九州大学とwelzoがプラズマアグリ研究で持続可能な農業を目指す、CO₂排出ゼロの窒素肥料開発へ

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

九州大学とwelzoが持続可能な農業のための共同研究を開始
プラズマアグリ技術でCO₂排出ゼロの窒素肥料開発を目指す
8,000億円市場の有機肥料に対する革新的な取り組み

九州大学とwelzoのプラズマアグリ研究による持続可能な農業への挑戦

九州大学プラズマナノ界面工学センターと農業イノベーションカンパニーwelzoは、2024年9月3日にプラズマアグリサイエンスの社会実装に向けた共同研究の開始を発表した。この取り組みは、空気中の窒素を活用した新しい肥料製造技術「プラズマアグリ」を用いて、CO₂排出の少ない持続可能な農業の実現を目指すものだ。^[1]

世界的な人口増加に伴う肥料原料の不足が懸念される中、この技術は農業の未来を切り拓く画期的なものとなる可能性がある。現在、農業における窒素肥料はほぼ全量（97.5%）を輸入に依存しており、その生産工程は環境負荷が大きいという課題があった。プラズマアグリ技術は、この問題を解決し、国内での肥料生産拡大に寄与することが期待されている。

共同研究の目標は、化石燃料に依存しない肥料や培土、およびそれらを製造する機械装置の開発だ。研究は令和6年4月1日から開始され、福岡県福岡市西区今津にあるwelzo研究農場の新設ハウスで実施される。この取り組みは、スマート農業の推進にも寄与し、環境負荷の低減と農業生産性の向上を同時に実現することを目指している。

プラズマアグリ共同研究の概要

項目	詳細
研究内容	プラズマアグリサイエンスの社会実装に向けた共同研究
目標	化石燃料に依存しない肥料や培土、および製造機械装置の開発
開始時期	令和6年4月1日～
実施場所	welzo研究農場（福岡県福岡市西区今津）※新設ハウス
期待される効果	環境負荷の低減、農業生産性の向上
市場規模	有機肥料市場 8,000億円

プラズマアグリについて

プラズマアグリとは、プラズマ技術を活用して農業生産性を向上させる取り組みのことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

空気中の窒素を利用した新しい肥料製造技術
CO₂排出の少ない持続可能な農業の実現
国内での肥料生産拡大の可能性

プラズマアグリ技術は、従来のハーバー・ボッシュ法に代わる革新的な窒素肥料生成方法として注目されている。この技術は、空気中でプラズマを発生させることで、室温程度で化学反応を高い活性で起こし、空気を原料に窒素肥料を製造することが可能だ。これにより、高温高圧の環境下で大量のエネルギーとCO₂を消費する従来の方法と比較して、環境負荷を大幅に軽減することが期待されている。

プラズマアグリ技術に関する考察

プラズマアグリ技術の最大の利点は、環境負荷を大幅に軽減しつつ、国内での肥料生産を可能にする点だ。これにより、輸入依存度の高い窒素肥料の国内自給率を劇的に向上させ、食料安全保障の観点からも重要な役割を果たすことが期待される。一方で、新技術の大規模導入には、既存の農業システムとの統合や、生産コストの問題など、乗り越えるべき課題も存在するだろう。

今後起こり得る問題としては、新技術の普及に伴う従来の肥料産業への影響や、農家の新技術導入に対する抵抗感などが考えられる。これらの課題に対しては、段階的な技術導入や、農家向けの教育・支援プログラムの充実などが解決策として有効だろう。また、プラズマアグリ技術の効果や安全性に関する長期的な研究データの蓄積も重要になってくる。

将来的には、プラズマアグリ技術を基盤とした新たな農業エコシステムの構築が期待される。例えば、IoTやAIと組み合わせた精密農業システムの開発や、地域特性に応じたカスタマイズ可能な肥料製造装置の実現などが考えられる。これらの取り組みを通じて、日本の農業が抱える様々な課題の解決に貢献し、持続可能で競争力のある農業モデルを世界に発信していくことができるだろう。

参考サイト

^ PR TIMES. 「【産学連携】プラズマアグリ研究で世界をリードする九州大学とwelzo、独自技術により8,000億円市場の有機肥料に対しCO₂ 排出ゼロの窒素肥料を開発へ　持続可能な農業を目指す共同研究をスタート | 株式会社welzoのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000044.000072201.html, (参照 24-09-04).

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