語学スクール市場規模1797億円、コロナ禍前の9割水準に回復、リスキリング需要と海外留学増加が成長のカギに

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

2023年度の語学スクール市場規模は1797億円
コロナ禍前の2019年度比で約9割の水準
リスキリング需要や海外留学の増加が今後のカギに

2023年度の語学スクール市場規模と動向

株式会社帝国データバンクは、2023年度の「語学スクール」市場規模について調査・分析を行い、その結果を2024年9月30日に発表した。調査結果によると、2023年度における「語学スクール」市場規模は、語学スクール事業を主力とする約170社の収入高合計で1797億円となった。これはピークとなる2019年度（2031億円）の約9割の水準にとどまっている。^[1]

コロナ禍の影響により、対面での教室開講が困難になったことや渡航制限に伴う需要減退が市場縮小の主な要因となった。一方で、アフターコロナの動きとしては、リスキリング需要に備えた法人向けコースの開設やオンライン授業への移行など、従来の「習い事としての語学教室」の枠を超えた多様なスタイルの語学スクールが目立つようになっている。

2023年度の損益状況については、分析対象となった約70社のうち、「黒字」が58.2％、「赤字」が34.3％、「収支一杯」が7.5％だった。黒字企業では高スキル人材の定着による顧客増加やオンライン授業への移行に伴う運営コストの軽減が収益確保につながった一方、赤字企業では人件費や運営コストの高騰、広告宣伝費の負担増、競合激化による講師や顧客獲得の困難さが収益力低下の要因となっている。

語学スクール市場の現状まとめ

項目	詳細
2023年度市場規模	1797億円
ピーク時（2019年度）比	約9割
調査対象企業数	約170社
黒字企業の割合	58.2％
赤字企業の割合	34.3％
新たな動向	リスキリング需要対応、オンライン授業拡大

リスキリングについて

リスキリングとは、既存の技能や知識を更新し、新しい職務や環境に適応するためのスキルを習得することを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

既存の職業スキルの再教育や再訓練を行う
技術革新や産業構造の変化に対応するために実施される
個人のキャリア発展や企業の競争力強化に貢献する

語学スクール市場においては、リスキリング需要に対応した法人向けコースの開設が新たな動きとして注目されている。これは、グローバル化が進む企業環境において、従業員の語学力向上が重要視されているためだ。リスキリングを通じた語学力の強化は、企業の国際競争力向上や個人のキャリア発展に寄与する可能性が高い。

語学スクール市場の今後に関する考察

語学スクール市場の回復が遅れている背景には、コロナ禍の影響だけでなく、円安や物価高による海外渡航の抑制も大きな要因となっている。一方で、今後はグローバル化の進展やリモートワークの普及により、語学スキルの重要性が一層高まることが予想される。これにより、リスキリングを目的とした企業向け語学研修や、オンラインを活用した柔軟な学習スタイルの需要が増加する可能性が高い。

今後の課題としては、安価な学習アプリやSNSの充実による従来型語学スクールの利用者減少が挙げられる。この課題に対しては、AIを活用した個別最適化学習や、ネイティブ講師とのリアルタイム会話練習など、デジタル技術を積極的に取り入れた付加価値の高いサービス提供が解決策となるだろう。さらに、語学スキルと専門知識を組み合わせた特化型コースの開発など、より具体的なキャリア目標に紐づいた学習プログラムの提供も有効だ。

2024年10月から雇用保険による教育訓練給付金の給付率が引き上げられることは、語学スクール市場にとって追い風となる可能性がある。この公的支援を活用し、リスキリングを含めた学習機会を増やすことで、市場規模の回復が期待できる。今後は、個人のキャリア発展と企業のグローバル競争力強化を両立させる語学教育サービスの開発が、語学スクール業界の成長の鍵を握るだろう。

参考サイト

^ PR TIMES. 「「語学スクール」市場1797億円、コロナ禍後の回復鈍く　リスキリング、海外留学の増加が今後のカギに | 株式会社帝国データバンクのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000939.000043465.html, (参照 24-10-01).

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