企業価値担保権の認知度調査結果が公開、活用意向企業は26.7%で評価基準の明確化が課題に

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

企業価値担保権の認知度は3割弱にとどまる
活用意向のある企業は26.7%で意見が二分
金融機関の適正な判断と目利き力が課題

企業価値担保権の認知度調査結果と今後の展望

帝国データバンクは、企業の将来キャッシュフローや無形資産を含む事業全体を担保とする新しい資金調達手段である企業価値担保権に関する企業の意識調査を2024年9月に実施し、1万1,188社から回答を得た。企業価値担保権の認知度は3割弱にとどまり、制度の内容をよく知る企業はわずか0.5%、名前すら知らない企業が56.5%に上っている。^[1]

企業価値担保権を活用したいと考える企業は3.8%、今後検討したい企業は22.9%となり、合計で26.7%の企業が活用に前向きな姿勢を示している。活用理由として最も多かったのは自社の事業性に着目した評価に基づく融資を受けたいという点で66.2%を占めている。

一方で活用意向のない企業からは、自己資本で必要な資産をまかなえているため必要ないという意見が40.8%で最多となり、既存の融資手法で充足しているという回答も36.4%を占めている。金融機関の事業性評価の目利き力に対する懸念も複数の企業から指摘されている。

企業価値担保権の調査結果まとめ

項目	詳細
調査期間	2024年9月13日～30日
調査対象	全国2万7,093社（有効回答1万1,188社）
認知状況	制度内容をよく知る0.5%、ある程度知る5.3%、名前のみ22.4%
活用意向	活用したい3.8%、今後検討したい22.9%、活用したくない26.7%
活用理由	事業性評価66.2%、金融機関との関係強化35.0%、経営者保証解除31.3%
不活用理由	自己資本充足40.8%、既存融資で充足36.4%、関係性充実26.7%

将来キャッシュフローについて

将来キャッシュフローとは、企業が将来的に生み出すと予測される現金の流れのことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

事業活動から得られる将来的な収入予測
企業価値評価の重要な指標として活用
投資判断や融資審査の基準として使用

企業価値担保権では、この将来キャッシュフローを含む事業全体を担保として評価することで、有形資産が乏しい企業でも資金調達が可能となる仕組みを構築している。制度の施行により、スタートアップ企業や事業承継を検討している企業にとって、新たな資金調達手段として期待が高まっている。

企業価値担保権制度に関する考察

企業価値担保権制度の導入は、従来の不動産担保や経営者保証に依存しない新たな資金調達手段として、企業の成長をサポートする画期的な取り組みとなる可能性がある。特にスタートアップ企業や事業承継を控えた企業にとっては、事業継続や新規事業展開の機会が広がることが期待できるだろう。

一方で金融機関の事業性評価能力や目利き力の向上が課題として浮かび上がっており、制度の実効性を高めるためには評価基準の明確化や人材育成が不可欠となっている。企業と金融機関の双方が制度を理解し、適切に活用できる環境整備が今後の重要な課題となるだろう。

将来的には企業価値担保権制度を活用した新たな金融サービスの登場も期待される。金融機関による経営改善支援や事業承継支援との連携を強化することで、より効果的な企業支援の枠組みが構築されることが望まれる。

参考サイト

^ PR TIMES. 「新しい資金調達手段の「企業価値担保権」、認知度は3割弱にとどまる　金融機関の適正な判断・目利き力がカギに | 株式会社帝国データバンクのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000959.000043465.html, (参照 24-10-26).

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