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【CVE-2024-53068】Linuxカーネルarm_scmiにメモリ管理の脆弱性、scmi_bus_notifier関数でslab-use-after-freeの問題が発覚

text: XEXEQ編集部
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)


記事の要約

  • Linuxカーネルにslab-use-after-freeの脆弱性が発見
  • scmi_bus_notifier()関数でメモリアクセス制御の不具合
  • scmi_device_release()への移行で問題を修正

【CVE-2024-53068】Linuxカーネルscmi_bus_notifier()の脆弱性

Linux Foundationは2024年11月19日、Linuxカーネルのarm_scmiファームウェアにおけるslab-use-after-freeの脆弱性を修正したことを発表した。この脆弱性は__scmi_device_destroy()内でscmi_dev->nameが早期に解放されることにより、scmi_bus_notifier()内でメモリアクセス違反が発生する深刻な問題であった。[1]

KASANによって検出されたこの脆弱性は、strncmp関数実行時にメモリの不正アクセスを引き起こす可能性があることが判明している。具体的にはCPU 1上のswapper/0プロセスによって、アドレスffffff80a482bcc0への不正な読み取りが検出され、デバッグ情報からスタックトレースが記録された。

この問題に対する修正として、scmi_dev->nameの解放タイミングをscmi_device_release()関数に移動することで、メモリの安全性を確保する対策が実施された。この修正によりarm_scmiファームウェアのメモリ管理が改善され、システムの安定性が向上している。

Linux kernel CVE-2024-53068の影響範囲

項目 詳細
公開日 2024年11月19日
影響を受けるバージョン Linux kernel 5.6以降
修正済みバージョン 6.6.61以降、6.11.8以降、6.12以降
脆弱性の種類 slab-use-after-free
影響を受けるコンポーネント firmware: arm_scmi

slab-use-after-freeについて

slab-use-after-freeとは、メモリ管理における深刻な脆弱性の一種で、既に解放されたメモリ領域に対してアクセスを試みる問題を指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

  • 解放済みメモリへの不正アクセスによるシステム不安定化
  • メモリ破壊やデータ漏洩のリスクが存在
  • カーネルパニックやシステムクラッシュの原因となる可能性

この種の脆弱性は、特にカーネルレベルで発生した場合、システム全体に重大な影響を及ぼす可能性がある。KASANなどのメモリサニタイザーツールを使用することで、このような問題を早期に発見し対処することが可能だ。

Linuxカーネルの脆弱性対応に関する考察

Linuxカーネルのメモリ管理における脆弱性の発見と修正は、オープンソースコミュニティの迅速な対応能力を示す重要な事例となっている。特にKASANによる問題の早期発見とスタックトレースの詳細な記録は、類似の脆弱性を防ぐための重要な知見を提供している。セキュリティ研究者たちの継続的な取り組みにより、システムの信頼性が向上している。

今後はメモリ管理システムの自動検証機能の強化が望まれる。特にarm_scmiのような重要なファームウェアコンポーネントでは、より厳密なメモリアクセス制御とリソース管理が必要となるだろう。KASANなどのツールをさらに活用し、開発段階での脆弱性の早期発見が重要となる。

また、セキュリティ更新プログラムの配布体制の改善も課題となっている。特にエンタープライズ環境では、パッチの適用による影響を最小限に抑えながら、迅速なセキュリティ対応を実現する必要がある。カーネルコミュニティとディストリビューション開発者の連携強化が期待される。

参考サイト

  1. ^ CVE. 「CVE Record | CVE」. https://www.cve.org/CVERecord?id=CVE-2024-53068, (参照 24-11-27).

※上記コンテンツはAIで確認しておりますが、間違い等ある場合はコメントよりご連絡いただけますと幸いです。

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