JR西日本がセレンディクスと提携、3Dプリンター技術で駅舎建設の革新へ

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

JR西日本が3Dプリンター技術を活用し駅舎建設
セレンディクス社と資本業務提携を締結
鉄道施設の施工効率化とコスト削減を目指す

JR西日本とセレンディクス社の提携による3Dプリンター建設技術の活用

西日本旅客鉄道株式会社は、2024年5月22日に株式会社JR西日本イノベーションズを通じてセレンディクス株式会社との資本業務提携を発表した。この提携では、セレンディクスが保有する3Dプリンター建設技術を活用し、駅舎やその他鉄道施設の建築に応用することで、施工期間の大幅な短縮とコスト削減を目指している。^[1]

セレンディクスの3Dプリンター住宅技術は、圧倒的な施工スピードが強みであり、工期の短縮と人件費の削減が期待できる。また、コンクリート製であるため木造建築に比べて長期間の使用が可能であり、高い耐震性も備えている。この技術を鉄道施設に応用することで、労働力不足が課題となる中でも着実に鉄道施設の更新を進めることが可能になる。

JR西日本グループは、この提携を通じて「安全、安心で、人と地球にやさしい交通」の実現に寄与することを目指している。セレンディクスの技術を活用することで、鉄道の持続性を高め、長期ビジョンに掲げる目標達成に向けて前進することが期待される。この取り組みは、SDGsの9番、11番、17番のゴールにも貢献するものとして位置付けられている。

JR西日本とセレンディクス社の提携内容まとめ

	JR西日本	セレンディクス
主な役割	鉄道施設への技術応用	3Dプリンター建設技術の提供
期待される効果	施工期間の短縮、コスト削減	技術の新分野への展開
強み	鉄道施設の管理・運営ノウハウ	3Dプリンター住宅の施工スピード
目指す成果	鉄道の持続性向上	建設技術の革新
SDGs貢献	9番、11番、17番のゴール	9番、11番、17番のゴール

セレンディクス社の公式サイトはこちら

3Dプリンター建設技術について

3Dプリンター建設技術とは、大型の3Dプリンターを使用して建築物を層状に積み上げて構築する革新的な建設方法のことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

従来の建設方法に比べて施工期間を大幅に短縮可能
人件費の削減と労働力不足への対応が期待できる
複雑な形状の建築物も効率的に作成可能

セレンディクス社の3Dプリンター住宅技術は、この建設手法を住宅分野に応用したものだ。同社は2022年3月に日本初の3Dプリンター住宅「serendix10」を23時間で完成させ、その後も技術開発を続けている。最新モデルの「serendix50」は50平方メートルの広さを持ち、キッチンやバスルームなどの水回りも備えた2人世帯向け住宅として設計されている。

3Dプリンター建設技術の鉄道施設への応用に関する考察

3Dプリンター建設技術を鉄道施設に応用することで、従来の工法では困難だった短期間での駅舎建設や改修が可能となり、鉄道事業の効率化に大きく貢献する可能性がある。特に地方の小規模駅舎など、標準化された設計を多数展開する場合に、この技術の利点が最大限に発揮されるだろう。一方で、大規模な駅舎や複雑な構造を持つ施設への適用には、技術的な課題が残されている可能性が高い。

今後の課題として、3Dプリンター建設技術で作られた構造物の長期的な耐久性や、極端な気象条件下での性能検証が必要となるだろう。また、従来の建設業界との協調や、新技術に対応できる人材の育成も重要な課題となる。これらの課題に対しては、産学連携による研究開発の推進や、段階的な技術導入を通じたノウハウの蓄積が有効な解決策となり得る。

将来的には、3Dプリンター技術と人工知能を組み合わせた最適設計や、地域の特性に合わせたカスタマイズ可能な駅舎デザインの実現が期待される。また、災害時の迅速な復旧工事への応用や、環境負荷の低い建設材料の開発など、鉄道業界全体の持続可能性向上に寄与する新たな展開にも期待がかかる。JR西日本とセレンディクス社の提携が、これらの革新的な取り組みの先駆けとなることを期待したい。