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公開：2024-06-16

ENIAC(エニアック)とは？意味をわかりやすく簡単に解説

text: XEXEQ編集部

ENIAC(エニアック)とは

ENIAC(エニアック)は1946年に完成した世界初のデジタル汎用コンピュータです。当時の技術水準では画期的な存在であり、現代のコンピュータの原型となりました。

ENIACはElectronic Numerical Integrator and Computerの略称です。第二次世界大戦中に、米国陸軍の大砲の弾道計算を目的として開発がスタートしました。

ENIACの設計はペンシルベニア大学ムーア学部のジョン・モークリーとプレスパー・エッカートによって行われました。実際の製造は1943年から1946年にかけて、ペンシルベニア大学で行われています。

ENIACは大きさが30m x 3m x 0.9mもあり、重量は約30tもありました。消費電力は150kWで、当時の一般家庭の消費電力の約100倍に相当する電力を消費していたそうです。

ENIACは10進数での演算を行うコンピュータでした。演算速度は1秒間に5,000回の加減算が可能で、当時としては驚異的な速さを誇っていました。

ENIACの構成と特徴

ENIACの構成と特徴に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

• ENIACを構成する主要な要素
• ENIACの演算装置の特徴
• ENIACのプログラミング方式

ENIACを構成する主要な要素

ENIACは演算装置、メモリ装置、入力装置、出力装置などの主要な要素で構成されていました。演算装置は加算器、乗算器、除算器、平方根算出器などで構成されています。

メモリ装置は今日のコンピュータのRAMに相当する機能を持っていました。入力装置はIBM製のカード読み取り装置が使用され、出力装置はカードパンチ機が使用されました。

ENIACの構成要素は約1万7千本の真空管、7200個の半導体ダイオード、1500個のリレー、70,000個の抵抗器などで構成されていました。これらの部品を使用して、論理回路や記憶回路などが実現されています。

ENIACの演算装置の特徴

ENIACの演算装置は10進数を使用していました。これは2進数を使用する現代のコンピュータとは大きく異なる特徴です。

ENIACの演算装置は20個の蓄積器と呼ばれるメモリ装置を備えていました。各蓄積器は10進数の数値を記憶することができ、演算に使用されました。

ENIACの乗算器は加算器を複数使用して構成されていました。除算器は乗算器を使用して実現されていました。また、平方根算出器も備えられており、当時としては画期的な機能でした。

ENIACのプログラミング方式

ENIACのプログラミングはプラグボードと呼ばれる配線盤を使用して行われていました。プラグボードは演算装置間の配線を変更することで、プログラムを実行することができました。

ENIACのプログラミングは非常に複雑で時間がかかる作業でした。プログラムの変更にはプラグボードの配線を物理的に変更する必要があり、長大なプログラムの場合は数日から数週間もかかることがありました。

ENIACではサブルーチンの概念が導入されました。サブルーチンは頻繁に使用される処理を一つのまとまりとして扱う方法で、プログラムの効率化に役立ちました。

ENIACの運用と影響

ENIACの運用と影響に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

• ENIACの運用と利用状況
• ENIACが与えた科学技術への影響
• ENIACが現代のコンピュータに与えた影響

ENIACの運用と利用状況

ENIACは1946年から1955年までの約10年間、運用されました。当初は弾道計算などの軍事目的で使用されていましたが、後に気象予測や原子力計算などにも利用されるようになりました。

ENIACの運用には多くの人手が必要でした。プログラミングや保守には専門の技術者が必要であり、24時間体制で運用されていました。

ENIACは信頼性の面で課題がありました。真空管の寿命が短く、頻繁に交換が必要だったため、安定した運用が難しかったようです。

ENIACが与えた科学技術への影響

ENIACは科学技術の発展に大きな影響を与えました。ENIACによって、大規模な計算を高速に処理することが可能になり、科学や工学の分野で新しい可能性が開かれました。

ENIACはロケットの弾道計算や気象予測、原子力関連の計算など、複雑な科学計算に利用されました。これらの計算はENIACが登場する以前は人力で行うしかなく、膨大な時間と労力を要していました。

ENIACの登場により、科学者や技術者は大規模な数値計算を効率的に行えるようになりました。これにより、新しい科学的発見や技術革新が促進されることとなりました。

ENIACが現代のコンピュータに与えた影響

ENIACは現代のコンピュータの原型となる存在です。ENIACの開発によって、コンピュータの基本的な構成要素や動作原理が確立されました。

ENIACはプログラム内蔵方式を採用していませんでしたが、後継機のEDVAC(エドバック)ではプログラム内蔵方式が採用されました。プログラム内蔵方式は現代のコンピュータの基本的な動作原理となっています。

また、ENIACの開発に携わった技術者たちはその後のコンピュータ開発に大きな影響を与えました。ジョン・フォン・ノイマンはEDVACの設計に携わり、現代のコンピュータのアーキテクチャの基礎を築きました。

ENIACから現代のコンピュータへの発展

ENIACから現代のコンピュータへの発展に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

• ENIACの後継機の登場と特徴
• コンピュータの小型化と高性能化
• 現代のコンピュータとENIACの違い

ENIACの後継機の登場と特徴

ENIACの後継機として、EDVAC(エドバック)やUNIVAC(ユニバック)などが開発されました。これらの後継機ではENIACの課題を改良し、より実用的なコンピュータが目指されました。

EDVACではプログラム内蔵方式が採用され、プログラムの変更が容易になりました。また、二進法の採用により、演算装置の効率化が図られました。

UNIVACは商用コンピュータの先駆けとなった機種です。磁気テープを記憶装置に使用し、高速な入出力を実現しました。また、プログラミング言語の開発も進められ、コンピュータの利用範囲が広がりました。

コンピュータの小型化と高性能化

ENIACは真空管を大量に使用した巨大なコンピュータでしたが、その後のコンピュータは小型化と高性能化が進みました。トランジスタの発明により、真空管に代わる小型な電子部品が登場しました。

1960年代には集積回路(IC)が実用化され、コンピュータの小型化と高性能化が加速しました。ICの登場により、コンピュータの演算装置や記憶装置の性能が飛躍的に向上しました。

また、半導体メモリの登場により、大容量のメモリを小型に実装できるようになりました。これにより、パーソナルコンピュータの普及が進み、コンピュータが身近な存在になっていきました。

現代のコンピュータとENIACの違い

現代のコンピュータはENIACとは大きく異なる特徴を持っています。演算速度や記憶容量はENIACとは比べものにならないほど高性能化しました。

また、現代のコンピュータはソフトウェアの役割が非常に大きくなっています。ENIACの時代はハードウェアの設計が中心でしたが、現代ではオペレーティングシステムやアプリケーションソフトウェアの開発が重要な位置を占めています。

さらに、現代のコンピュータはネットワークに接続され、インターネットを介して世界中の情報にアクセスできます。ENIACの時代には想像もできなかった、グローバルな情報通信が可能になったのです。

参考サイト

1. IBM. https://www.ibm.com/jp-ja

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