公開：2024-10-10

MicrosoftがEdgeに新Ad Selection APIを導入、プライバシー保護型広告の限定プレビューを開始

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約
MicrosoftがEdgeに新しいAd Selection APIを導入
Ad Selection APIの主な特徴
Origin Trialについて
Ad Selection APIに関する考察
参考サイト

記事の要約

Microsoftが新しいAd Selection APIを発表
Edge限定でプライバシー保護型広告の限定プレビュー開始
開発者向けOrigin Trialとフィードバック募集を実施

MicrosoftがEdgeに新しいAd Selection APIを導入

Microsoftは2024年10月8日、Microsoft Edgeブラウザに新しいAd Selection APIを導入し、限定的なプレビューを開始したことを発表した。このAPIは、サードパーティCookieが利用できない環境でも、プライバシーを保護しながら広告の主要なユースケースをサポートすることを目的としている。欧州経済領域（EEA）と英国を除く地域で段階的に展開される予定だ。^[1]

Ad Selection APIは、プライバシーを保護しながら広告オークションメカニズムを実現する機能を提供する。このAPIを利用することで、開発者はプライバシーを重視した広告選択プロセスを実装できるようになる。MicrosoftはこのAPIの導入により、ユーザーのプライバシーを保護しつつ、効果的な広告エコシステムを維持することを目指している。

また、MicrosoftはAd Selection APIの限定的なOrigin Trialを開始し、開発者からのフィードバックを募集している。このOrigin Trialには、信頼された実行環境（TEE）でホストされるコンテナイメージの使用が含まれており、Azure Confidential Containersなどのクラウドプロバイダーでの展開が可能となっている。開発者は、このAPIを試用し、プライバシー保護型の広告オークションを実装することができるのだ。

Ad Selection APIの主な特徴

	機能	対象	利点
プライバシー保護	サードパーティCookie不要	ユーザー	個人情報の保護強化
広告エコシステム維持	効果的な広告選択プロセス	広告主・パブリッシャー	収益モデルの継続
開発者支援	Origin Trial提供	開発者	新APIの早期テスト可能
セキュリティ	TEEでのコンテナホスティング	全ステークホルダー	データの機密性確保
ユーザーコントロール	新しい設定オプション	Edge ユーザー	広告表示の透明性向上

Origin Trialについて

Origin Trialとは、ウェブブラウザの新機能を一般公開前に特定のウェブサイトで試験的に利用できるようにする仕組みのことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

開発者が新機能を実環境でテストできる
フィードバックを集めて機能改善に活用できる
一般ユーザーへの影響を最小限に抑えられる

Ad Selection APIのOrigin Trialでは、開発者が新しいプライバシー保護型広告APIを実際のウェブサイトで試すことができる。このプロセスを通じて、MicrosoftはAPIの安定性や機能性、エコシステムからのフィードバックを評価し、段階的な展開を進めることができる。開発者は専用のトークンを取得し、attestationファイルをホストすることで、このOrigin Trialに参加することが可能だ。

Ad Selection APIに関する考察

Ad Selection APIの導入は、デジタル広告業界にとって重要な一歩となる可能性が高い。プライバシー保護と効果的な広告配信の両立は、長年の課題であったが、このAPIによってその解決に近づくことができるだろう。ただし、新しい技術の導入には常に課題がつきものであり、広告主やパブリッシャーがこの新しいシステムに適応するには時間がかかる可能性がある。

今後起こりうる問題として、Ad Selection APIの採用率が低迷する可能性が考えられる。特に、既存の広告技術に深く依存している企業にとっては、移行のコストや労力が障壁となるかもしれない。この問題に対する解決策として、Microsoftは詳細なドキュメンテーションの提供や、段階的な移行プランの策定支援など、開発者や広告主向けのサポートを強化する必要があるだろう。

将来的には、Ad Selection APIがクロスブラウザ対応になることが期待される。現在はMicrosoft Edge限定のプレビューだが、他のメジャーブラウザでも同様の機能が実装されれば、ウェブ全体でのプライバシー保護と効果的な広告配信のバランスが取れるようになるだろう。また、機械学習や人工知能を活用した、よりパーソナライズされた広告選択アルゴリズムの開発も期待したい点の一つだ。