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公開：2024-09-28

資生堂がAI技術を活用した革新的な化粧品開発プラットフォームVOYAGERを本格稼働、50万以上の研究知見をAIが解析し新たな価値創造へ

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

• 資生堂がAI技術を融合した化粧品開発を開始
• 処方開発AI機能を搭載したVOYAGERプラットフォームを稼働
• 50万以上の研究知見をAIで解析し革新的価値創出を目指す

資生堂がAI技術を活用した革新的な化粧品開発プラットフォームを稼働

資生堂は100年以上蓄積した研究開発力とAI技術を融合させ、革新的な化粧品開発の実現を目指すことを2024年9月26日に発表した。アクセンチュア株式会社と共同で独自のアルゴリズムを用いた処方開発AI機能を開発し、化粧品開発デジタルプラットフォーム「VOYAGER」に搭載して2024年2月より本格稼働を開始している。^[1]

VOYAGERプラットフォームは、50万を超える研究知見やノウハウをデータベース化し、イングリディエント・インフォマティクスを駆使して開発された。皮膚科学、感性科学、製剤化学などの基礎研究から得られた原料情報や処方データ、容器設計に関するデータなど、製品開発に関わる包括的なデータを網羅している。

このプラットフォームの稼働により、人々の経験値だけでは導き出せない革新的な価値創出の開発スピードが向上し、市場への迅速な展開が可能になる。さらに、研究員が新しいイノベーションを生み出す創造的な研究により注力できる環境づくりも目指している。多様化する生活者のニーズに応える美のソリューションを提供し、2030年のビジョン「Personal Beauty Wellness Company」の実現に向けて着実に歩みを進めていく。

VOYAGERプラットフォームの主な特徴

イングリディエント・インフォマティクスについて

イングリディエント・インフォマティクスとは、原料（イングリディエント）の特性や組み合わせによる効果、使用性・安定性などのデータを総合的にAIが学習する取り組みのことを指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

• 原料単体の特性だけでなく、組み合わせ効果も考慮
• 使用性や安定性などの複合的なデータを分析
• 複雑な化粧品処方の開発に適したアプローチ

資生堂のVOYAGERプラットフォームでは、このイングリディエント・インフォマティクスを活用することで、より精度の高い処方開発を実現している。化粧品の処方は多くの原料を組み合わせる複雑なものが多いため、原料単体の特性だけでなく、総合的なデータ解析が可能なこの手法が効果的だ。これにより、従来の手法では見出しづらかった革新的な処方の発見につながることが期待される。

資生堂のAI活用化粧品開発に関する考察

資生堂のAI活用化粧品開発は、長年蓄積された研究知見とAI技術を融合させた点で画期的だ。50万を超える研究データをAIが解析することで、人間の経験や直感だけでは見出せなかった新しい処方や製品が生まれる可能性が高まるだろう。一方で、AIに過度に依存することで、人間の創造性や直感が軽視される危険性も考えられる。

この課題に対しては、AIと人間の研究者が協調して働くハイブリッドな開発プロセスを確立することが重要だ。AIが大量のデータを分析し、新しいアイデアを提案する一方で、人間の研究者がそれを評価し、さらなる改良を加えていくような仕組みづくりが求められる。また、AIの判断プロセスの透明性を高め、研究者がAIの提案を適切に解釈できるようにすることも必要だろう。

今後、VOYAGERプラットフォームにはより高度な機能が追加されることが期待される。例えば、消費者の肌質データや使用環境データをリアルタイムで取り込み、個々人に最適化された処方を提案する機能などが考えられる。資生堂には、こうした技術革新を通じて、より多様化・個別化する消費者ニーズに応える製品開発を推進し、美容業界のデジタルトランスフォーメーションをリードしていくことを期待したい。

参考サイト

1. ^ PR TIMES. 「資生堂、100年にわたる研究の蓄積と先進AI技術を融合し共創から生まれる革新的な化粧品開発の新時代へ | 株式会社資生堂のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002721.000005794.html, (参照 24-09-28).

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