JFE条鋼がEVERSTEELの鉄スクラップAIシステムを全製造所に導入、2025年から運用開始で脱炭素化に貢献

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

JFE条鋼が鉄スクラップAIシステムを導入
EVERSTEELの「鉄ナビ検収AI」を全製造所に展開
2025年から運用開始、脱炭素社会実現に貢献

JFE条鋼の鉄スクラップAI検収システム導入決定

株式会社EVERSTEELは、JFE条鋼株式会社への鉄スクラップAI解析システム「鉄ナビ検収AI」の導入が決定したことを2024年10月15日に発表した。2025年から鹿島製造所・東部製造所を皮切りに、豊平製造所など国内全製造所での導入を予定している。このシステムは、脱炭素社会の実現に向けた鉄鋼業界のCO2排出量削減に貢献するものだ。^[1]

鉄スクラップをリサイクルして鉄を製造する「電炉法」は、従来の「高炉法」と比較してCO2排出量を抑制できる利点がある。しかし、鉄スクラップには不純物や爆発物が混入するリスクがあり、品質チェックには熟練作業員による目視検査が必要だった。「鉄ナビ検収AI」の導入により、スクラップ検収作業の標準化・効率化が実現し、品質面・安全面でのリスク軽減が期待できる。

EVERSTEELは東京大学発のスタートアップ企業で、複数の鉄鋼メーカーでの実証実験を経て「鉄ナビ検収AI」の精度向上を実現してきた。JFE条鋼は、JFEグループ内唯一の電炉専業メーカーとして、鉄のリサイクルによる資源循環型社会の実現を目指している。両社の取り組みにより、鉄スクラップの品質向上と電炉法の普及が加速することが期待される。

JFE条鋼の鉄ナビ検収AI導入概要

	鹿島製造所	東部製造所	豊平製造所
導入時期	2025年上期	2025年下期	順次展開予定
特徴	カメラ設置工事完了	天井クレーンへのカメラ設置成功	詳細未定
期待される効果	検収作業の標準化	広範囲の効率的撮影	全製造所での品質向上

電炉法について

電炉法とは、鉄スクラップを電気炉で溶解して鉄鋼製品を製造する方法のことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

高炉法と比較してCO2排出量が少ない
鉄スクラップのリサイクルが可能
設備投資が比較的少なく、小規模生産に適している

電炉法は、鉄鉱石やコークスを使用する高炉法と比べて環境負荷が低く、資源の有効活用にも貢献する。JFE条鋼のような電炉専業メーカーが「鉄ナビ検収AI」を導入することで、鉄スクラップの品質向上と電炉法の効率化が進み、鉄鋼業界全体の脱炭素化に大きく寄与すると期待されている。

鉄ナビ検収AIの導入に関する考察

JFE条鋼への「鉄ナビ検収AI」の導入は、鉄鋼業界の脱炭素化と品質管理の向上という点で画期的だ。AIによる検収作業の自動化は、人的エラーの削減と作業効率の向上をもたらし、結果として高品質な鉄スクラップの安定供給につながるだろう。しかし、AIシステムの精度維持や新たな異物への対応など、継続的な改善と更新が必要になる可能性がある。

この課題に対しては、EVERSTEELとJFE条鋼の継続的な協力関係が重要になるだろう。定期的なデータ分析とAIモデルの更新、現場作業員からのフィードバックを活用したシステムの改良など、人間とAIの協調による柔軟な運用体制の構築が求められる。将来的には、AIによる異物の自動除去機能や、スクラップの組成に基づいた最適な製鋼プロセスの提案など、より高度な機能の追加も期待したい。

今後、「鉄ナビ検収AI」の成功事例が他の電炉メーカーにも波及し、業界全体でのAI活用が加速することが期待される。さらに、EVERSTEELが構想している地域ごとの統一基準AIの実現により、鉄スクラップの品質評価基準が標準化され、リサイクル市場の活性化と資源循環型社会の構築に大きく貢献する可能性がある。鉄鋼業界のデジタル転換と環境負荷低減の両立に向けた取り組みから目が離せない。

参考サイト

^ PR TIMES. 「EVERSTEEL、JFE条鋼株式会社への鉄スクラップ検収AI導入が決定 | 株式会社EVERSTEELのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000103001.html, (参照 24-10-18).

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