ジェイテクトがドローン向け姿勢制御システムを開発、自動車技術の応用で高性能化を目指す

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

ジェイテクトがドローン向け姿勢制御システムを開発
電動パワーステアリングの技術を活用したフライトコントローラー
高性能・高信頼性の国産ドローン実現を目指す

ジェイテクトのドローン向けフライトコントローラー開発

株式会社ジェイテクトは、自動車の電動パワーステアリング技術を応用し、ドローンの姿勢制御システム「フライトコントローラー」の開発に着手したことを2024年9月12日に発表した。この取り組みは、JTEKT Group 2030 Visionに基づき、モビリティ社会の未来を創るソリューションプロバイダーを目指す同社の戦略の一環である。^[1]

ジェイテクトは、テクノロジープラットフォーム（テクプラ）とソリューション共創センター（ソリセン）を活用し、社内外の課題解決に向けたソリューションを提案している。フライトコントローラーの開発は、このアプローチを具現化した先駆的な取り組みであり、同社のコンピタンスを新たな分野で活用する試みとなっている。

開発の背景には、少子高齢化や人口減少、インフラの老朽化といった社会課題がある。これらの課題に対応するため、設備点検や貨物輸送におけるドローンの活用が拡大しており、高い信頼性を持つ国産ドローンへの需要が増加している。ジェイテクトは2022年より高耐熱リチウムイオンキャパシタLibuddy®をドローンメーカーに提案しており、今回のフライトコントローラー開発はその延長線上にある。

ジェイテクトのドローン姿勢制御システムの特徴

	フライトコントローラー	Libuddy®
主な機能	ドローンの姿勢・速度制御	高耐熱リチウムイオンキャパシタ
技術基盤	電動パワーステアリング技術	バッテリー技術
目的	高応答性・姿勢安定性の実現	ドローンの運動性能向上
開発状況	開発着手段階	2022年より提案開始
期待される効果	突風発生時の安定性向上	フライトコントローラーとの相乗効果

フライトコントローラーについて

フライトコントローラーとは、ドローンの飛行を制御する中核的なシステムのことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

複数のセンサからのデータに基づく安定姿勢の演算
プロペラのローター回転数を精密に制御
高い応答性と信頼性が要求される

ジェイテクトが開発中のフライトコントローラーは、自動車の電動パワーステアリングで培ったモーター制御技術や安全設計技術を活用している。これにより、高い応答性や姿勢安定性、信頼性を兼ね備えた姿勢制御を実現し、従来品と比較して突風発生時の安定性向上が確認されている。さらに、同社の高耐熱リチウムイオンキャパシタLibuddy®との組み合わせにより、より高性能なドローン制御の実現を目指している。

ジェイテクトのドローン向けフライトコントローラー開発に関する考察

ジェイテクトのフライトコントローラー開発は、自動車産業で培った技術を新たな分野に応用する試みとして評価できる。特に、電動パワーステアリングの技術をドローンの姿勢制御に活用する発想は革新的であり、高い信頼性と安定性を持つ国産ドローンの実現に大きく貢献する可能性がある。また、この取り組みは同社のビジョンであるソリューションプロバイダーへの転換を具現化する好例となるだろう。

しかし、今後の課題として、ドローン市場特有の規制や安全基準への対応が挙げられる。自動車とは異なる法規制や安全要件に適合させるためには、さらなる技術的な調整や検証が必要になるかもしれない。また、既存のドローンメーカーや競合他社との差別化を図るためには、フライトコントローラーの性能だけでなく、ソフトウェアやユーザーインターフェースの開発にも注力する必要があるだろう。

今後、ジェイテクトには、ドローン業界のニーズに合わせたカスタマイズ性の高いフライトコントローラーの開発や、AIを活用した自律飛行機能の強化などが期待される。さらに、Libuddy®との統合による省エネルギー化や長時間飛行の実現など、ドローンの性能向上に直結する技術開発にも期待が高まる。ジェイテクトの技術力と新たな市場へのチャレンジが、日本のドローン産業全体の競争力強化につながることを期待したい。