三菱電機とソラコムが生成AIを活用したHVAC制御システムを開発、省エネと快適性の両立を実現

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

三菱電機とソラコムが生成AIを活用したHVAC制御システムを開発
マルチモーダル基盤モデルによるオフィス環境の最適化を実現
電力消費量の削減と快適性の向上を達成

Office-in-the-Loopシステムによる空調制御の最適化

三菱電機、ソラコム、松尾研究所は2024年11月14日、オフィス環境におけるHVACシステムの最適化を目指した「Office-in-the-Loop」システムの研究成果を発表した。マルチモーダル基盤モデルを活用した制御システムは、国際会議「ACM BuildSys2024」にて論文が採択されている。^[1]

環境データの収集にはオフィスの既設IoTセンサとソラコムが提供するIoTセンサを組み合わせ、室内外の温度や照度、天井レイアウト、従業員の居場所情報を取得している。生成AIモデルはプロンプトとして環境データとフィードバック情報を活用し、各時間帯における最適なHVAC設定温度を予測するのだ。

長期間の性能評価の結果、Office-in-the-Loopシステムはベースラインと比較して電力消費量を最大47.92%削減し、従業員の快適性を最大26.36%向上させることに成功した。過去の環境データとフィードバック情報を活用した制御により、省エネと快適性の両立を実現している。

HVAC制御システムの性能評価まとめ

項目	詳細
システム名称	Office-in-the-Loop
主要技術	マルチモーダル基盤モデル（MFM）
センサ構成	既設IoTセンサ、ソラコム提供IoTセンサ
取得データ	室内外温度、照度、天井レイアウト、従業員位置情報
性能改善効果	電力消費量47.92%削減、快適性26.36%向上

マルチモーダル基盤モデルについて

マルチモーダル基盤モデルとは、テキスト、画像、音声、動画など複数の異なる種類のデータを同時に処理できる AI モデルのことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

複数のデータ形式を統合的に処理可能
異なるモダリティ間の関係性を学習
高度な認識と予測能力を実現

HVACシステムの制御において、マルチモーダル基盤モデルは温度データや位置情報など多様な環境データを統合的に分析することが可能だ。Office-in-the-Loopシステムでは、従来の監視カメラベースの手法と比較してプライバシーに配慮しながら快適性の向上を実現している。

Office-in-the-Loopシステムに関する考察

Office-in-the-Loopシステムの最大の利点は、従来のHVAC制御システムが抱えていたプライバシー問題と個人の主観的な快適性の両立を実現した点にある。マルチモーダル基盤モデルによる多様なデータの統合的な分析により、監視カメラに依存せずに快適性の向上を達成している点は画期的だ。

一方で、2時間ごとのユーザーフィードバック収集は運用面での大きな課題となっている。行動分析による自動フィードバックシステムの開発や、より長期的な快適性予測モデルの構築が今後の技術的な課題となるだろう。データセンターや工場などの大規模施設への展開も視野に入れた実証実験の拡大が期待される。

将来的には、季節変動や気象条件などの外部要因を考慮した制御アルゴリズムの開発が求められる。Office-in-the-Loopシステムの省エネ効果と快適性向上の両立は、持続可能なオフィス環境の実現に向けた重要な一歩となるはずだ。

参考サイト

^ PR TIMES. 「松尾研究所、「IoT × GenAI Lab」の研究成果に関する論文が「BuildSys 2024」にて採択 | 株式会社松尾研究所のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000113160.html, (参照 24-11-16).

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