとは

ナレッジグラフ拡張RAGとは、企業の多様で大規模なデータをナレッジグラフに変換し、それをLLMに参照させる技術のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

• 企業データを体系的に構造化
• LLMの知識を効果的に拡張
• 複雑な関係性を含む情報を扱える
• データの整合性と信頼性を向上
• 企業固有の文脈を考慮した回答が可能

この技術により、LLMは企業の持つ豊富な情報を適切に理解し、より正確で文脈に沿った回答を生成できるようになる。結果として、企業の意思決定支援や業務効率化に大きく貢献することが期待される。ナレッジグラフ拡張RAGは、富士通が長年研究開発してきたナレッジグラフ技術の集大成と言える革新的なアプローチだ。

AIサービス「Fujitsu Kozuchi」の進化と展望

富士通のAIサービス「Fujitsu Kozuchi」は、新たに開発された「Takane」（仮称）の導入により大きな進化を遂げる。プライベート環境での運用が可能なこのLLMは、企業の機密データを安全に活用しながら高度な自然言語処理を実現する。さらに、ナレッジグラフ拡張RAGと生成AI監査技術の統合により、企業固有の知識を効果的に活用しつつ、コンプライアンスを確保した運用が可能となる。

富士通は「Fujitsu Kozuchi」を通じて、金融、官公庁、R&Dなど高度なセキュリティが要求される分野向けにカスタマイズされたAIソリューションを提供していく方針だ。また、クラウドベースのプラットフォーム「Fujitsu Data Intelligence PaaS」や「Fujitsu Uvance」のオファリングを通じて、より広範な業種・業態のニーズに応えていく。これにより、企業のデジタルトランスフォーメーションを加速し、新たな価値創造を支援することが期待される。

富士通とCohereの戦略的提携に関する考察

富士通とCohereの戦略的提携は、企業向けAI市場に大きな影響を与える可能性がある。両社の技術力の融合により、日本語処理能力に優れ、かつ企業の機密データを安全に扱えるLLMの実現が期待できる。しかし、AI技術の急速な進化に伴い、新たな法規制やガイドラインへの対応が必要となる可能性も高い。

今後は、さらなる自然言語理解能力の向上や、マルチモーダル対応など、AIの適用範囲を拡大する新機能の追加が期待される。また、産業別の特化型モデルの開発や、他の先端技術（量子コンピューティングなど）との統合も、将来的な展開として考えられるだろう。企業のAI活用を促進するためには、使いやすいインターフェースの開発や、AIの判断根拠の説明機能の強化も重要な課題となる。

この提携による恩恵は、主に大企業や高度なセキュリティを要する組織にもたらされる可能性が高い。特に、大量の機密データを扱う金融機関や政府機関、研究開発部門などが、安全性の高いAI活用の恩恵を受けるだろう。一方で、中小企業や新興企業にとっては、高度なAIソリューションへのアクセスコストが課題となる可能性がある。

長期的には、この提携が日本のAI産業の国際競争力強化につながることが期待される。富士通の企業向けソリューションの知見とCohereの最先端AI技術の融合は、グローバル市場での日本企業の存在感を高める可能性を秘めている。しかし、急速に進化するAI市場において、継続的なイノベーションと迅速な市場展開が成功の鍵を握るだろう。

参考サイト

1. ^ PR TIMES. 「富士通とCohere、企業向け生成AIの提供に向けた戦略的パートナーシップを締結し、共同開発を開始 | 富士通株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000316.000093942.html, (参照 24-07-18).
2. Intel. https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/homepage.html

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