東急がサステナビリティ・リンク・ローンを実施、CO2排出量削減目標達成へのインセンティブ強化

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

東急がサステナビリティ・リンク・ローンを実施
CO2排出量削減目標をKPIとSPTに設定
シンジケーション方式での初の資金調達

東急がサステナビリティ・リンク・ローンを実施

東急株式会社は、2024年8月28日にシンジケーション方式でのサステナビリティ・リンク・ローンによる金銭消費貸借契約を締結した。このローンでは、同社の「環境ビジョン2030」におけるCO2排出量削減目標を重要評価指標（KPI）およびサステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット（SPT）として設定している。^[1]

サステナビリティ・リンク・ローンは、設定したKPIおよびSPTの達成状況に借入条件を連動させることで、借り手に目標達成へのインセンティブを与える仕組みだ。これにより、環境・社会面において持続可能な経済活動および経済成長の促進を目指している。東急グループにとって、シンジケーション方式によるこの種のローン実施は初の取り組みとなる。

東急グループは「美しい時代へ」というスローガンのもと、「脱炭素・循環型社会」をサステナブル重要テーマの一つとして掲げ、環境経営を推進している。今回のサステナブルファイナンスを通じて、同社はサステナブル経営を推進し、社会とともに持続的な成長を目指す姿勢を明確にした。

サステナビリティ・リンク・ローンの概要

項目	詳細
実施企業	東急株式会社
契約締結日	2024年8月28日
資金調達方式	シンジケーション方式
アレンジャー	株式会社みずほ銀行
KPI・SPT	「環境ビジョン2030」におけるCO2排出量削減目標
サステナブルファイナンス残高	約980億円（2024年度8月末時点）

サステナブルファイナンス・フレームワークの詳細はこちら

サステナビリティ・リンク・ローンについて

サステナビリティ・リンク・ローンとは、借り手の持続可能性に関する野心的な目標達成度合いに応じて融資条件が変動する融資商品のことを指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

KPIとSPTの設定による目標達成へのインセンティブ付与
環境・社会面での持続可能な経済活動の促進
借り手の持続可能性戦略と融資条件の連動

東急のケースでは、「環境ビジョン2030」に基づくCO2排出量削減目標をKPIとSPTに設定している。これにより、同社の環境経営への取り組みと資金調達が直接的に結びつき、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを金融面から後押しする仕組みとなっている。

東急のサステナビリティ・リンク・ローンに関する考察

東急のサステナビリティ・リンク・ローン実施は、企業の環境への取り組みと資金調達を直接結びつける画期的な試みだ。CO2排出量削減目標をKPIとして設定することで、具体的な環境改善効果を金融面から促進する点が評価できる。一方で、目標達成が困難な場合に金利上昇などのペナルティが生じる可能性もあり、企業にとってはリスクとチャンスの両面を持つ取り組みといえるだろう。

今後の課題としては、KPIの達成度合いを正確に測定し、透明性高く開示していくことが挙げられる。また、CO2排出量以外の環境・社会面での指標も取り入れることで、より包括的なサステナビリティ戦略との連携が期待される。金融機関側も、こうした取り組みを評価し、適切な条件設定を行う専門性が求められるだろう。

長期的には、このようなサステナビリティ連動型の金融商品が普及することで、企業の環境・社会への取り組みが加速することが期待される。東急の取り組みが他企業のロールモデルとなり、持続可能な社会の実現に向けた企業の積極的な投資を促進する契機となることを期待したい。金融と環境の両立による新たな企業価値創造の可能性に注目が集まるだろう。