川田工業が国内最大級のロボット自動塗装実験棟を構築、橋梁分野のDX推進と生産性向上に期待

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

川田工業が国内最大級のロボット自動塗装実験棟構築
自動塗装ロボットと自動搬送装置を組み合わせ
鋼構造製品の塗装効率と品質向上を目指す

川田工業のロボット自動塗装実験棟で橋梁分野のDX加速

川田工業株式会社は、鋼構造製品を製作する富山工場に国内最大級の施工面積を持つ「ロボット自動塗装」実験棟を2024年9月18日に構築した。新たに開発された自走式「自動塗装ロボット」と鋼製製品の「自動搬送装置」を組み合わせることで、大規模な自動塗装が可能になった。この取り組みは、川田グループのDX加速の一環として位置付けられている。^[1]

川田工業は、まず同社の合成床版「SCデッキ」など鋼構造製品を対象に各種の塗装テストを実施する予定だ。年間を通じた環境温度や湿度の変化に左右されず、常に高い塗装品質を得るためのノウハウ確立を目指している。この技術革新により、熟練工の技術継承や安定的な人材確保などの課題解決が期待される。

川田テクノロジーズを持株会社とする川田グループは、この取り組みを通じて主力事業である橋梁分野の塗装工程にロボットを導入し、生産性向上を図る。同時に、デジタル時代に即した新たな職域を創出することで、労働力人口の不足など建設業界が直面する課題の解決を目指している。この革新的なアプローチは、建設業界全体のDX推進に大きな影響を与える可能性がある。

ロボット自動塗装ラインの特徴まとめ

	自動塗装ロボット	自動搬送装置	塗装対象
主な特徴	自走式、防爆型6軸	重量物一括搬送	SCデッキなど鋼構造製品
可動範囲	左右約12m、前後約36m	4枚1セットで搬入可能	最大12枚並列配置
作業効率	約300平米を2時間で塗装	クレーン作業を大幅削減	年間を通じて安定した品質
期待される効果	塗装品質の向上	作業の安全性向上	生産性の大幅な向上

SCデッキについて

SCデッキとは、川田工業が製作・販売する鋼・コンクリート合成床版のことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

橋梁の床構造の一部として使用される
鋼板または形鋼とコンクリートが一体化
荷重に対して効率的に抵抗する構造

SCデッキは、橋梁建設において重要な役割を果たす高性能な構造部材だ。従来の床版と比較して軽量化や施工期間の短縮が可能となり、橋梁全体の性能向上に寄与している。川田工業の新しい自動塗装システムは、このSCデッキの生産効率と品質をさらに向上させ、橋梁建設業界全体の技術革新を促進する可能性がある。

ロボット自動塗装システムに関する考察

川田工業のロボット自動塗装システムは、建設業界が直面する労働力不足や技術継承の課題に対する革新的なソリューションとなる可能性がある。特に、環境条件に左右されず一定の高品質な塗装を実現できる点は、従来の人手による塗装作業の課題を解決する大きな利点だ。しかし、初期投資や運用コスト、既存の作業プロセスとの整合性など、導入に際しては様々な課題が予想される。

今後、このシステムの実用化に向けては、AIやIoT技術との連携によるさらなる高度化が期待される。例えば、環境センサーと連動した塗料の自動調合機能や、画像認識による塗装品質の自動検査システムなどが考えられる。また、遠隔操作や複数ロボットの協調作業など、より柔軟で効率的な運用方法の開発も重要になるだろう。

長期的には、このような自動化技術が橋梁の塗装工程にとどまらず、建設現場全体のDX推進に波及効果をもたらす可能性がある。建設作業員の役割が、単純作業から高度な判断や管理業務へとシフトすることで、業界全体の生産性向上と労働環境の改善が進むことが期待される。川田工業の取り組みは、建設業界のデジタル化における重要な一歩となるだろう。