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EAP-FASTとは?意味をわかりやすく簡単に解説

text: XEXEQ編集部


EAP-FASTとは

EAP-FAST(Extensible Authentication Protocol-Flexible Authentication via Secure Tunneling)はシスコシステムズが開発したセキュアなネットワークアクセスを提供するためのプロトコルです。EAP-FASTは従来のEAPベースの認証方式に比べて、よりセキュアで効率的な認証を実現します。

EAP-FASTはProtected Access Credential(PAC)と呼ばれる事前共有キーを使用して、クライアントとサーバー間の安全なトンネルを確立します。このトンネルを介して、クライアントの認証情報が安全に交換されるため、中間者攻撃などのセキュリティ脅威から保護されます。

また、EAP-FASTはトンネル確立フェーズと認証フェーズの2つのフェーズから構成されています。トンネル確立フェーズではクライアントとサーバー間で安全なトンネルが確立され、認証フェーズではこのトンネルを介してクライアントの認証が行われます。

EAP-FASTは他のEAPベースの認証方式と比較して、セキュリティと効率性を両立しています。例えば、EAP-TLSと比べると、EAP-FASTはクライアント証明書を必要としないため、証明書の管理コストを削減できます。

さらに、EAP-FASTは内部プロトコルとしてMSCHAPv2を使用することで、レガシーなクライアントとの互換性も確保しています。このように、EAP-FASTはセキュリティと利便性のバランスを取った認証方式と言えるでしょう。

EAP-FASTのセキュリティ機能

EAP-FASTに関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • PACを用いたセキュアなトンネルの確立
  • 相互認証によるなりすまし攻撃の防止
  • 動的再生成によるPACの安全性向上

PACを用いたセキュアなトンネルの確立

EAP-FASTではProtected Access Credential(PAC)と呼ばれる事前共有キーを使用して、クライアントとサーバー間のセキュアなトンネルを確立します。PACはサーバーによって生成され、クライアントに安全に配布されます。

クライアントとサーバーはPACを使用してトンネルを確立し、その後の認証プロセスを保護します。これにより、中間者攻撃などのセキュリティ脅威から通信を保護し、安全な認証を実現できるのです。

また、PACはクライアントとサーバー間で共有される秘密鍵であるため、第三者が傍受したとしてもPACを復元することは非常に困難です。このようにEAP-FASTはPACを用いたセキュアなトンネルの確立により、高いセキュリティを保証しています。

相互認証によるなりすまし攻撃の防止

EAP-FASTではクライアントとサーバーの両方が互いの身元を確認する相互認証を行います。これにより、悪意のある第三者がクライアントやサーバーになりすまして不正にアクセスすることを防止できます。

クライアントはサーバーから受け取ったPACを使用してサーバーの身元を検証します。一方、サーバーはクライアントの認証情報を検証することで、クライアントの身元を確認します。

この相互認証プロセスにより、EAP-FASTはなりすまし攻撃を防止し、正当なユーザーのみがネットワークにアクセスできるようにします。また、相互認証はセキュアなトンネル内で行われるため、認証情報が盗聴されるリスクも最小限に抑えられます。

動的再生成によるPACの安全性向上

EAP-FASTではPACの動的再生成機能によって、PACのセキュリティをさらに強化しています。動的再生成では一定期間ごとに新しいPACが生成され、古いPACは無効化されます。

これにより、万が一PACが漏洩した場合でも、その影響を最小限に抑えることができます。新しいPACが定期的に生成されるため、攻撃者が古いPACを使用しても、ネットワークへのアクセスは拒否されるからです。

また、動的再生成はサーバー側で自動的に行われるため、管理者の手間を省くことができます。このようにEAP-FASTはPACの動的再生成によって、長期的なセキュリティを維持しながら、運用コストの削減にも貢献しているのです。

EAP-FASTの導入と設定

EAP-FASTに関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • EAP-FAST対応機器の選定
  • 認証サーバーの設定
  • クライアントデバイスの設定

EAP-FAST対応機器の選定

EAP-FASTを導入するにはまず、EAP-FAST対応の機器を選定する必要があります。一般的に、シスコ製のアクセスポイントやスイッチ、ワイヤレスコントローラーなどがEAP-FASTをサポートしています。

機器選定の際はEAP-FASTだけでなく、他のセキュリティ機能や性能、拡張性なども考慮する必要があります。また、既存のネットワーク機器との互換性も重要な要素です。

EAP-FAST対応機器はベンダーのウェブサイトや製品カタログで確認できます。必要に応じて、ベンダーの技術サポートに問い合わせると、より詳細な情報を得ることができるでしょう。

認証サーバーの設定

EAP-FASTを使用するには認証サーバーの設定が必要です。一般的に、RADIUS(Remote Authentication Dial-In User Service)サーバーがEAP-FASTをサポートしています。

認証サーバーではEAP-FASTの設定だけでなく、ユーザーアカウントの管理、認証方式の選択、セキュリティポリシーの適用などを行います。これらの設定は組織のセキュリティ要件に応じて適切に行う必要があります。

また、認証サーバーはPACの生成と配布も担当します。PACの有効期限や再生成間隔などのセキュリティパラメーターも、認証サーバーで設定します。

クライアントデバイスの設定

EAP-FASTを使用するクライアントデバイスにも、適切な設定が必要です。一般的に、オペレーティングシステムやワイヤレス接続マネージャーの設定画面で、EAP-FASTを選択し、必要な情報を入力します。

クライアントデバイスではユーザー認証情報(ユーザー名とパスワードなど)の入力が求められます。また、サーバー証明書の検証オプションを有効にすることで、なりすまし攻撃のリスクを減らせます。

組織内で多数のクライアントデバイスを管理する場合は一元管理ツールを使用すると効率的です。これにより、セキュリティポリシーの適用や設定変更を一括で行うことができ、運用コストを削減できます。

EAP-FASTの利点と考慮事項

EAP-FASTに関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • セキュアでスケーラブルな認証の実現
  • 他のEAP方式との比較
  • レガシー環境との互換性

セキュアでスケーラブルな認証の実現

EAP-FASTはセキュアなトンネルを確立し、相互認証を行うことで、高度なセキュリティを実現します。これにより、中間者攻撃やなりすまし攻撃などの脅威から、ユーザーの認証情報や通信内容を保護できます。

また、EAP-FASTは大規模なネットワーク環境に適したスケーラビリティを備えています。認証サーバーとクライアントデバイス間の通信は効率的に処理されるため、多数のユーザーが同時に認証を行っても、パフォーマンスの低下を最小限に抑えられます。

さらに、EAP-FASTはPACの動的再生成機能によって、長期的なセキュリティを維持できます。これにより、ネットワーク管理者はセキュリティと利便性を両立させながら、安全なネットワークアクセスを提供できるのです。

他のEAP方式との比較

EAP-FASTは他のEAP方式と比較して、いくつかの利点があります。例えば、EAP-TLSと比べると、EAP-FASTはクライアント証明書を必要としないため、証明書の管理コストを削減できます。

また、EAP-FASTはEAP-TTLSやPEAPと同様に、セキュアなトンネルを確立します。ただし、EAP-FASTはPACを使用してトンネルを確立するため、サーバー証明書の検証が不要です。これにより、証明書の管理を簡素化できます。

一方で、EAP-FASTはプロプライエタリな技術であるため、他のベンダーの機器との互換性に注意が必要です。また、PACの管理には十分な注意が必要であり、PACが漏洩した場合のリスクを評価しておく必要があります。

レガシー環境との互換性

EAP-FASTはレガシー環境との互換性を考慮して設計されています。例えば、EAP-FASTは内部プロトコルとしてMSCHAPv2をサポートしているため、古いクライアントデバイスでも使用できます。

また、EAP-FASTはフェーズ2の認証方式として、EAPやPAPなどの他の方式も使用できます。これにより、既存のユーザー認証基盤を活用しながら、EAP-FASTの導入を進められます。

ただし、レガシー環境との互換性を確保するためには認証サーバーやクライアントデバイスの設定に注意が必要です。特に、セキュリティポリシーの適用や、認証方式の選択には十分な検討が必要でしょう。

※上記コンテンツはAIで確認しておりますが、間違い等ある場合はコメントよりご連絡いただけますと幸いです。

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