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公開：2024-07-27

スタートアップエコシステム協会がDEI改善提言を発表、業界全体の健全な発展を目指す

text: XEXEQ編集部

記事の要約

• スタートアップエコシステムのDEI改善提言を公表
• スタートアップ関連業界のDEI勉強会を4回実施
• DEI改善のための具体的なアクション案を提示

スタートアップエコシステム協会がDEI改善提言を発表

一般社団法人スタートアップエコシステム協会は、2024年5月に「スタートアップエコシステムのDEI改善のための提言」を公表した。この提言は、スタートアップ、ベンチャーキャピタル、アクセラレーターを含むスタートアップ関連業界におけるDiversity, Equity, Inclusion（DEI）に関する課題に対応するものだ。業界の健全な発展を目指し、関係者を広く集めて計4回の勉強会を実施した結果がまとめられている。^[1]

提言書には、スタートアップエコシステムのDEI改善に求められる具体的な施策が盛り込まれている。これらの内容は広く公開され、政府や自治体、政治団体、スタートアップ関係の業界団体等による対応が期待されている。また、本提言への賛同者を募集しており、賛同を希望する人はリリース末尾のURLから登録することが可能だ。

この提言の背景には、2022年に発表された日本政府のスタートアップ育成5カ年計画がある。計画では起業家の増加やスタートアップの成長推進が掲げられているが、その達成には多様な人材が起業し活躍できる環境づくりが不可欠である。しかし、特定の属性に偏った産業では、それ以外の属性の人材が活躍することが難しくなる可能性が指摘されている。

DEIについて

DEIとは、Diversity（多様性）、Equity（公平性）、Inclusion（包摂性）の頭文字を取った略語であり、組織や社会における多様性の尊重と公平な機会提供、そして全ての人々の包摂を目指す概念を指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

• 多様な背景や特性を持つ人々の価値を認め、活かす
• 全ての人に公平な機会と処遇を提供する
• 誰もが尊重され、貢献できる環境を作る

DEIの実践は、単なる道徳的な要請を超えて、組織の創造性や革新性を高め、多様な市場ニーズへの対応力を向上させるビジネス戦略としても注目されている。スタートアップエコシステムにおいては、多様な視点や経験を持つ人材が参画することで、新たなアイデアや解決策が生まれやすくなり、イノベーションの促進につながると期待されている。

スタートアップエコシステムのDEI改善に関する考察

スタートアップエコシステムにおけるDEI改善の取り組みは、長期的には業界全体の成長と健全性に寄与する可能性が高い。しかし、短期的には既存の慣行や文化との軋轢が生じる可能性もあり、改革の推進には慎重かつ粘り強いアプローチが求められるだろう。特に、投資家とスタートアップ間の力関係の不均衡や、スタートアップ特有の高速で柔軟な組織文化との整合性をどう取るかが課題となる可能性がある。

今後、DEIの取り組みをより効果的に推進するためには、定量的な指標の開発と継続的なモニタリングが重要になってくるだろう。例えば、スタートアップの創業者や従業員の多様性指標、投資決定プロセスの透明性、インクルーシブな職場環境の評価など、具体的かつ測定可能な指標を設定し、業界全体で共有・比較できるようにすることが望ましい。

また、DEIの推進がスタートアップエコシステムにもたらす具体的な経済的・社会的価値を明確化し、広く共有していくことも重要だ。多様性がイノベーションを促進し、新たな市場機会を創出するという事例を積み重ね、DEIへの取り組みが単なるコストではなく、競争力強化につながる投資であるという認識を広めていく必要がある。そのためには、成功事例の共有や、DEIと経営成果の関連性に関する研究支援なども有効な施策となるだろう。

参考サイト

1. ^ PR TIMES. 「「スタートアップエコシステムのDEI改善のための提言」を公表しました | 一般社団法人スタートアップエコシステム協会のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000098551.html, (参照 24-07-27).

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