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公開：2024-08-02

オリーブのソーラーシェアリングモデル圃場、熊本県人吉市に開設、オリビアスとESRホールディングスが連携し新たな農業モデルを確立へ

text: XEXEQ編集部

記事の要約

• オリーブのソーラーシェアリングモデル圃場を開設
• オリビアスとESRホールディングスが連携して実施
• 熊本県人吉市で2024年5月から事業化を開始

オリーブのソーラーシェアリングシステム開発と展開

合同会社オリビアスは、株式会社ESRホールディングスと連携し、熊本県人吉市でオリーブのソーラーシェアリングシステムモデル圃場を2024年5月に設置した。このシステムは、オリーブの矮化栽培技法Oliveious Methodを活用し、太陽光発電と農業を両立させる革新的な取り組みである。発電と営農の最適なバランスを科学的な実証に基づいて開発し、パネル配置基準や遮光率、栽培技法と環境制御技術の最適な組み合わせを特許出願中だ。^[1]

本プロジェクトは、熊本県南部エリアの過疎化や耕作放棄地の拡大という課題に対応するため立ち上げられた。オリーブは従来、太陽光パネル下での栽培が困難とされていたが、適切な矮化栽培技法の適用により可能性が見出された。遮光率については、様々なケースを想定し検証を重ね、地域特性と栽培管理を組み合わせた最適なオプションパターンを開発している。

事業展開においては、オリーブの高収入農業にソーラーシェアリングによる収入を加えることで、より安定した農業モデルの確立を目指している。営農は地元の農業生産法人である合同会社ESR球磨ファームが担当し、オリーブオイルの生産や苗木生産、剪定枝を活用した新商品開発など、多角的な事業展開を計画している。今後、確立したシステムをヘクタール単位で規模拡大し、全国展開を目指す方針だ。

ソーラーシェアリングについて

ソーラーシェアリングとは、農地に支柱を立てて上部空間に太陽光発電設備を設置し、農業と発電事業を同時に行う取り組みのことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

• 農地の有効活用と再生可能エネルギーの導入を両立
• 農家の収入源の多様化と安定化に貢献
• 遮光率の調整により作物の生育に適した環境を創出

ソーラーシェアリングでは、太陽光パネルの配置や角度を調整することで、作物に必要な日光を確保しつつ発電を行う。この手法により、農業生産性を維持しながら再生可能エネルギーの生産が可能となり、農地の多面的な活用が実現する。特に耕作放棄地の再生や農業の持続可能性向上において、重要な役割を果たす可能性を秘めている。

オリーブのソーラーシェアリングに関する考察

オリーブのソーラーシェアリングシステムの開発は、農業と再生可能エネルギーの共存という点で画期的だが、今後はオリーブの生育や収穫量への長期的な影響を慎重に観察する必要がある。特に、遮光率の調整がオリーブの品質や収量に与える影響を詳細に分析し、最適な栽培環境を確立することが課題となるだろう。また、気候変動や極端な気象現象に対する耐性も検証が求められる。

今後の展開として、AIやIoT技術を活用した精密農業システムの導入が期待される。センサーネットワークを用いた環境モニタリングや、ドローンによる生育状況の観測など、先端技術の統合により、より効率的で持続可能なオリーブ栽培が実現する可能性がある。さらに、オリーブオイル以外の副産物活用や、観光農園としての展開など、多角的な事業モデルの構築も検討の余地がある。

オリーブのソーラーシェアリングの成功は、他の樹木作物への応用可能性も示唆している。今後、柑橘類やナッツ類など、他の永年作物へのソーラーシェアリング適用研究が進むことで、農業の新たな可能性が広がるかもしれない。この取り組みが、日本の農業の構造改革と再生可能エネルギー普及の両立に向けた先駆的モデルとなることを期待したい。

参考サイト

1. ^ PR TIMES. 「モデル圃場開設　オリーブのソーラーシェアリングシステムを熊本県に設置　国内最大級のシェアリングモデル構築へ | 合同会社オリビアスのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000129091.html, (参照 24-08-02).

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