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gRPCとは?意味をわかりやすく簡単に解説

text: XEXEQ編集部


gRPCとは

gRPCとはGoogle社が開発したオープンソースのリモートプロシージャコール(RPC)フレームワークです。RPCとは異なるコンピュータ上にあるプログラム同士が、あたかも同じコンピュータ上にあるかのように通信し、相互に機能を呼び出す仕組みを指します。

gRPCはHTTP/2プロトコルを使用し、Protocol Buffersと呼ばれるデータシリアライゼーションフォーマットを採用しています。これにより、高速かつ効率的な通信が可能となり、クライアントとサーバー間のデータ交換を簡素化できます。

gRPCは多言語対応が特徴の一つです。公式にサポートされている言語はC++、Java、Python、Go、Ruby、C#、Node.js、Dart、PHPなどがあり、異なるプログラミング言語で書かれたサービス間の通信を容易にします。

gRPCはマイクロサービスアーキテクチャにおいて特に有用です。各サービスをgRPCを用いて連携させることで、サービス間の疎結合性を維持しつつ、高性能な通信を実現できます。

また、gRPCはGoogleが提供するさまざまなサービスやツールとの連携が容易であり、Kubernetes、Istio、Cloud Run、gRPC-Webなどとシームレスに統合できます。これにより、クラウドネイティブなアプリケーション開発に適しています。

gRPCの主要な特徴と利点

gRPCの主要な特徴と利点に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • gRPCのパフォーマンスと効率性
  • gRPCのシンプルなAPI定義とコード生成
  • gRPCのデッドライン、キャンセル、認証などの機能

gRPCのパフォーマンスと効率性

gRPCはHTTP/2プロトコルを使用することで、高速かつ効率的な通信を実現しています。HTTP/2の特徴である、ヘッダー圧縮、多重化、サーバープッシュなどを活用し、ネットワークのオーバーヘッドを最小限に抑えることができます。

また、Protocol Buffersを使用したバイナリ形式のデータシリアライゼーションにより、データのエンコード・デコードが高速に行われます。これによって、大量のデータを効率的に転送できるため、低レイテンシーな通信が可能となります。

gRPCは長時間の接続を維持するストリーミングRPCにも対応しています。クライアントとサーバー間で双方向のストリーミングを行えるため、リアルタイムなデータ転送や、大量のデータ処理に適しています。

gRPCのシンプルなAPI定義とコード生成

gRPCではProtocol Buffersを使用してAPIを定義します。Protocol Buffersは言語に依存しないシンプルなIDLであり、サービスのインターフェースを明確に記述できます。

API定義ファイル(.protoファイル)から、各言語用のクライアントとサーバーのスタブコードを自動生成できます。これにより、開発者はビジネスロジックに集中でき、ボイラープレートコードの記述を最小限に抑えられます。

また、.protoファイルを共有することで、異なる言語で実装されたサービス間の連携が容易になります。API定義の変更も、.protoファイルを更新するだけで済むため、メンテナンス性が高くなります。

gRPCのデッドライン、キャンセル、認証などの機能

gRPCには分散システムで重要となる機能が組み込まれています。例えば、デッドラインを設定することで、RPCの最大実行時間を制限できます。これにより、ネットワークの問題やサーバーの応答遅延によるクライアントのハングアップを防げます。

また、RPCのキャンセル機能も提供されています。クライアントは不要になったRPCをキャンセルすることで、サーバー側のリソースを無駄にせずに済みます。

gRPCはSSL/TLSによる通信の暗号化や、JWT(JSON Web Token)などを用いた認証機能も備えています。これらの機能により、セキュアな通信を実現し、データの機密性と完全性を保護できます。

gRPCを使用するメリットとユースケース

gRPCを使用するメリットとユースケースに関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • マイクロサービスアーキテクチャにおけるgRPCの活用
  • モバイルアプリとバックエンドサービス間の通信への適用
  • gRPCを用いた効率的なデータ転送と処理

マイクロサービスアーキテクチャにおけるgRPCの活用

マイクロサービスアーキテクチャではアプリケーションを小さな独立したサービスに分割し、それらを連携させることで全体の機能を実現します。この際、サービス間の通信にgRPCを使用することで、高性能かつ効率的なシステムを構築できます。

gRPCはサービス間の疎結合性を維持しつつ、高速な通信を実現します。また、.protoファイルを使用してAPIを定義することで、サービス間のインターフェースを明確にし、メンテナンス性を向上させられます。

さらに、gRPCはKubernetesやIstioなどのクラウドネイティブ技術との親和性が高いため、マイクロサービスの運用やスケーリングを容易にします。これにより、アプリケーションの開発と運用の効率化が図れます。

モバイルアプリとバックエンドサービス間の通信への適用

モバイルアプリケーションの開発において、バックエンドサービスとの通信は重要な要素です。gRPCはモバイルアプリとバックエンドサービス間の通信に適しています。

gRPCは軽量かつ高速な通信を実現するため、モバイルネットワークでの利用に適しています。また、Protocol Buffersを使用することで、データ転送量を最小限に抑えられるため、モバイルデータ通信量の削減にもつながります。

さらに、gRPC-Webを使用することで、WebブラウザからgRPCサービスに直接アクセスできます。これにより、Webアプリケーションとバックエンドサービスの連携も容易になります。

gRPCを用いた効率的なデータ転送と処理

gRPCは大量のデータを効率的に転送し、処理するためのプラットフォームとしても活用できます。ストリーミングRPCを使用することで、大容量のデータをリアルタイムに転送し、サーバー側で処理できます。

例えば、ビッグデータ処理におけるデータ収集や、機械学習モデルの学習データの転送などに、gRPCを活用できます。また、IoTデバイスからのセンサーデータのストリーミング処理にも適しています。

gRPCはバイナリ形式のデータシリアライゼーションにより、データ転送量を最小限に抑えられるため、ネットワーク帯域幅を効率的に利用できます。これにより、大規模なデータ処理システムの構築が容易になります。

gRPCとREST APIの比較と使い分け

gRPCとREST APIの比較と使い分けに関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • gRPCとREST APIのパフォーマンスと効率性の違い
  • gRPCとREST APIの柔軟性と学習コストの差異
  • システムの要件に応じたgRPCとREST APIの選択基準

gRPCとREST APIのパフォーマンスと効率性の違い

gRPCはHTTP/2プロトコルとProtocol Buffersを使用することで、REST APIと比較して高速かつ効率的な通信を実現します。gRPCのバイナリ形式のデータシリアライゼーションはJSON形式のREST APIよりもデータ転送量が少なく、エンコード・デコードの処理も高速です。

また、gRPCはストリーミングRPCをサポートしているため、大量のデータを効率的に転送できます。一方、REST APIはリクエスト・レスポンスの形式が基本であり、大量のデータ転送には向いていません。

ただし、REST APIはキャッシュ機能を利用することで、パフォーマンスを向上させることができます。gRPCではキャッシュ機能が標準で提供されていないため、開発者が独自に実装する必要があります。

gRPCとREST APIの柔軟性と学習コストの差異

REST APIはWebの標準技術であるHTTPプロトコルを使用しているため、幅広い言語やフレームワークでサポートされています。また、REST APIの設計原則はシンプルで理解しやすく、開発者にとって学習コストが低いです。

一方、gRPCはProtocol Buffersを使用してAPIを定義するため、REST APIと比較すると学習コストが高くなる傾向があります。ただし、.protoファイルからコード生成できるため、開発の効率化が図れます。

また、gRPCはHTTP/2プロトコルを使用しているため、ファイアウォールやプロキシとの互換性に注意が必要です。REST APIはHTTP/1.1プロトコルを使用しているため、既存のインフラストラクチャとの親和性が高いです。

システムの要件に応じたgRPCとREST APIの選択基準

gRPCとREST APIの選択はシステムの要件や特性に応じて判断する必要があります。以下のようなケースではgRPCの使用が適しています。

- マイクロサービスアーキテクチャにおけるサービス間通信
- 大量のデータを高速に転送する必要がある場合
- 低レイテンシーな通信が求められる場合
- モバイルアプリとバックエンドサービス間の通信

一方、以下のようなケースではREST APIの使用が適しています。

- 外部に公開するAPIを提供する場合
- Webブラウザからのアクセスが必要な場合
- 既存のインフラストラクチャとの互換性が重要な場合
- 開発チームがREST APIに精通している場合

ただし、これらは一般的な指針であり、実際のシステム設計ではパフォーマンス、セキュリティ、開発コスト、メンテナンス性など、さまざまな要因を考慮する必要があります。状況に応じて、gRPCとREST APIを適切に組み合わせることが重要です。

参考サイト

  1. Google. https://blog.google/intl/ja-jp/

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