富士通ら9者が世界初の偽情報対策プラットフォーム構築開始、検知から評価まで統合的に実施

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約
富士通らによる世界初の偽情報対策プラットフォーム構築開始
偽情報対策プラットフォームの主要技術まとめ
エンドースメントグラフについて
偽情報対策プラットフォームの構築に関する考察
参考サイト

記事の要約

富士通ら9者が偽情報対策プラットフォーム構築開始
世界初の偽情報検知から評価までの統合システム
2025年度末までにプラットフォーム完成を目指す

富士通らによる世界初の偽情報対策プラットフォーム構築開始

富士通株式会社は、情報・システム研究機構国立情報学研究所(NII)、日本電気株式会社(NEC)、慶應義塾大学SFC研究所、東京大学生産技術研究所、会津大学、名古屋工業大学、大阪大学と共同で、世界初となる偽情報対策プラットフォームの構築を2024年10月より開始したと発表した。このプラットフォームは、偽情報の検知から根拠収集、分析、評価までを統合的に行う点で画期的なシステムとなっている。^[1]

本プロジェクトは、経済安全保障重要技術育成プログラム（K Program）のもと、NEDOが公募した「偽情報分析に係る技術の開発」事業の一環として実施される。富士通はプライム事業者として、偽情報検知と評価における国内屈指のアカデミアや企業を再委託先として選定し、オールジャパン体制でプラットフォームの構築を進めていく。

偽情報対策プラットフォームは、4つの主要技術から構成される。メディアデータごとの情報分析と偽情報検知、根拠とエンドースメント管理、総合真偽判定支援、偽情報影響度評価がその柱となる。富士通は、これら4つの技術を統合し、2025年度末までにプラットフォームの完成を目指している。

偽情報対策プラットフォームの主要技術まとめ

	技術1	技術2	技術3	技術4
技術名	情報分析と偽情報検知	根拠・エンドースメント管理	総合真偽判定支援	偽情報影響度評価
主な担当機関	NII、NEC	慶應義塾大学SFC研究所、富士通、大阪大学	富士通、名古屋工業大学	東京科学大学、東京大学、会津大学
主な特徴	ディープフェイク検知、改ざん箇所推定	エンドースメントグラフ構築、IoTデータ活用	LLM活用、ユーザーインターフェース開発	拡散規模や社会的影響度の評価

エンドースメントグラフについて

エンドースメントグラフとは、対象とする情報に付加される発信者（人や組織とその属性）、位置、日時などの真偽判定の根拠となる情報のことを指す。このグラフは、偽情報対策プラットフォームにおいて重要な役割を果たす技術の一つである。

情報の関係性を視覚化し構造化
多角的な分析を可能にする
真偽判定の精度向上に寄与

エンドースメントグラフの構築により、偽情報の検知や評価において、単一の情報源だけでなく、関連する様々な情報を総合的に分析することが可能になる。これにより、より正確で信頼性の高い真偽判定が実現され、偽情報対策の効果が大幅に向上することが期待される。

偽情報対策プラットフォームの構築に関する考察

富士通らが開始した偽情報対策プラットフォームの構築は、デジタル社会における信頼性確保という観点から非常に重要な取り組みだ。特に、産学連携によるオールジャパン体制での開発は、多角的な視点と高度な専門知識を結集させることができるという点で評価できる。一方で、プラットフォームの運用にあたっては、プライバシー保護や表現の自由との兼ね合いなど、倫理的な課題にも直面する可能性がある。

今後起こり得る問題としては、偽情報の手法がさらに高度化・複雑化することで、プラットフォームの検知能力が追いつかなくなる可能性が挙げられる。この課題に対しては、AIや機械学習技術の継続的な改良、そして人間の専門家による監視と判断の組み合わせが解決策となるだろう。また、国際的な連携を強化し、グローバルな偽情報対策のネットワークを構築することも重要だ。

今後追加してほしい機能としては、一般ユーザーでも簡単に利用できるインターフェースの開発や、教育機関と連携した情報リテラシー向上プログラムの提供などが考えられる。偽情報対策プラットフォームの構築を通じて、日本が偽情報対策の分野で世界をリードする存在となり、健全なデジタル社会の実現に大きく貢献することを期待したい。